試験講評

試験講評

第152回日商簿記検定試験 講評

2019/06/10

2019年6月9日(日)に実施されました、第152回日商簿記検定試験の講評を公開させていただきます。

3級講評

全体

いくつか新試験範囲からの出題がありましたが、初めての形式の問題もなく、多くの配点を占める第3問・第5問についてはオーソドックスな取引がほとんどであり、過去問中心に勉強してきた方にとっては比較的取り組みやすい問題であったと思います。

第1問

1.(固定資産税の支払い)、2.(手形借入金の返済)、3.(仮払金の精算)はテキストレベルの初歩的な取引だったと思います。一方、4.と5.が少し難しかったでしょうか。

4.は新試験範囲からの出題です。今年度より株式会社を前提とすることになり、株式の発行時の処理が問われるようになりました。
株式会社は株式を発行することによって商売の元手(資本金)を調達していますから、株式を発行したら「資本金」として記録します。

5.「備品」と「消耗品」の区別にひっかりそうです。コピー用紙のほうに目がいってしまい、オフィス機器とコピー用紙をまとめて「消耗品費」としてしまいそうになります。しかし、オフィス機器は長期間(1年以上使う)ものでしょうから、「備品」として処理しなければなりません。

上記のような特徴がありますが、16点程度をとりたいところですね。

第2問

記入すべき帳簿を解答する問題です。各日の仕訳ができれば記録すべき勘定が分かりますから、記入すべき帳簿も分かるはずです。取引自体はテキストレベルの初歩的な取引でしたので、

① 仕訳をして、
② 勘定を確認して、
③ 記入する帳簿を行う

という手順で解答を進めれば、正答できたと思います。
問1の16日の処理で整地費用を「土地」の取得原価にできていれば、問2の計算はとても易しいですね。16日の取引で「土地」の単価は31,100となります。
それを問2では単価36,000で売却しましたので、180m²分で882,000の売却益となります。
満点(10点)を取りたいところです。

第3問

とてもベーシックな取引だけで構成された試算表作成の問題です。3日・19日のクレジット販売、8日の差入保証金が新試験範囲からの出題ですが、処理はとても簡単です。

重複する取引もない最も典型的な試算表作成の問題ですが、新試験範囲の項目が入っているという点を考慮して、21~24点程度は欲しいところですね。

第4問

取引を“分割する方法”で記入されているか、“擬制する方法”で記入されているかの見極めがポイントです。

(1)では振替伝票の金額が取引全体の金額ですから“擬制する方法”での記入ですね。
(2)では出金伝票の科目が「仕入」ですから、“分割する方法”での記入ですね。
ここでも満点を取りたいところです。

第5問

とてもオーソドックスな決算整理で構成された財務諸表作成の問題でした。財務諸表作成の問題を難しく感じる方が多いようですが、精算表の作成と同じことです。精算表作成の手順と同様に

① 一つ一つ決算整理事項を仕訳する
② ①を問題文に示された残高試算表の勘定に加減する
③ ②の計算結果を、資産・負債・純資産項目ならば貸借対照表へ、収益・費用項目ならば損益計算書へ記入する

という手順で進めればOKですね。
貸倒引当金、売上原価、減価償却、見越・繰延×2つについては、毎回出題される典型的な問題でしたので確実に得点したいところです。
また、現金過不足、訂正仕訳、未記帳の処理についても、テキストレベルの問題でしたので、正答したいところです。

一方、消費税の処理は新試験範囲からの出題で、過去問でもこのような形での演習は余りできなかったかもしれません。得点できればもうけものくらいの扱いとなるでしょうか。
以上より、24~27点程度欲しいところです。

日頃、過去問中心に練習している方にとってみれば、上記であげた得点(81~87点)は十分可能なラインでしょう。合格率は前回より少し高いくらいになるのではないかと予想されます。合格発表が楽しみですね。

2級講評

全体

前回試験の反動か、全体のレベルはかなり易しい問題だったと思います。第1問・第2問は例年になく易しく、第4問・第5問も問題量も少なく、難易度も低い問題でした。

第3問で新試験範囲の問題がいくつか出題されたために、多少難易度が高かったかもしれませんが、上述の理由で、合格率は高めになるのではないでしょうか。

第1問

すべて基本レベルの取引であり、解答しやすかったと思います。前回(第151回)の試験では、第1問での問題文の言い回しが独特な感じで、(内容的にはテキストレベルの問題だったのですが)テキストの例題と結びつけて考えることができなかった方もいらっしゃるかもしれません。
それに比べると、今回の仕訳の問題は解きやすかったと思います。

