CFP資格とはどんな資格?CFPとAFPとFP1級の違いも解説
更新日:2023年9月15日
「ファイナンシャル・プランナー」の頭文字でもある「FP」を名乗れるのは、国家資格である「ファイナンシャル・プランニング技能士」資格を取得した方のみとなります。
このFPの資格は試験実施団体が2つあったり、FP2級の試験も業務によって複数に分かれていたり、AFPやCFPといったFP資格とは直接関係ないように見える資格もあるなど、なかなか構造が複雑になっています。
そこでこの記事では、特にFP資格の中でも最上位資格と言われているCFP資格に注目。このCFPとはどんな資格なのか、FP1級資格とは何が違うのか、どうすればCFP資格を取得できるかなどに関して解説していきたいと思います。
この記事を読むことでCFPに関する知識はもちろん、FP資格やAFP資格に関しても理解しやすくなるかと思いますので、これからFP資格を目指す方はぜひご一読ください。
CFP資格とは?
CFPは「Certified Financial Planner」の頭文字。日本語では「認定ファイナンシャル・プランナー」と呼ばれています。
CFPは北米やアジア・オセアニア、ヨーロッパなど世界25の国や地域で認定されている国際資格(2023年2月現在)であり、取得すれば世界的に活躍できる資格となります。
日本国内でFP資格といえばFP1~3級というのが一般的で、CFPという資格は耳慣れないかもしれません。しかし、国際的にも認められている資格であり、これから資格取得を目指す方は、ぜひ意識していただきたい資格となります。
CFP資格の世界的な価値
CFPは上記の通り、北米やヨーロッパ、アジア、オセアニアなど日本とかかわりの深い地域で認定されている資格です。しかも、日本はもちろん各国ではFP資格の最上位資格として認められているため、世界的に見ても非常に価値の高い資格と言われています。
世界的に認められている理由は、CFP資格が掲げるコンセプトにも表れています。CFPは「4つのE(教育=Education・試験=Examination・経験=Experience・倫理=Ethics)」と6つの実務プロセス指針をコンセプトとしており、世界どこの国でもFPとして一定水準以上の業務が行えることを掲げています。
そのためにCFP資格には2年ごとの更新が義務付けられています。更新と言っても手続きを行うだけではなく、しっかりと研修を受講し、単位を取得しないと更新ができません。
常に新たな知識を身につけながら、世界中で活躍できる水準をキープし続けることを目標にしている資格であり、CFPは加盟する25の国や地域において、非常に価値の高い資格であると評価されています。
CFPを取得するメリット
CFPはFP関連資格の中でも最上位の資格です。取得するのは簡単ではありませんが、それだけメリットも大きい資格であることは間違いありません。
そんなCFP資格を取得するメリットを紹介していきましょう。
顧客に対し大きな安心感を与えることができる
FPという仕事は、顧客の資産運用や管理、さらにライフプランに関するアドバイスを行う資格です。その仕事内容からも、重要になるのが、顧客からどれだけ信頼されるかという点でしょう。
顧客としても自身の資産運用に関して、アドバイスを受けるわけですから、信頼できる方の言葉を求めています。とはいえ、初対面のFPを信頼できるか判断する材料はそう多くはありません。
そんな判断材料の一つが、FPが取得している資格です。FP3級よりもFP2級を持っている方のほうが信頼できるのは間違いありません。そんなFP資格の最上位資格ですから、顧客からの信頼度という点では、CFP以上の資格はないといえるでしょう。
顧客が安心して相談できれば、より適切なアドバイスができるもの。そう考えると、CFPという資格を取得するというメリットは非常に大きいといえます。
国際的に活躍できる
CFP資格の大きなメリットが国際資格であるという点。つまり、CFPを認定している国であれば、国外でも活躍できるのがCFP資格を取得する大きなメリットです。
海外でFPとして活動するというイメージが湧かない方もいらっしゃるかと思います。FPの仕事は、資産運用などのアドバイスなどが中心ではありますが、各種セミナーの開催や、執筆活動などいろいろな形があります。
海外を目指したいという方は、自分が海外でFPとして活動する場合をイメージしながらCFP取得を目指すといいでしょう。
ただし、海外で活躍するためには、CFPの取得だけでは当然ですが不十分です。現地の言語をしっかりと操れるという語学力は当然必要になりますし、現地の経済状況やそれぞれの事情、文化や経済政策にも精通している必要があります。
海外で働くと考えた場合、CFP資格取得よりも、こうした現地の情報を得ることの方が重要かもしれません。
将来的に海外で働きたい、そのためにCFPを目指したいという方は、CFPの取得は最低条件と考え、現地で働けるような知識を身に着けることもイメージしておきましょう。
常に知識のアップデートが可能
