通関士講座の講師ブログ

通関手続の重み

みなさん、こんにちは。
講師の神田です。

報道によると、長崎県対馬市から仏像2体が盗まれ韓国に持ち込まれた問題で、
文化財返還に取り組む韓国の僧侶、慧門氏は1月20日、
2体のうち海神神社の国指定重要文化財「銅造如来立像」について、
日本への即時返還を韓国政府に求める訴訟をソウル行政裁判所に起こしたとのことです。

仏像を盗んだ実行犯3人は昨年10月、大田高裁で実刑判決が確定しています。
これを受け慧門氏は同11月、検察が仏像を「証拠品」として保管する必要がなくなったとして、
即時返還を求める行政審判を申し立てました。

一方、文化財庁は、通関手続を手伝った被告の上告審判決を待って返還の是非を決めると主張し、
今月、審判請求が退けられたため、慧門氏が行政訴訟に踏み切ったようです。
訴状で「裁判で仏像が明白な盗難品であることが確定した。
直ちに返還手続きに着手するべきだ」としています。

政治的な問題も孕む、本件ですが、私達が注目すべきところは、
「通関手続きを手伝った」ことから被告となっている人の存在です。
改めて、通関行為の重大性を認識できる一件ですね。