旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

ヤッカンはヤッカイ?! -その3 旅程保証

約款について受講生の方から頂くご質問で、非常に多いのが旅程保証に関する疑問です。
保証が適用されるかどうかの迷いや、損害賠償との混同が多いようです。

Q1.旅程保証と損害賠償の関係が理解しにくいので説明してください。

A1.旅程保証は約款の中でもわかりにくい代表的な規定です。要点を整理してみますと、変更が生じた場合に旅程保証責任が生ずるのは次の場合です。
①変更の原因が、「旅行業者に責任がない」ものであり、
②変更が「重要な変更に該当すること」、
③「免責事由に該当しない」
という要件をすべて満たした場合が該当し、変更補償金が支払われます。
これらの要件の裏を返せば、旅程保証が適用されない場合とは、
①旅行業者に責任がある(手配ミスなどの故意、過失がある) →損害賠償責任を負う
②重要でない変更
③免責事由に該当する
ということになります。旅行業者の責任の有無については、損害賠償責任との「引っかけ問題」としてよく出題されています。
特に、運送宿泊機関等のオーバーブッキングが原因の変更がよく問われますが、これは運送宿泊業者等の責任であり、旅行業者自身の責任ではありません。
オーバーブッキングが原因の変更には、運送機関のアップグレードがあった場合を除き、変更補償金の支払いの対象となります。

Q2.「契約書面の記載内容と確定書面の記載内容との間」又は「確定書面の記載内容と実際に提供された旅行サービスの内容との間」に変更が生じた時は、それぞれの変更につき一件として取り扱うとありますが、よくわかりません。具体的に説明してください。

A2.確定書面が交付された場合は、確定書面に記載された旅行サービスを提供しなければなりません。これは、契約書面の記載事項より優先されます。2つのケースに分けて考えてみましょう。
例1:(確定書面が交付されていないケース)契約書面では「Aホテル」と記載されていたものが、実際に提供されたホテルは「Bホテル」であった。
例2:(確定書面が交付されたケース)契約書面では「Aホテル」と記載されていたものが、確定書面では「Bホテル」となっていた。しかし、実際に提供されたホテルは「Aホテル」であった。

旅程保証が適用される原則は、契約書面の記載事項が変更になった場合です。したがって、例1は、旅程保証の対象です(これは問題ないと思います)。
例2は、確定書面が交付された場合で、契約書面のAホテルが確定書面でBホテルになりました(契約書面と確定書面の間の変更)。
これは例1と同じであり、これで1件の重要な変更に該当します。
また、その後、確定書面ではBホテルとあったのに、現地ではAホテルが提供されました。Aホテルは元の契約書面に記載されていたホテルです。
この場合、確定書面には変更が生じていますが、契約書面記載事項としては変更が生じていないことになります。
しかし、これは旅行者が振り回されることになってしまうので(最悪の変更ですね)、契約書面に記載の有無に関係なく、最終的な日程表である確定書面の記載事項の変更を優先するとしています。
これも1件の重要な変更に該当します。
結局、例2では、併せて計2件の変更が生じたことになります。変更補償金もそれぞれの率が積算されます。