CFP資格とFP資格の大きな違いとして、更新が義務付けられているという点が挙げられます。更新には研修における単位取得が必須となるため、CFP取得者は、2年に1度研修を受講する必要があります。
研修を受講し、更新をする必要があるという点は、一見デメリットに見えるかもしれませんが、これは大きなメリットです。研修を受けて単位を取得するということは、それだけ自分の持つ知識をアップデートしていくチャンスがあるということ。
CFPの資格を持つ方は、常に最新の情報を身に着けているとも考えることができます。これはFPとして仕事していくにあたり大きなメリットとなります。
CFP資格・AFP資格・FP1級の違い
日本国内でFPとしての業務に当たる際、必要とされる資格にはいろいろな種類があります。その代表格が国家資格であるFP資格となりますが、このFP資格も1~3級があったり、2級には5つの種類があったりとなかなか複雑なもの。
さらにFP資格が分かりにくいのは、国家資格としては珍しく試験実施団体が2つあるという点。どちらで受験するのがいいのか、受験団体ごとに違いがあるのかなども分かりにくいところです。
また、CFPについて調べていると、さらにAFPという新たな資格も登場します。FP資格だけでも複雑なところに、AFP、CFPといろいろな資格が存在するため、結局何をどうすればいいのか分からないという方もいらっしゃるかと思います。
そこでここからはCFP資格を中心に、FP資格やAFP資格に関して分かりやすく解説していこうと思います。
国際資格と国家資格
FP資格とは、日本国内で認定される国家資格です。FP資格には1~3級があり、もちろんFP1級が最上位資格となります。
日本国内におけるFP資格は、実施団体が2つあるという珍しい資格です。ひとつは「日本FP協会」、もうひとつは「金融財政事情研究会(以下:きんざい)」です。どちらの団体で受験しても、難易度は変わりませんし、試験によっては同じ問題が出題されます。
実施団体が違うと、別の資格と考えがちですが、FP資格に関しては、どちらで取得しても同じ資格が手に入ります。
ただしこのFP資格は日本国が定める国家資格です。日本国内では有用な資格ですが、国際的には認可されていない資格です。もちろん海外では活用できない資格ということになります。
CFPは繰り返し説明している通り国際資格です。取得することで、日本国内に限らず、世界的に活躍できる資格となります。日本の国家資格の最上位となるFP1級との難易度比較は難しいところですが、取得に至る手間などを考えると、CFPの方が取得は難しい資格といえるでしょう。
CFPとFP資格の決定的な違いは、国際資格か国家資格かという点であることをまずは覚えておきましょう。
AFPはCFP受験のために取得必須
FP資格、CFP以外に、AFPという資格も存在します。このAFPに関しても簡単に説明しておきましょう。
AFP資格とは、CFPを受験するために取得必須な資格となります。AFP資格を取得するには、FP2級を取得したうえで、認定研修を修了する必要があります。
立ち位置としては、FP2級よりも研修を受ける分やや上位の資格と言いうことになりますが、AFP資格はCFPを受験するための資格という印象が強い資格となります。
もちろんFP2級だけではなく、AFP資格も取得しているとなれば、業務上有利になる点はあるかもしれませんが、それほど大きな差はありません。AFP資格取得は3~6ヶ月程度の研修を受けるだけで、特に試験があるわけではありません。
AFPはCFPを受験するための資格。そう考えておいた方がいいでしょう。FP2級を取得し、さらにCFPを目指すという方が、CFPの受験資格を満たすために取得するのがAFP資格ということになります。
AFPの取得難易度はFP2級とほぼ同等と考えて問題ありません。しっかりと認定研修を受講すれば認定される資格ですので、CFPを目指す方は、まずはAFP認定者として登録するようにしましょう。
CFP資格を取得するためのステップ
上のAFP資格の説明でも触れましたが、CFP資格取得のためのステップを紹介していきましょう。現状FP資格を持っていない方、さらに実務経験がない方を想定して解説していきます。
★CFP試験を受験するためのステップ
・FP2級資格を取得
・AFP研修を修了しAFP資格者として登録する
実務経験がない方にとっては、FP2級を取得するのもある程度の勉強時間を要することになります。また、FP2級には受験資格が必要です。受験資格は実務経験で得られますが、実務経験がない方は、FP3級資格を取得する必要があります。
FP2級の資格には5つの種類がありますが、CFPを目指す場合はどの種類で取得しても問題ありません。
AFP認定研修に関しては、日本FP協会が認定している団体で受講可能。AFP認定研修にはいくつかの種類があり、FP2級の資格の取得前でも、取得後でも受講は可能です。
FP2級取得前に受けるAFP研修を「基本課程」と呼び、FP2級取得後に受講するAFP研修を「技能士課程」と呼びますが、どちらを修了してもAFP認定者として認められます。
