第149回日商簿記検定試験 講評

試験講評

第149回日商簿記検定試験 講評

2018/06/11

6月10日(日)に実施されました、第149回日商簿記検定試験の講評を公開させていただきます。

3級講評

全体

いくつか初めての言い回しになっている部分、初めて出題される形式の問題がありましたが、多くの配点を占める第3問・第5問についてはオーソドックスな取引がほとんどであり、過去問中心に勉強してきた方にとっては比較的取り組みやすい問題であったと思います。

第1問

すごくオーソドックスな取引が出題されましたね。ほぼすべてがテキストレベルの初歩的な取引だったと思います。

手形貸付金の問題が久しぶりに出題されていましたので、直前期に過去問題を中心に勉強していた方にとっては「久しぶりに見た」感があって、ちょっと焦ったかもしれません。
でも、それ以外の商品の売上(発送費が相手負担)、売掛金の貸倒れ、広告宣伝費の支払い、備品の売却は“いつもの問題”であり、確実に得点したいところです。
16点程度は欲しいですね。

第2問

勘定の締切の問題です。「保険料」が題材とされていましたが、
・再振替仕訳(前期分の調整)
・当期中の「保険料」の支払いを記入
・当期分だけを「保険料」とするため、次期分を「前払保険料」に振替
・当期分だけを利益計算に組み込むため「損益」勘定へ振替
・締切(「次期繰越」の記入)
という手順で処理できているかどうかを問われています。
講義でも繰り返しお話ししたとおり、勘定の締切(決算)の問題のポイントは“当期分の確定”です。その視点がまさに問われていました。

ただ、前期から「保険料」が10%アップしているなど、ちょっとした嫌がらせ(?)がちりばめられていましたので、少し難しく感じた方も多かったのではないでしょうか。
そういった点も含めて、再振替仕訳・取引・次期繰越の転記あたりで4点程度の得点が目標となるでしょうか。

第3問

とてもベーシックな取引だけで構成された試算表作成の問題です。第2問でちょっと面食らって時間を消費してしまったとしても、第3問で挽回できたと思います。
重複する取引もない最も典型的な試算表作成の問題であり、24~28点程度は欲しいところですね。

第4問

用語を穴埋めする形式の問題で、この形式の問題は5回目の出題でした。
穴埋め形式の問題で、用語を解答する形式の問題ですが、普段行っている仕訳や帳簿記入を想像しながら考えれば正答できた問題だと思います。
8点程度の得点が欲しいところです。

第5問

とてもオーソドックスな決算整理で構成された財務諸表作成の問題でした。
財務諸表作成の問題の場合、難しく感じる方が多いようですが、精算表の作成と同じことです。
精算表作成の手順と同様に
① 一つ一つ決算整理事項を仕訳する
② ①を問題文に示された残高試算表の勘定に加減する
③ ②の計算結果を、資産・負債・純資産項目ならば貸借対照表へ、収益・費用項目ならば損益計算書へ記入する
という手順で進めればOKですね。
決算整理事項がかなり容易な項目だけであり、24~27点程度欲しいところです。


日頃、過去問中心に練習している方にとってみれば、上記であげた得点(76~83点)は十分可能なラインでしょう。
合格率は前回と同じくらいで50%前後になるのはないかと予想されます。
合格発表が楽しみですね。


2級講評

全体

第2問で目新しい形式での出題がなされ、試験範囲が変更された余波でしばらく出題されていなかった本支店会計が久しぶりに出題されました。

最近の試験では、どこかで目新しい(得点しにくい)問題が出題され(今回の第2問)、他の問題でいたってオーソドックスな(得点しやすい)問題が出題される(今回の第3問)ことで、試験範囲変更時に生じる合格率の乱高下を回避しているような印象を受けます。

目新しい形式の問題が出題されたとはいえ、全体的な難易度はとても標準的でしたので、平均的な合格率が期待できるでしょう。

第1問

建物の修繕に関する問題が久々の出題でしたね(第139回以来)。資本的支出(建物)と収益的支出を区別できるか、収益的支出を修繕引当金の取り崩しと修繕費の計上に区別して処理できるかがポイントです。

