試験講評

試験講評

第154回日商簿記検定試験 講評

2020/02/24

2020年2月23日(日)に実施されました、第154回日商簿記検定試験の講評を公開させていただきます。

3級講評

全体

いくつか新試験範囲からの出題がありましたが、初めての形式の問題もなく、多くの配点を占める第3問・第5問についてはオーソドックスな取引がほとんどであり、過去問中心に勉強してきた方にとっては比較的取り組みやすい問題であったと思います。

第1問

1.約束手形の振出、2.商品の売上・消費税の処理、3.電子マネー使用時の処理、4.固定資産の売却、5.利息の受け取りとも、すべてテキストレベルの初歩的な取引だったと思います。
特段の注意を要する問題もなく、全問正解して20点獲得したいところです。

第2問

帳簿から取引を類推し、仕訳で表現できるかどうかを問う問題です。
検定試験では、第1問のように、文章で書かれた取引を仕訳で表すことが一般的ですが、実務では、過去の企業の活動をチェックしたり、翌年度の計画を立てるために、過去の帳簿から過去に行った取引を確認する作業がよく行われます。ですから、文章を仕訳にできる能力だけではなく、帳簿から企業が行った取引を想像することもできるようにならなければなりません。
各帳簿には、その帳簿の勘定に関する増減しか記録されていません。ですから、このとき、取引全体を考えるためのポイントは日付をリンク情報として使って、各帳簿に書かれている取引をあわせて考えることです。
例えば、2月5日は
・現金出納帳に支出の記録
・買掛金元帳に貸方の記録=買掛金増加=仕入れたのでしょう
ということが分かります。
つまり、¥200,000の商品を仕入れて、代金は掛けとして、かつ、引取運賃¥3,000を支払ったという取引です。
このように、日付をリンク情報として使って、各帳簿から取引のパーツを拾い集めてくる作業が必要です。過去にもよく出題されてきた形式の問題であることを考えると6点程度は欲しいところです。

第3問

ほとんどがベーシックな取引で構成された試算表作成の問題であり、銀行ごとの預金勘定の使用、電子記録債権債務の処理が新試験範囲からの出題ですが、内容的には処理が容易な項目であり、全体としてはとても易しい試算表の問題だったと思います。難易度から考えると、24点程度は欲しいところですね。

第4問

用語を選択される問題が出題されました。これまでも数回出題されてきた形式の問題ですね。1.2.については、問題となっている取引の仕訳を想像しながら落ち着いて解答すれば、比較的容易に解答できたのではないでしょうか。
一方、3~6.については 勘定を答えるのではなく、簿記会計に関連する用語を答えさせる問題であり、これまで受験生が解答用紙に書き込むことはほとんどなかった用語です。仕訳はイメージできても“その用語”が出てこなかった方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、4.については「建物」や「備品」などの固定資産の勘定を使って処理することは分かっているけれども、そのように処理する方法を指す用語については意識していなかったかもしれません。
それでも、自分で記入するのではなく、選択肢の中から選ぶ形式の問題ですから、選択肢を見ているうちに思い出せた用語もあると思います。ですから、8~10点程度は欲しいですね。

第5問

少しひねりを加えた財務諸表作成の問題でした。
2.貸倒引当金、3.売上原価、4.建物の減価償却、7.繰延については、毎回出題される典型的な問題でしたので確実に得点したいところです。また、6.社会保険料の処理は毎回出題される項目ではありませんが、容易に解答できるため確実に得点したいところです。
さらに、5.消費税、8.法人税の処理は新試験範囲からの出題ですが、こちらも容易に回答できる項目ですから、確実に得点したいところですね。
一方、1.4.の備品については少しひねりが入れてあります。ちょっと迷ったかもしれませんが、1.は単に支払手数料を計上するだけ、4.は減価償却をしないということです。少し難しい問題も含まれていますが、24点程度は欲しいところです。


日頃、過去問中心に練習している方にとってみれば、上記であげた得点(82~84点)は十分可能なラインでしょう。難易度から見て、合格率は前回より少し高め(50%~60%くらい)になるのではないかと思います。合格発表が楽しみですね。