AFP認定研修の修了と、FP2級資格取得の両方の条件を満たせば、AFP認定者となります。CFP試験を受験するためには、このAFP認定者となる必要があります。
AFP認定者もCFPと同様に更新が義務付けられており、更新のためには研修の受講、単位の取得が必須となります。CFPを目指す場合は、AFP認定者としての勉強と、CFP取得に向けての勉強を同時に行うわけです。
AFP認定者として必要になる費用は、入会金が10,000円、年会費が12,000円ですので、CFP認定者を目指す方は、できるだけAFP認定者でいる期間を短くできるようにするのがおすすめとなります。
CFP資格審査試験に合格する
AFP認定者となると、CFP資格取得のために試験、「CFP資格審査試験」を受験することができます。
CFP資格審査試験は6科目。すべての科目において合格点を取らないと合格できない試験です。試験は年に2度実施されており、この試験で合格するとCFP認定者としての資格を得ることになります。
CFP資格審査試験は1科目ずつでも受験が可能。仮に1度の試験で1科目の合格を目指した場合、3年ほどでCFP認定者の資格を得ることになります。CFP資格審査試験は難易度の高い試験として知られており、多くの受験生は、複数回に分けて受験するもの。
AFP認定者として仕事や勉強をしながら、自分のペースでCFP資格審査試験に合格できるよう勉強を進めていきましょう。
ただし、このCFP資格審査試験に合格したからと言って、すぐにCFP認定者となるわけではありません。試験合格後の流れを紹介していきましょう。
CFPエントリー研修を受講・修了する
CFP資格試験の6科目すべてに合格した方は、CFPエントリー研修を受講します。さらに3年間の実務経験があればCFP資格の認定者としての資格を得ることとなり、新規登録料5,000円、年会費12,000円、CFP会費8,000円を支払うことでCFP認定者と認められます。
実務経験がない方は、「みなし実務研修」などを受講することで3年分の実務経験と同等と見做され、その後CFP認定者として認められることになります。
実務経験の有無で、CFP認定を受ける形は変わりますが、いずれかの方法で実務経験を積んでから、新規登録料などを支払ってCFP資格者となります。
CFP資格の合格率と難易度
FP資格の中では最高位とされるCFP。その取得難易度は当然高く、FP1級に合格するのと同等かそれ以上の難易度と言われています。
とはいえ、それだけでは難易度のイメージがしにくいかと思いますので、CFP資格の難易度を近年の合格率などから紹介していきたいと思います。
2023年度CFP資格審査試験の合格率
まずは2023年11月度試験の合格率データを紹介していきましょう。
受験者総数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
11,925名 | 866名 | 7.3% |
課目 | 受験者総数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
金融資産運用設計 | 3,166名 | 1,056名 | 33.4% |
不動産運用設計 | 2,509名 | 955名 | 38.1% |
ライフプランニング・リタイアメントプランニング | 2,530名 | 895名 | 35.4% |
リスクと保険 | 3,126名 | 1,104名 | 35.3% |
タックスプランニング | 2,590名 | 923名 | 35.6% |
相続・事業承継設計 | 3,051名 | 1,048名 | 34.3% |
参考:日本FP協会 2023年度第2回CFP®資格審査試験結果
受験者総数は11,925名。このうち合格者数は866名で合格率は7.3%と10%を切っています。さらに細かくデータをチェックすると、2023年11月度試験で、6科目全てを受験した方はわずか153名。その中で、6科目全てに一発合格した方は15名で、合格率は10%を切っていました。
試験科目6科目をすべて受験する方の割合は、受験者数のわずか1.3%程度。一発合格する方は0.13%という狭き門となっています。
課目別の合格率に大きな差はなく、全体的に35%前後の合格率。CFPを目指す多くの方は、まとめて6科目に合格するより、3科目ずつ2度に分けての合格を目指す方など、複数回挑戦する方が多いようです。
難易度は難関国家資格クラス
難関試験として知られている司法書士試験の合格率が、例年3~5%程度。この数字と比較すると司法書士試験よりはやや簡単な試験に見えるかもしれません。しかしそうとも言い切れないのが受験者のレベルの違いです。
CFP試験を受験できる方は、FP2級資格を持ち、かつAFP認定研修を修了している方のみ。つまり受験者全体を見れば、かなりハイレベルな知識を持つ方が受験していることになります。
一方司法書士試験に受験資格はありません。どんな方でも受験できる資格ですので、中にはまだ受験準備が整っていないうちに挑戦している方も多数いらっしