旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ

総合試験直前のヒント(5)-「ミニマム・コネクティング・タイムの解きかた」

OAGの各資料の読解は、例年定番の問題です。
中でも乗継便の適切な最少接続時間を問う「ミニマム・コネクティング・タイム
(Minimum Connecting Times:以下「MCT」と省略します)」は、
かなりの応用力を求められます。

出題される空港により、難易度の差が大きいことも特徴です。
特に、ロンドン、パリ、ニューヨークなどは近郊に複数の空港を持っており、
空港自体も巨大で複数のターミナルを有し、しばしば難問となります。

見た目も複雑な資料が提示されますので、「気合負け」しないことが大切です。
OAGの各資料は、もともとは簡潔かつ合理的に、
わかりやすいことを目的に作られたもの
ですから。

また、目的地名は3レターコードも示されますが、
国内の都市なのか国外の都市なのか、地理の知識も求められます。

以前に何度かこのブログで述べた「間違い探し」による消去法は使えません。

ご自分なりに資料のチェック手順をルーティン化して、
最少読取時間」で解くことを意識してください。
読み取りに余り時間をかけ過ぎると、他の問題の解答時間を圧迫してしまいます。
難しいときは、他の問題の解答が完了してから解きにかかるとよろしいでしょう。

さて、前置きが長くなりました。本題に入りましょう。
例として、平成29年度試験の問51を見ていきます(問題集06のP.34,35)。
この問題はロンドンでの乗り継ぎで、問題レベルとしては中の上程度です。
一般的なチェック手順は、次の通りです(一部前後してもかまいません)。
1.最終目的地と乗り継ぐ空港を確認する
① 東京-ロンドン(イギリス)は国際線です。
よって、最終目的地が国内か国外かで、次のどれかの乗り継ぎパターンとなります。
a.国際線から国際線へ → International to International
b.国際線から国内線へ → International to Domestic
② 各選択肢の目的地は、チューリッヒ(スイス)、デュッセルドルフ(ドイツ)、
バルセロナ(スペイン) →すべて国外の都市(この点は地理の知識が必要
③ 乗り継ぎパターンはInternational to Internationalと確定。
2.ターミナル又は空港の移動があるか確認する
① ターミナル移動があるときは、Terminal ○ to ○の欄を見てMCTを判断します。
② 空港間の移動は、表の下段にInter-airport ○ to × と表示されます。
選択肢a.は同一ターミナル(Terminal 5)発着で移動なし
→ MCTは1hr(1時間)。
3.MCTを国際線の到着時刻に加算する。
答えより乗継便の出発時刻が遅ければ乗り継ぎが可能。

① 選択肢a.13:10到着+1:00=14:10→乗継便は14:45出発なので乗り継ぎが可能。
② 以下、選択肢ごとに2.と3.の繰り返し。
選択肢b.はLHR3からLHR5へとターミナル移動がある(Terminal 3 to 5)
→ MCTは1hr30mins(1時間30分)。
15:50到着+1:30=17:20 →乗継便は17:25出発なので乗り継ぎが可能。
選択肢c.はLHRからLGWへと空港移動がある(Inter-airport LHR to/from LGW)
→ MCTは2hr30mins(2時間30分)。
16:10到着+2:30=18:40 →乗継便は18:20出発なので乗り継ぎはできない。

平成30年度は珍しく東京での乗り継ぎ問題で、すべて国内線から国際線への乗り継ぎ
(Domestic to International)でした。
また、令和元年度はニューヨークでの乗り継ぎで、
国際線から国際線又は国内線へ乗り継ぐ2パターンがあり、
更に空港移動もあって、やや難問です。これらの問題にもチャレンジして、
五郎丸ポーズのように(ちょっと古いですね)ルーティンを確立してください。
皆様の合格を心からお祈り致します。