2級講評

全体

今回は連結が出題されず、安心できる問題でしたね。
ただし、連結が出題されない代わりに第1問が少し難しめの問題になっており、第1問 から解き始めた方は、試験が始まった最初の段階で少し焦りを感じたかもしれません。でも、解き進めていくにしたがって容易な問題が並んでいることに気付かれたのではないでしょうか。
全体のレベルは第1問を除くと少し易しい程度の問題だったと思います。
連結が出題されたときは第3問が難しく、それ以外が易しめ、連結が出題されないときは、どこか1つが難しく他の問題が易しめという傾向が続いています。
今回は、第1問以外である程度の点数が取れるようになっている試験であると考えられるため、合格率は平均的な数字(あるいは少し高め?)に落ち着くのではないでしょうか。

第1問

少しレベルが高い問題でしたね。テキストレベルの問題は 3. 4.だけであり、他の問題 はレベルが高かったり、ひねってあったり、少し難しく感じられたことと思います。やはり、第3問で連結が出ないときは、他の問題の難易度が少し上がるのかもしれません。
1.はリース料の支払いとリース解約の問題です。リース料の支払いの仕訳は難しくなかったと思いますが、リース解約の問題は初めてご覧になったものと思います。リース物件を消去する仕訳をすればいいだけなのですが、なかなか難しかったかもしれません。
2.設問自体はテキストレベルですが、問題文から情報を正しく選択できたかどうかがポイントです。返品調整引当金は返品されると予想される商品の売上総利益率部分に設定しますから、6ヶ月の売上¥14,400,000 のうち“50%”が対象であり、その返品率が“ 45%”、売上総利益率が“25%”という4つの情報が必要です。
3.4.はテキストレベルの問題ですね。
5.は初めてご覧になるような取引だったと思います。作り直しの対象となった¥5,800,000部分の勘定科目が何になるのか判断しなければなりませんでした。ソフトウェアが無形固定資産であること、問題文の中にある「除却することとした」という指示があることから「固定資産除却損」勘定で処理すると判断することになります。
上記より、3.4.+αということで 12点程度は欲しいところですね。

第2問

売上原価対立法による一連の処理を行わせる問題です。割戻し、割引、電子記録債権債務、手形の裏書きなど、商品売買に関するいくつかの論点が含まれていますが、それぞれの取引自体はテキストレベルの取引でした。
落ち着いて選択・解答して、16~18点程度は欲しいところです。

第3問

オーソドックスな決算の問題でした。
[資料Ⅱ]の未処理事項は過去問で頻繁に出題されてきたレベル・内容での出題であり、 確実に3つの処理を行いたいところです。
[資料Ⅲ]決算整理事項のうち、決算の問題で必ず出題されてきた1.貸倒引当金の設定、2.商品の評価、3.減価償却、8.見越・繰延の問題については確実に得点したいところですね。残りの決算整理事項のうち、4.のれんの償却、5.償却原価法、6.退職給付引当金の繰入は、毎回出題される項目ではないものの鉄板の問題かつ過去問でも多く出題されてきた項目であり、できる限り得点したいところですね。
一方、7.収入印紙の処理(貯蔵品)は新試験範囲の問題で出題実績が低かったことからあまり練習していない項目であり、9.10.税効果会計は少し難しい項目だったかもしれま せん。
すべて得点することは難しいかもしれませんが、14~16点程度は欲しいところですね。

第4問

個別原価計算の問題でしたね。2つの製品作成+1つの追加作業に関する処理を問う問題でした。製品・追加作業ごとに原価を集計し、仕掛品・製造間接費勘定に集計していく作業(解答用紙は製造間接費のみと完成品原価の計算が問われており、過去問でも何度も練習した問題でした。これらが問われている問2・問3は確実に得点したいところです。
また、問1で仕訳も問われていましたが、(1)(2)の仕訳はテキストp.17で学習した工業簿記一連の流れに該当する取引でしたから確実に得点したいところです。
仕訳の(3)が難しかったかもしれませんが、それ以外は確実に得点したい問題であり、16点程度は欲しいところです。

第5問

こちらも典型的な総合原価計算の問題です。仕損が工程の終点で発生していますから、すべて完成品に負担させる処理さえできれば、比較的容易な問題の部類に入るでしょう。
そのため、16点程度は欲しいところです。


上記の目安によれば、74~78点程度の得点ができたはずです。第1問の難易度が高かったものの、全体としては前回と同じくらい、あるいは易しいくらいのレベルの問題でした。
合格率は前回と同様あるいは少し高めになると予想されます。何とか30%に乗ってくださ い!