旅行業務取扱管理者講座の講師ブログ
旅行業法令の用語解説(2)

第2回は、登録制度と営業保証金制度を中心に、用語や記述の解説をします。後半は民法用語も出てきますが、ここもざっくり意味をとらえる程度でお読みください。

①「旅行業」と「旅行業等」

テキストや問題集で、頻繁に出てくる用語です。特に「旅行業等」に注意が必要です。この「等」は、一般に使われる「その他」という意味ではありません。旅行業法で「旅行業等」という場合は、「旅行業者」と「旅行業者代理業者」の2者のみをいいます。したがって、運送・宿泊業者等の関連業者などを含めて「旅行業等」と呼ぶことはありません。

・旅行業=第1種から第3種までの旅行業及び地位限定旅行業を呼ぶときに用い、旅行業者代理業は含まれない。

・旅行業等=上記の旅行業者と、旅行業者代理業者を含めて呼ぶ場合に用いる。

*「旅行業者」「旅行業者等」と呼ぶ場合も同様です。

例)旅行業の登録の有効期間は5年間である。

この例では「旅行業」と記述されていますから、この規定は旅行業にのみ適用され、旅行業者代理業には適用されません。もしも、「旅行業等の登録の有効期間は5年間である」と書かれていれば、旅行業者代理業も含むことになりますので、この記述は誤りです。「等」の1文字を見落とさないようにしましょう。

②「旅行業等」と「旅行サービス手配業」

どちらも、運送・宿泊等の旅行サービスの手配を行いますので、まぎらわしい業態です。大きな違いは、旅行業者等は直接旅行者と旅行業務に関する取引を行うのに対し、旅行サービス手配業は、旅行業者を代理して手配業務を行う者で、旅行者とは直接取引を行いません。そのため、登録制度をはじめ、さまざまな規定の違いがあります。

③「登録」と「届出」

・登録

誰でもすぐに旅行業等又は旅行サービス手配業を営むことはできません。これらを営もうとする者のうち、登録の拒否要件に該当しない者として登録された者だけが、旅行業等又は旅行サービス手配業を営むことができます。事業を行う前に登録を受けることが必要ですが、制約が免許制よりは緩く、届出制よりは厳しい制度といえます。

・届出

基本的に、完備した必要書類を行政庁に届け出れば受理され、登録のような審査はありません。登録事項のうち、業務の範囲、旅行業者代理業者の所属旅行業者の名称を除く事項に変更が生じた場合は、変更後に届け出ればよいことになっています。

④供託

公の機関に、保証のための金銭や有価証券などを預けることをいいます。旅行業の登録を受けた旅行業者は、定められた期限までに、営業保証金を供託所に供託しなければなりません。

なお、旅行業協会の保証社員となった旅行業者が弁済業務保証金分担金を預けるときは「納付」と呼びます。

⑤債権と債務

旅行契約が成立すると、旅行者は旅行に行ける権利を得ます。と同時に、旅行代金を支払う義務も生じます。この権利と義務が、「債権」と「債務」に該当します。また、旅行業者は、旅行代金を請求する権利(債権)と同時に、旅行の手配を行う義務(債務)が発生します。

旅行が取り止めとなったときは、旅行者は旅行代金の払い戻しを請求する権利があり、旅行業者は払い戻しを行う義務があります。この場合の旅行者を「債権者」、旅行業者を「債務者」と呼びます。

⑥還付

元の所有者に返還することを「還付」といいます。旅行業者が債務を履行できず(旅行代金の払い戻しができず)、旅行者(債権者)から請求があった場合に、営業保証金又は弁済業務保証金から旅行者に返還することをいいます。

今回はここまで!

よき新年をお迎えください。