旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

国内試験直前のヒント(2)-「法令・約款は、まぎらわしいものに注意!」

今回も、ご質問の多い中から選んでみました。第2回は法令・約款の注意点です。
◎旅行業法:取引条件の説明事項・書面の記載事項・広告の表示事項
どれにも共通の事項があれば独自の事項もあり、企画旅行と手配旅行とでも違っていて、まぎらわしいですね。
すべての事項を正確に覚えるのは気の遠くなる作業です。効率よく、独自の事項を優先して把握しましょう。

テキストのP.46とP.52をまとめて、主なものを整理してみました。
*ここでは、契約成立後に交付する書面を「契約書面」と呼びます。
① 企画旅行と手配旅行
・「旅行業務取扱料金」は、企画旅行契約では説明も記載も不要
・「最少催行人員」は、募集型企画旅行契約にのみ定められている
・「輸送の安全に関する事項」「通訳士の同行の有無」は、企画旅行契約にのみ定められている。
② 取引条件の説明事項と契約書面の記載事項
・「契約の申込方法・契約の成立に関する事項」は、取引条件の説明にのみ必要
・「契約締結年月日」は、契約書面にのみ記載する
・「添乗員が同行しない場合の旅行地における企画者との連絡方法」は、企画旅行契約の契約書面にのみ記載する
③ 広告の表示事項独自の事項
・取引条件の取引条件の説明を行う旨
・旅程管理業務を行う者の同行の有無

以上の各事項は、それぞれ独自の事項であり、他の事項に共通していません。
これらは非常によく出題されるので、これ自体が「正解」ということもしばしばあります。最優先で把握しましょう。

◎標準旅行業約款:取消料と違約料
約款の定めでは、「取消料・違約料」には2種類があります。

約款の条文には今一つ明確な定めがないのでわかりづらいかと思います。以下は企画旅行契約における取消料・違約料の話です。
1つ目は、「旅行業者自身の収入となるもの」です。テキストのP.35,36で解説しているもの及びP.39の違約料が該当します。
ただし、これは旅行者から契約を解除した場合に適用されるものであり、旅行業者から解除した場合は適用されません。
2つ目は、「運送・宿泊等の旅行サービス提供機関に係るもの」です。これらは、旅行開始後に旅行業者から契約を解除した場合に生じます。
旅行者からは旅行業者が収受しますが、最終的には各旅行サービス提供機関に支払われるものです。テキストではP.39の④で解説しているものが該当します。
最もわかりにくいのは、旅行開始後の解除でしょう。まとめると、次のようになります(解除事由に旅行業者の責がないものとします)。
① 旅行者から契約を解除した場合…1つ目の取消料が発生(旅行代金の100%以内)
② 旅行業者から契約を解除した場合…2つ目の取消料・違約料が発生(未提供の旅行サービスに係るもの)
※1つ目と2つ目の取消料等が同時に生じることはありません。

◎標準旅行業約款:3つの責任の関係
約款では、旅行業者に3つの責任(損害賠償責任、特別補償責任、旅程保証責任)が定められています。
この3つの関係が今一つわかりにくいので、まとめて表にしました。