旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

期間・日数の数え方-① 「翌日起算と当日起算」その1

旅行業法や約款を始め、運賃料金分野などでも期間・日数を問う問題がよく見られます。期間・日数の数字そのものも大切ですが、その数え方も非常によく問われています。「いつからか」「いつまでか」が具体的な月日で問われることもしばしばです。より確実な合格圏に到達するためには、この知識が欠かせません。

1年半くらい前のブログでもこのことを載せたのですが、重要な知識なので、少々手を入れて再掲します。規定によっては混乱しやすいので注意してください。

1.翌日起算と当日起算

期間・日数を数えるときには、基準となる初日を算入せず、翌日から数える方法(翌日起算)と、初日を算入して数える方法(当日起算)の2通りがあります。旅行業法令、約款は基本的に翌日起算ですが、例外的に当日起算とする場合があります。また、実務の運賃・料金分野では、各運送機関によって数え方が異なっています。

翌日起算と当日起算の見分け方は、特にことわりがなければ「翌日起算」です。「○○の日の翌日から起算して…」とことわりがある場合も「翌日起算」です。一方、「○○の日から起算して…」とある場合は「当日起算」です。ことわり書きがある場合、「翌日」が含まれるかどうかがポイントです。

2.翌日起算

民法では、期間を数えるときに特に定めがない限り、初日は期間に算入せずに翌日から計算します(初日不算入の原則)。このことを「翌日起算」といいます。ふだん私たちが日数を数えるときに使っている、ごく普通の数え方です。

(例)1月1日の3日後は、1月4日です。また、1月1日の1年後は、翌年の1月1日です。

① 旅行業法令
登録事項の変更の届出(30日間)、営業保証金の新規・追加供託の届出期限(14日、100日、3か月など)、基本的に翌日起算です。例外は、登録の有効期間の数え方が当日起算になっています。

② 標準旅行業約款
翌日起算が原則です。
なお、日付をさかのぼって期間を数える規定がありますが、これは少々ややこしいので第3回ブログで改めて解説します。

③ 航空運送約款
国内・国際の航空運送約款では、基本的に翌日起算です(その他の運送機関の約款・規則は当日起算が原則)。航空券の有効期間は、発行日又は発行日の翌日から起算することになっていて、1月1日発行の航空券は、翌年の1月1日まで有効です。

ところで、この「発行日又は」と付け足しがあるのはなぜでしょう? これは、翌日起算で有効期間を数える場合に、発行日当日は有効期間に含めるのかどうかが曖昧になってしまうので、「発行日当日も有効ですよ」という念押しで付け足してあるのです。

では、ここで問題です。4月1日に受け取った手荷物に損害があったときの通知期限はいつまででしょう?
a.日本航空の規定…受け取りの日から7日以内
b.全日空の規定…受け取りの日の翌日から起算して7日以内

2社で記述が異なっていますが、日本航空は特にことわりがないので、原則通り翌日起算となります。また全日空は、「翌日から起算して」とわざわざことわっているので、やはり翌日起算です。よって、どちらの場合も、翌日から数え始めて7日後の4月8日が通知期限となります(書き方を統一してほしいですね)。