旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

ヤッカンはヤッカイ?! -その2 取消料・違約料

今回も、受講者の方からのご質問を掲載します。
約款では、契約の変更や解除があったときに取消料や違約料等が発生するのですが、何がどんなときに発生するのか、紛らわしくてわかりにくいことがあります。

Q1.募集型企画旅行契約で、旅行開始前に重要な変更があった場合に、旅行者は取消料を支払うことなく契約が解除できるとありますが、旅行開始後に不可抗力で旅行が中止となった場合には、旅行者は取消料・違約料等を支払わなければならないとあります。この違いは何でしょうか?

A1.「取消料・違約料」等には2種類があります。
1つ目は、「旅行業者自身の収入となるもの」です。旅行者が企画旅行を解除した場合に、解除時期により所定の率を乗じて適用する取消料と、旅行者が期日までに旅行代金を支払わない場合に適用する違約料が該当します。
ただし、これは旅行者から契約を解除した場合(みなす場合を含む)に適用されるものであり、旅行業者から解除した場合は適用されません。
2つ目は、「運送・宿泊等の旅行サービス提供機関に係るもの」です。これらは、旅行開始後に旅行業者から企画旅行契約を解除した場合に生じるものです。旅行者からは旅行業者が収受しますが、旅行業者を経由して、最終的には各旅行サービス提供機関に支払われます。JRの払戻し手数料、航空の取消し手数料及び払戻し手数料、フェリーの払戻し手数料、宿泊の違約金、貸切バスの違約料等が該当します。
用語が似ているため混乱しやすいですが、最もわかりにくいのは、旅行開始後の解除でしょう。
まとめると、次のようになります(解除事由に旅行業者の責がないものとします)。
① 旅行者から契約を解除した場合…1つ目の取消料が発生(旅行代金の100%以内)
② 旅行業者から契約を解除した場合…2つ目の取消料・違約料が発生(未提供の旅行サービスに係るもの)
※1つ目と2つ目の取消料等が同時に生じることはありません。

Q2.募集型企画旅行に参加するため成田空港に向かう途中、列車の故障により集合時刻に間に合わなかった場合、旅行者には責任がないと思いますが、それでも取消し料がかかるのでしょうか。

A2.旅行者が取消料を支払うことなく募集型企画旅行契約を解除できる場合は、次の5つの場合です(約款第16条第2項)。
①旅行業者によって契約内容に重要な変更が生じたとき。
②旅行代金が増額されたとき。
③天災地変等の不可抗力の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。
④旅行業者が契約書面に記載された期日までに確定書面を交付しなかったとき。
⑤旅行業者の責に帰すべき事由により、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の実施が不可能となったとき。

企画旅行の日程に含まれない交通機関の遅延・運休により旅行に参加できなくなったことは、上記の事由に該当しません。
旅行者自身には責任のないことですが、旅行業者にも責任は生じません。
よって(大変お気の毒ですが)旅行者が契約を解除したものとみなし、取消し料がかかります。