旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

JR運賃料金 ここに注意!(3)

今回は、新幹線内乗り継ぎで差額計算が生じる場合について解説します。毎年、あの手この手でさまざまなパターンの問題が出されており、受験者を悩ませているテーマです。逆に、このテーマがクリアできると大きな強みとなります。

Q3.新幹線内乗り継ぎで差額計算が生じる場合と生じない場合は、どのように違うのですか?

A3.差額計算が生じるときは、「前後の新幹線の特急料金体系が異なる場合」です。具体的には、次の行程です。
① 東海道・山陽新幹線で「のぞみ・みずほ号」と「ひかり・さくら・こだま号」との乗り継ぎ
② 東北新幹線で「はやぶさ・こまち号」と「はやて・やまびこ・なすの号」との乗り継ぎ

以下、具体例を見てみましょう。すべて、通常期に新幹線の改札口を出ないで乗り継ぐものとします。

【例1】
 行程 米原――新大阪――博多
 利用列車 米原-新大阪間:ひかり号普通車自由席
      新大阪-博多間:のぞみ号普通車指定席
 普通車指定席特急料金(通常期)
  米原-博多 ひかり号6,460円
  新大阪-博多 ひかり号5,490円、のぞみ号5,810円

解説
まず基本として、全区間(米原-博多間)には、「ひかり号」の特急料金6,460円が適用されます。ただし、新大阪-博多間で「のぞみ号」普通車指定席を利用しているため、この区間について差額の計算が必要になります。この差額は、のぞみ号利用区間の「のぞみ号」特急料金から、同じ区間の「ひかり号」特急料金を差し引いて算出します。式にしますと(5,810円-5,490円)=320円となります。この差額320円を、先の「ひかり号」特急料金6,460円に加えます。

6,460円+320円=6,780円が、この行程に適用される特急料金です。
*「ひかり号」は自由席利用ですが、自由席と指定席を乗り継ぐときは、全区間に指定席特急料金が適用されます。ここで530円を差し引くと誤りになります。

逆に、差額計算が不要な場合は、「特急料金体系が同一の新幹線同士の乗り継ぎの場合」です。「ひかり・さくら・こだま号」同士の乗り継ぎ、「のぞみ・みずほ号」同士の乗り継ぎが該当します。

東北新幹線では、「はやぶさ・こまち号」同士の乗り継ぎと「はやて・やまびこ・なすの号」同士の乗り継ぎが同一料金体系同士なので、差額計算は発生しません。また、北陸新幹線内、九州新幹線内は単一特急料金なので、差額計算は発生しません。

資料では、同一区間で2種類の料金表が明示されますが、列車名で覚えておくとよいでしょう。
ただし、「のぞみ・みずほ号」が自由席であるときは差額計算が生じませんので注意してください。

【例2】
 行程 米原――新大阪――博多
 利用列車 米原-新大阪間:ひかり号普通車自由席
      新大阪-博多間:のぞみ号普通車自由席
 普通車指定席特急料金(通常期)…例1と同じ

解説
例1の行程とよく似ていますが、「のぞみ号」は自由席利用となっています。「のぞみ号」の自由席特急料金は、「ひかり号」自由席特急料金と同額とする特例があります。この行程で、「のぞみ号」区間は自由席のため、「ひかり号」自由席特急料金と同額になり、差額の計算は生じません。

結局、この行程では「全区間をひかり号の自由席を利用した」と考えます。適用される特急料金は、6,460円-530円=5,930円です。
例1との違いにご注意ください。