また、リース会計の問題が出題されました。第147回では利子込み法による処理が問われましたが、第149回(今回)は利子抜き法による処理が問われました。両者の違いはリース取引における利息部分を「リース資産」「リース債務」に含めるかどうかです。

残りの3問は以前からよく出題されている問題ですから、最低でも12点、できれば16点は得点したいところです。

第2問

商品売買(売上原価対立法)・固定資産に関する一連の処理が問われました。
それらの取引が外貨建てで行われていて、為替レートの変動をきちんと処理できるかどうかが問われました。次の点がポイントです。

・外貨建て金銭債権債務
→為替レートの変動を反映させる。
本問では「買掛金」「未払金」が外貨建て金銭債務であり、為替レート変動の影響を受けますから、為替レート変動による支払額の変化を「買掛金」「未払金」に反映させます。

・その他の資産・負債・収益・費用
→為替レートの変動を反映させない。
取得時の記録において金額が確定するため、為替レートが変動しても影響は受けないので、為替レートが変動しても処理は不要。

「機械装置」「商品」「売上原価」の金額は輸入時の処理(為替レート)で確定します。
為替レートの変動で変化するのは、その後の支払額(「未払金」「買掛金」)です。
ですから、決算日に「機械装置」「商品」「売上原価」の金額を変化させないというのがポイントです。

また、売上原価対立法が採用されていますので、販売の都度売上原価を算定します。
したがって、メモ用紙に簡単な商品有高帳を書きながら、仕入・販売の数量等を整理していくと、間違いなく解答することができたでしょう。

商品売買の処理・為替レートの処理をそれぞれきちんと行うことができれば解ける問題ですが、目新しい形式での出題でしたので、少し焦ってしまった部分があるかもしれません。
合計12~14点程度の得点が標準的でしょうか。

第3問

久々に本支店会計の出題でした。
といっても、問題集で学習いただいた形式の問題であり(問題量は少し多めでしたが)、通常の決算(精算表や個別企業の財務諸表の作成)と比べて、特段工夫が必要な問題ではなく、いたってオーソドックスな形式の出題でしたね。

唯一、本支店会計に特有な処理と言えば、支店で計算された利益を本店の「損益」勘定に受け入れるという点ですね。
それ以外は通常の決算どおり、未処理事項を処理し、決算整理事項を処理して、合算すればOKであり、14~16点程度は欲しいところです。

第4問

工業簿記は前回に引き続き“ザ・典型”といってもいいような出題だったと思います。
第4問は直接原価計算で損益計算書を作成させる問題です。

工業簿記では製品の製造を「各原価要素(材料など)」→「仕掛品」→「製品」という勘定で記録していき、「仕掛品」勘定に対応するのが「製造原価報告書」、「製品」勘定に対応するのが「損益計算書の売上原価の部」である点をしっかり思い出しましょう。
本問では、「仕掛品」勘定と「損益計算書」の作成が求められていますが、これらの解答用紙はつながっているものであるとすぐに気づけましたか?

そこに気づくことができたら、あとは直接原価計算の特徴である「仕掛品」勘定の作成(製造原価の計算)を変動費だけで行い、利益計算(損益計算書の作成)の段階で固定費を全額算入する点を答案に再現できればOKです。
この点で、典型的な計算が求められているのであり、16~18点ほど欲しいところです。

第5問

第4問と同様、こちらも典型的な工程別総合原価計算の問題です。
仕損が組み込まれているので、月末仕掛品と完成品のどちらに負担させるのかを判断しなければなりませんが、それさえきちんと判断できれば、ほとんどひねりのない、いたって比較的容易な問題の部類に入るでしょう。
そのため、第5問でも16~18点ほど欲しいところです。


上記の目安によれば、70~82点程度の得点ができたはずです。
第2問の形式で面食らってしまったとしても、第3問・第4問・第5問でバランスが取られていたと思います。
平均的な合格率に落ち着くと思います。

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