1.は、端数利息(前利払日の翌日10/1~売買日12/1)を売却した側は受け取るという点がポイントです。9/1に取得した社債ですが、9/30迄の利息は9/30にすでに受け取っていますから、今回は10/1~12/1の利息だけを計算する点がポイントです。

2.は、利息の計算がポイントです。支払総額は150,000×10枚=1,500,000、陳列棚の現金購入価額は1,440,000ですから、差額が利息となります。

3.は、問題文の指示どおりに処理しましょう。残っている36,000を一旦戻し入れ(収益)、改めて当期分185,000を繰り入れます(費用)。

4.は、為替予約の問題です。為替予約を行った場合には、予約レートで換算しなおして、換算差額を「為替差損益」にできるかどうかがポイントです。

5.は、株式の発行の処理であり、受け入れた金額の半分を「資本金」、残りの半分を「資本準備金」とできるかどうかポイントです。
以上より、得意な領域、苦手な領域があると思いますので、16点程度は得点したいですね。

第2問

銀行勘定調整表を作成し、現金に関する決算を行う問題でした。
銀行勘定調整表については、企業側残高からスタートして銀行側残高にゴールする形式です。

テキストで学習したそれぞれの残高からスタートして正しい残高を求める形式の調整表の順序を入れ替える点がポイントです。また、必要な仕訳は会社側の修正事項だけです。銀行側の修正事項まで仕訳しないようにしましょう。

現金に関する決算については仮払金の精算や小切手の処理など典型的な取引だけでなく、外貨換算や配当金領収証の処理など少し応用的な問題が含まれていた点が難しかったかもしれません。
現金に関する決算が多少難しかったことを考慮しても、14点~18点は欲しいところです。

第3問

第1問・第2問が少し易しめの問題だったこともあり、少し難しめの決算の問題だったと思います。というのは、いくつか初めて出題される項目があったからです。

弊社問題集では過去問を修正して平成28年度以降の試験範囲変更による新項目を第3問の問題に埋め込んだ問題を提供していましたが、平成28年度以降の試験範囲項目が決算で出題され始めました。貸付金に関する貸倒引当金、税効果会計、消費税、その他有価証券あたりが難しかったでしょうか。

1つ1つの問題を単独で解く(第1問で出される)場合にはそれほど難しく感じなくても、総合問題の中に埋め込まれて解く場合には少し難しく感じることと思います。
すべて得点することは難しいかもしれませんが、12~14点程度は欲しいところですね。

第4問

部門費配賦表を作成し、製造間接費配賦差異の計算を行う問題です。
部門費配賦表は切削部、組立部への用益提供割合に応じて各部門費を配賦するだけですから、すべて正解したいところですね。自分には配賦しない点がポイントです。

問1から組立部門の標準配賦率が1時間あたり300円(2,400,000円÷8,000時間)、切削部門の標準配賦率が1時間あたり320円(1,920,000円÷6,000時間)と分かりますから、問題文に書かれている組立部門の実際配賦率(1時間あたり310円)と切削部門の実際配賦率(1時間あたり325円)との差が配賦差異となります。
いずれの部門も実際配賦率が大きいので不利差異となります。

問1もかなり容易な問題であり、そこで計算ミスさえしていなければ問2も正答できる可能性が高い問題です。満点を取りたいところです。

第5問

とてもオーソドックスな標準原価計算の問題です。
問1は製品Xの予算生産量に製品Xの原価標準を乗じるだけ、問2は製品Xの実績生産量に製品Xの原価標準を乗じるだけです。

問3もテキストの基本問題レベルの差異分析です。いつもの通り、材料差異はボックスを書いて、加工費(製造間接費)差異は図を書いて計算すればOKです。

差異計算で1つくらいミスしたとしても17点程度は欲しいところです。
上記の目安によれば、79~85点程度の得点ができたはずです。前回に比べるとかなり易しいレベルの問題でした。前回よりも合格率がかなり高くなると予想されます。合格発表が楽しみですね。

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