試験講評

試験講評

第153回日商簿記検定試験 講評

2019/11/18

2019年11月17日(日)に実施されました、第153回日商簿記検定試験の講評を公開させていただきます。

3級講評

全体

いくつか新試験範囲からの出題がありましたが、初めての形式の問題もなく、多くの配点を占める第3問・第5問についてはオーソドックスな取引がほとんどであり、過去問中心に勉強してきた方にとっては比較的取り組みやすい問題であったと思います。

第1問

2.(従業員からの社会保険料預り金の納付)、4.(借入金の返済と利息の支払い)、5.(固定資産の購入)はテキストレベルの初歩的な取引だったと思います。5.が請求書のかたちで示されたため新しい形式にみえたかもしれませんが、要は請求書に書かれている固定資産を購入しただけであり、特殊な取引ではありません。一方、1.と3.が少し難しかったでしょうか。

1.は新試験範囲からの出題です。印紙は購入時に「租税公課」、切手は購入時に「通信費」として処理しますがすべて使い切るとは限らず、使い残しがある場合には「貯蔵品」として記録することが求められます。

3.はこれまでの典型的な出題項目ですが、先方負担の発送費を「発送費」という費用にせずに、「売掛金」という資産として処理できるかどうかがポイントです。

上記のような特徴がありますが、2.4.5.は確実に得点し、1.3.のいずれかを得点し、16点程度をとりたいところですね。

第2問

勘定の締切の問題です。「家賃」が題材とされていましたが、

・再振替仕訳(前期分の調整)
・当期中の家賃受取り(受取家賃)を記入
・当期分だけを「受取家賃」とするため、次期分を「前受家賃」に振替
・当期分だけを利益計算に組み込むため「損益」勘定へ振替
・締切(「次期繰越」の記入)

という手順で処理できているかどうかを問われています。講義でも繰り返しお話ししたとおり、勘定の締切(決算)の問題のポイントは“当期分の確定”です。その視点がまさに問われていました。
見越・繰延が苦手に感じる方も多いかもしれませんが、上記の手順で処理して、6~8点程度欲しいところです。

第3問

ほとんどがベーシックな取引で構成された試算表作成の問題です。
6日の収益認識の処理(契約だけでは売上計上しない)、7日の剰余金の配当の処理が新試験範囲からの出題であり、処理するのが少し難しかったかもしれません。
8日・15日の電子記録債権の処理、30日の法人税の処理も新試験範囲からの出題ですが、処理はとても簡単です。
残りの取引は以前からずっと出題されているような基本的な取引だけであり、仮に上記の取引処理を誤ったとしても、21~24点程度は取れるのではないでしょうか。

第4問

商品有高帳の作成と売上高・売上原価の計算が問われています。
商品有高帳は在庫の数量とその仕入単価を明らかにするための帳簿であり、在庫の数量と在庫の単価に影響を与える取引を記入する点がポイントです。移動平均法で作成しますので、商品の仕入れのたびに単価を平均していきます。商品有高帳ができればその払出欄の合計額から売上返品の除いた額が売上原価となり、売上総利益をきちんと計算できます。
過去も頻出の問題であり、8点~10点は欲しいですね。

第5問

全体としてはとてもオーソドックスな精算表で、⑤貸倒引当金、⑥売上原価、⑦減価償却、⑧⑨見越・繰延×2つについては、毎回出題される典型的な問題でしたので確実に得点したいところです。
また、①売掛金の回収、②備品の購入、③現金過不足についても、テキストレベルの問題でしたので、正答したいところです。それに対して、④当座預金の処理は新試験範囲からの出題であり、少し迷われた方もいらっしゃるかもしれません。
でも④以外は、過去問で見たことのあるような事項でしたので、24点程度は欲しいところです。

日頃、過去問中心に練習している方にとってみれば、上記であげた得点(75~82点)は十分可能なラインでしょう。合格率も前回と同じくらい(40~50%くらい)になるものと予想されます。合格発表が楽しみですね。

2級講評

全体

また連結が出題されました!
連結は、第147回検定から出題範囲となり、第153回までの7回の検定で3回の出題頻度です。出題頻度としてかなり高い部類に入りますね。毎回出題される度に(特に第151回の出題では)多くの批判が出てくる連結の問題ですが、それでもこれだけ出題してくるところをみると、定番の問題にするつもりなのでしょう。

