旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

国内試験直前対策(3)国内運賃料金

運賃料金の計算問題は、計算結果の数値を求めるものではなく、正しい計算式を選ぶスタイルです。正しい計算式は1つしかなく、残りの選択肢はすべてどこかで計算式が誤っていることになります。今回は、特に多い誤りの典型的パターンを取りあげました。計算式問題は、計算能力よりも読解力です。問題集で、正しい計算式と誤りの計算式を見比べ、どこが違うのか、間違い探しをして眼力を鍛えましょう。この誤りパターンが含まれる選択肢は、即「×」を付けるか抹消線を引いてください。

1.「ぶつ切り」「細切れ」「3枚下ろし」
 片道行程の運賃を算出する場合、全行程のキロ数を通算することが大原則です。これを区間ごとに区切って運賃計算するのは誤りです。
 また、次項の通し料金を適用する場合も同様で、通し計算をせず、区間(列車)ごとに計算を行っている場合も同じです。
 このような誤りの選択肢は行数が増えるか長くなるかで、一目で他の選択肢と異質であるのがわかります。明らかに他と異なるものはたいてい誤りで、逆に、よく似た式(大体2つ)のどちらかが正しいことが多くなっています。もし迷っても、二択のどちらかに賭けましょう。

2.「530円±200円」「530円+400円」
 530円、200円、400円という金額はおわかりですね。この取り扱いについて、ご質問がたいへん多く寄せられています。
 簡単な行程例を見ながら解説します。

【行程例1】繁忙期
*料金額はわかりやすい数字にしています。ただしグリーン料金は省略します。
*全区間が東海道・山陽新幹線区間。B駅では新幹線の改札を出場しません。
A駅 -(ひかり号グリーン利用)- B駅 -(こだま号普通車指定席利用)- C駅
・ひかり号・こだま号通常期普通車指定席特急料金
A駅-B駅:4,000円  B駅-C駅:2,000円  A駅-C駅:5,000円

【解説】
・原則として全区間通しの特急料金が適用されます。この行程では、A駅〜C駅間に5,000円の通し料金が適用されます(ただし、これは最終的な料金ではありません)。

・前後の新幹線で異なる座席を利用する場合、より上級の座席を利用したときに適用される特急料金が全区間に適用されます。

・閑散期・繁忙期に適用される±200円は、「普通車指定席」を利用した場合にのみ適用されるもので、この行程では適用されません。

 よって本問では、「グリーン車を利用した場合の特急料金」、すなわち、通常期普通車指定席特急料金から530円を差し引いた額が全区間に適用されます。5,000円-530円=4,470円が、この行程の正しい特急料金の計算式となります(このほか、A駅-B駅間のグリーン料金が必要)。グリーン利用のため、繁忙期であっても200円を加算しないことに注意してください。

 本問のような問題では、以下が典型的な誤りの選択肢例です。
 5,000円-530円+200円=4,670円
 計算式中の「-530円+200円」が誤りのパターンです。1つの特急料金に、530円と200円を重ねて計算することはありません。ぜひこの誤りのパターンを、「目」で覚えておいてください。これが見つかったら、その選択肢は即「×」です。

【行程例2】繁忙期
A駅 -(のぞみ号普通車指定席利用)- B駅 -(ひかり号普通車指定席利用)- C駅
・ひかり号・こだま号通常期普通車指定席特急料金
A駅-B駅:4,000円  B駅-C駅:2,000円  A駅-C駅:5,000円
・のぞみ号通常期普通車指定席特急料金
A駅-B駅:4,200円

【解説】
 のぞみ号の普通車指定席利用区間について、差額計算が必要になります。
正しい計算式は、5,000円+(4,200円−4,000円)+200円=5,400円です。
 行程例1と同様に通し計算をしますが、A駅-B駅間について差額を計算しなければなりません。式の中で、(4,200円−4,000円)とある部分が差額計算の箇所です。差額計算が含まれていない計算式は誤りです。
 なお、この行程で、「のぞみ号」が普通車自由席だとしたら、特急料金は5,000円+200円=5,200円になります。