旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

JRの特例(1)運賃計算のポイント

今回からは総合試験対策として、国内・海外旅行実務の各分野のポイントをお話してまいります。
特に、受講生の皆さんからご質問が多かったテーマを取り上げます。

今回と次回は、JR問題のうち、しばしば難問となる「特例」についてお話します。

総合管理者試験の国内旅行実務科目のうち、JR運賃料金では特例計算が多く出題されています。この特例ルールが、多くの受験生の方を悩ませています。JRには特例ルールが非常に多いのですが、実際に試験に出題される特例ルールは限られています。特例ルールを十分理解することこそがJR問題を制するカギであり、同時に国内旅行実務で足切り点をクリアすることにつながります。更に、合格にも直結する重要なテーマです。

以下、試験で出題される特例ルールを見ていきましょう。紙面の関係上、詳細な解説はテキストや問題集の解説をご参照いただくとして、特に注意すべき点を掲げます。

今回は、運賃計算に関わる特例その他の規則です。その大定番が、「特定都区市内発着」と「通過連絡運輸」です。料金関係は次回にお話します。

1.基本的な注意事項
特例ルールが適用される場合、行程の下あたりに何らかのことわり書きが表示されます。
・「○○駅は××市内に属する駅である」 →特定都区市内発着の特例
・「○○鉄道は、JRと通過連絡運輸の取扱いを行っている」 →通過連絡運輸の特例

2.特定都区市内発着
総合試験では毎年のように出題される、代表的な特例ルールです。この特例は、「中心駅発着でキロ数を確かめる」ことが最も大切です。実際の乗下車区間はとりあえず無視して、中心駅発着で営業キロが200キロを超えるかどうか確認してください。

このとき、必ず営業キロで確認することが大切です。換算キロ、擬制キロ、運賃計算キロは絶対使わないでください。しばしば、運賃計算キロでは200キロを超えるが、営業キロでは200キロ以下の行程も出題されます。惑わされないように注意しましょう。

また、出発駅又は到着駅が含まれる特定都区市内では、途中下車ができないことにも注意してください。
※令和3年度の問26は、一見、特定都区市内の特例を適用するかに見えますが、実は単なる片道普通運賃の計算です。かつてないほどの難問で、悪問といってよいほどです。復習の際、この問題は無視してください。

3.通過連絡運輸
会社線区間の前後のJR区間のキロ数を通算しますが、このときに、会社線区間のキロ数まで含めて通算しないこと。これさえわかれば、むしろ得点源の問題です。JRの一方が幹線、他方が地方交通線の場合には、通常どおり幹線の営業キロ+地方交通線の換算キロ(擬制キロ)を通算します。
通過連絡運輸は、上記の特定都区市内ルールと組み合わせて出題されることも多いです。
また、料金にかかわる問題も出ますので、これは次回にお話します。

4.近郊区間
多くは文章問題が出題されます。同一近郊区間内の駅相互を利用する場合、次のルールがあります。すべて、実際に乗車するキロ数にかかわらず適用されることがポイントです。
・乗車券の有効期間は1日(当日限り)
・途中下車はできない(途中下車した場合は、乗車券は前途無効となる)
・実際の乗車経路にかかわらず、最短経路で運賃を計算する(これは余り出ません)

5.その他の特例
上記以外の運賃計算の特例は非常に出題が少なく、無視してよいレベルです。
試験では、単純に一つの特例だけではなく、複数の計算ルールを重ねた行程が出されます。「特定都区市内」を軸に、「通過連絡運輸」「幹線と地方交通線」「本州と3島またがり」等の組み合わせ問題がよく出ますので、一つ一つのルールをしっかりと把握しておきましょう。