全体のレベルは第3問を除くと少し易しい程度の問題だったと思います。第1問・第4問・第5問はかなり易しく、第2問は初めての形式の出題ではありますが、内容的にはかなり解答しやすい問題でした。
第3問以外である程度の点数が取れるようになっている試験であると考えられるため、合格率は平均的な数字に落ち着くのではないでしょうか。

第1問

すべて基本レベルの取引であり、解答しやすかったと思います。前々回(第151回)の試験では、第1問での問題文の言い回しが独特な感じで、(内容的にはテキストレベルの問題だったのですが)テキストの例題と結びつけて考えることができなかった方もいらっしゃるかもしれません。それに比べると、今回の仕訳の問題は解きやすかったと思います。

1.は研究開発にのみ使うモノへの支出ですから、すべて「研究開発費」とする点がポイントです。

2.は、3級レベルの貸倒の処理ですね。

3.は圧縮記帳の処理です。補助金等の分だけ、取得した固定資産の金額を引き下げること(1)、引き下げ後の原価を使って減価償却の処理を行う点がポイントです。

4.は電子記録債権の譲渡です。「買掛金」がなくなるとともに「電子記録債権」がなくなります。手形の裏書譲渡による買掛金の支払いと同様に処理する点がポイントです。

5.は剰余金の配当の処理です。過去の利益の蓄積である「別途積立金」を「繰越利益剰余金」に戻してきて、その「繰越利益剰余金」を配当します。

得意な領域、苦手な領域があると思いますが、設問そのものはテキストレベルの問題ですから、16点程度は得点したいですね。

第2問

用語を選択される問題が出題されました。
これまで3級の第2問・第4問において10点程度の配点で出題されたことはありましたが、2級での出題ははじめてでした。ただ、問題に示されている項目に関して一連の処理の流れを頭に浮かべると、正答を容易に選択できたと思います。
連結が出題されるときには、それ以外の問題が比較的易しめに作られているようで、今回も比較的易しいと思われる第2問で得点してくれることを意図されているのだと思います。落ち着いて選択・解答して16~18点は欲しいところです。

第3問

連結の総合問題でした。第151回の連結が難しすぎたからか(税理士・会計士試験でも出題されないような複数の子会社がある問題)、今回は比較的易しめの連結の問題となっていました。
それでも、親会社が子会社が部品を売り、子会社はその部品を加工して作った製品を親会社にも売っているという少々厄介な設定がなされていて、時間内に、すべての項目について適切な処理を行って、すべてに正答することは難しいと思います。

これまで様々なところでお話ししたとおり、資本連結を確実に処理し、成果連結については解答しやすいだけ(例えば、債権債務の相殺・土地の未実現利益の消去・利息の相殺など)を解答し、部分点で10~12点程度を獲得できれば十分でしょう。
製品・原材料のあたりに深入りしすぎると、親会社から子会社へ販売され、また親会社へ販売される複雑な取引を処理しなければならず、かなり難易度が高くなります。

他の問題にしっかり解答し、時間が残っているのなら製品・原材料あたりにも取り組むべきでしょうが、他の問題を焦って解いて、第3問に時間を回すくらいなら、製品・原材料あたりを解かずに10~12点だけを取りに行く戦略が望ましいと感じました。

第4問

工業簿記一連の流れを本社工場会計で問われました。本社勘定・工場勘定を使って処理する点が特有ですが、テキストレベルの典型的な問題であり、過去問演習でも複数回取り組んだ問題であろうと思います。テキストp.17の一連の流れをきちんと理解して、完答したい問題です。

第5問

こちらも典型的な組別総合原価計算の問題です。加工費を機械稼働時間に応じてA製品とB製品に配分して製造原価を計算できれば、比較的容易な問題の部類に入るでしょう。そのため、16~18点ほど欲しいところです。

上記の目安によれば、78~84点程度の得点ができたはずです。第3問に連結があったものの、全体としては前回と同じくらいあるいは易しいくらいのレベルの問題でした。合格率は前回と同様あるいは少し高めになると予想されます。合格発表が楽しみですね。

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