旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

JR運賃料金 ここに注意!(1)

テキスト第3巻「国内運賃料金」の学習に着手されている方も多いと思います。特にJRはなかなか手ごわい分野で、お悩みではないでしょうか。前半のキロの取り扱いから始まって、通し料金の計算、各種計算の特例などは、毎年多くのご質問を頂く分野です。
そこで今月は、皆様から頂いたご質問を元に、間違いやすい重要ポイントをQ&A形式で解説してみます。

Q1.運賃や料金の計算をするときに、キロの使い分けがうまくできません。どのように区別したらいいですか?

A1.キロの名称には4種類もあって整理しにくいですが、それぞれの用途を次のように分けて把握してみましょう。

① 営業キロ
基本となる最も重要なキロ数。運賃計算に用いるだけでなく、料金の計算、割引条件の適用、有効期間の算出などにも原則として営業キロを用いる。

② 賃率換算キロ(換算キロ)、擬制キロ
地方交通線区間において、営業キロと共に表示されているキロ数。賃率換算キロと擬制キロは運賃計算の場合にのみ用いる。

③ 運賃計算キロ
幹線部分の営業キロと地方交通線部分の賃率換算キロ又は擬制キロを合算したキロ数で、運賃計算にのみ用いる。
※賃率換算キロ、擬制キロ、運賃計算キロは、いずれも運賃計算にしか用いません。これらのキロ数を、料金計算、割引条件の適用、有効期間の算出に用いてはいけません。

【キロを適用するときの注意】
上の区分で大切なことは、「何を求めるかにより、適用キロが異なることがある」ということです。
具体例で説明してみます。

例)幹線と地方交通線にまたがる区間で特急列車を利用する場合
区間 A駅-B駅-C駅(本州内)
 A-B=幹線・営業キロ500.0キロ
 B-C=地方交通線・営業キロ95.0キロ、換算キロ104.5キロ

① A-C間の運賃…運賃計算キロ(幹線営業キロ+換算(擬制)キロ)を適用する
  500.0キロ+104.5キロ=604.5キロとして本州内幹線普通運賃表と照合する

② A-C間の特急料金、グリーン料金…必ず営業キロを用いる
  500.0キロ+95.0キロ=595.0キロとして特急料金表と照合する

③ 割引条件…必ず営業キロを用いる。
  A駅-C駅間を往復する場合(片道の営業キロは595.0キロ)
   →601キロに満たないため、往復割引は適用できない
  B駅-C駅間を学生が利用する場合(片道の営業キロは95.0キロ)
   →101キロに満たないため、学生割引は適用できない。

④ 有効期間…必ず営業キロを用いる。
  A駅-C駅間の片道乗車券の有効期間は、営業キロが595.0キロのため、4日間である。

※②、③、④で、運賃計算キロや換算キロを適用するのは誤りです。国家試験では、誤りの選択肢としてよく出るパターンなので、十分注意しましょう。

次回も、JRのQ&Aです。お楽しみに!