旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

総合試験直前のヒント(2)-「JRの料金計算-1」

さて、第2回はJRです。
総合試験では、新幹線相互を乗り継ぐ問題が出されますが、
毎年一ひねり、二ひねりしている難問が多く、受講生の方からもよく質問を頂きます。

今回は、その1としまして、前後の座席・設備が異なる場合を解説します。
8月18日掲載のブログ、国内試験直前のヒントの「(1)JRは間違い探し」が
基礎知識となりますので、そちらもご参照下さい。

●平成28年度 国内旅行実務 問26(問題集03 90,91ページ Q5−2)
本問は、新幹線内乗り継ぎの問題でも、かなりの難問です。
前年度までは2本の列車を乗り継ぐ行程が主だったのですが、
この年度(H28年)より、3本の列車を乗り継ぐパターンが多くなりました。

しかも、この行程は通し料金の計算が必要で、前後の列車の座席が異なり、
かつ繁忙期に利用するという、落とし穴満載の問題です。
試験では、2,3問は「難問」といえるレベルが出ます。
1問5点なので、全部を落としては大きな痛手です。
全問正解は厳しいとしても、可能な限り失点を防ぎましょう。

まずは裏技解説から。
前提知識として、8月18日掲載のブログ「(1)JRは間違い探し」の
解説で述べたことが理解できているか、ふり返ってみてください。

①この行程には、全区間通しの料金が適用される(1つの料金になる)。
②グリーンと普通車指定席を乗り継いでいる場合、グリーンを利用したときの特急料金
(通常期普通車指定席特急料金-530円)が「通しの特急料金」に適用される。
③グリーンを利用するときは、繁忙期でも200円を加算しない。

この3点がわかっていれば、すぐ答えが見つかります。
各選択肢を眺めてみましょう。ここから、「間違い探し」です。

まず、選択肢b。式の中に、「-530円+200円」と書いてありますね。
これは、「(1)JRは間違い探し」で強調した、典型的な間違いパターンです。
530円と200円は、1つの料金に同時に計算することはありません。
はい、そういうことで、bは真っ先に「×」です。

また、②にあるように、グリーンを利用するときは530円を引かなければなりません
探すと、c.には530円がありません! はい、こちらも×を付けましょう。

逆に、③から、グリーンを利用するときは200円を計算してはいけないのですから、
200円が含まれている選択肢はすべて「×」です。

残りの選択肢a.とd.を見ると、dに「200円」がありますね。
そもそもdは、通し料金の計算をしていないので、
①の要件からも誤りです(①の要件から先に間違い探しをしてもOKです)。
よって、dは大×です。

a,b,cの各選択肢の式がよく似ているのに対し、dの式はまったく違っています。
他の選択肢と明らかに異質なものは、ほとんどが誤りです。
すぐに疑ってかかりましょう。
結局、残るa.が正解です。おしまい。

解説が簡単過ぎましたか? 実際、間違いパターンを覚えておくと、
これくらいの早さで正解が出せるものです。慣れるほどに、
どんどん解くのが早くなります(数十秒くらいでも可能です)。

しかし、これでは手抜きブログになるので、もっと詳しく解説してみましょう。
問題集P.91の図も参考にしてください。

本問は、東海道新幹線と山陽新幹線にまたがる行程です。
今回は3列車を乗り継いでおり、しかも「ひかり」と
「のぞみ」がグリーン車で、「こだま」が普通車指定席を利用しています。

新幹線同士を、改札を出場せず同一方向に乗り継ぐ場合、
乗り継ぐ列車の本数に関わらず、原則として全区間通しの特急料金が適用されます。

東海道新幹線と山陽新幹線を乗り継ぐ場合、
基本の通し料金は、「ひかり・こだま号」の特急料金です。

また、乗り継ぐ列車の利用座席が異なる場合は、
以下のように、より上級の座席に適用される特急料金を全区間に適用します。

・普通車指定席と普通車自由席…普通車指定席特急料金
・普通車指定席とグリーン車…グリーン車利用時の特急料金
浜松~名古屋間及び名古屋〜広島間でグリーン車を利用しているため、
本行程では、全区間にグリーン車を利用したときの特急料金
(通常期特急料金より530円を差し引いた額)
を適用します。

また、「のぞみ」と「ひかり・こだま」では特急料金体系が異なるので、
「のぞみ」の利用区間について特急料金の差額計算が必要です。
この計算方法は、「のぞみ」利用区間の特急料金から、
同区間の「ひかり・こだま」の特急料金を差し引くことで算出します。

a.の選択肢で、(5,910円-5,490円)と
計算しているところが差額計算の該当個所です。
この差額は、420円。
これを、全区間通しの「ひかり・こだま」特急料金6,460円に加算します。
更に、グリーンを利用しているので、530円を差し引きます。

また、グリーン車を利用したときは、繁忙期であっても200円を加算しません
グリーン料金は、通しの利用区間(浜松〜広島)のキロ数に基づき、6,600円です。
正しい計算では用いない料金も資料に表示されるので、惑わされないようにしましょう。