旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

「未成年」が変わりました!

毎年、4月になるとさまざまな法改正が行われます。ついでに、公共料金をはじめ物価も上がります。

物価のことはさておき、今年の法改正の目玉は、やはり民法改正による成年年齢の引き下げでしょう。
すでに選挙権は引き下げられていますし、数年前からも報道等で話題になっていましたので、皆さんもよくご存じだと思います。18歳になると法定代理人(親権者、未成年後見人等)の同意を得ずに契約の当事者となれるので、さまざまな期待や懸念とその対策等が伝えられています。

国家試験の世界でも、司法書士、行政書士、社労士等の有力資格も取得年齢が引き下げられました(旅行業務取扱管理者資格は、もともと年齢制限がありません)。

同時に、女性の婚姻年齢を18歳に引き上げることも定められました(男性は従来どおり18歳です)。
この改正により、旅行業務取扱管理者試験でも若干の影響が出ます。今回は、そのことを見てみましょう。

①旅行業法令
直接大きな影響はありませんが、従来から、未成年(既婚者を除く。次項参照)が旅行業等の登録を行う場合には法定代理人が必要とされています。この「未成年」が18歳未満ということになります。

②「成年擬制」の消滅
改正前の民法では、既婚の未成年(20歳未満)は成年とみなす、という規定がありました。結婚しているのだから一人前とみなす、ということです。これを「成年擬制」と言います。そのため、法定代理人の同意を得ずに一定の法律行為を行うことができました。過去の試験でも出題されたことがあります。しかし今回の改正により、成年年齢は18歳となり、同時に婚姻可能年齢も18歳となったため、「未婚の未成年」は存在しなくなりました。

③旅券法
旅券の有効期間は、成年の場合は10年間又は5年間、未成年の場合は5年間のみと定められています。今回の改正により、18歳でも10年用の旅券が取得できることになりました。
また、旅券申請に当たり、18歳以上の者は法定代理人の同意を必要としません。
ところで法律では、誕生日の前日に年齢が加算されることになっています。したがって、18歳の誕生日の前日に旅券申請をしても10年用が取得できるので、覚えておきましょう。この理由は長くなりますので、いずれ機会を見てブログに載せます。

④関税法
飲酒、喫煙は、従来どおり20歳未満の者は不可とされています。海外旅行のお土産で酒類やタバコを日本に持ち込む場合、20歳未満の者は成人していても免税の取り扱いは受けられず、課税対象となります。18歳未満の者ではないのでご注意ください。

以上のような点が試験にかかわる改正ですが、余り大きなものではありません。年齢のうっかりミスに注意しましょう。
余談ですが、「未成年者喫煙禁止法」「未成年者飲酒禁止法」は、「未成年」が付いたままのようです。
また、公営ギャンブルができるのも20歳以上のままです。未成年の方、ご用心あれ。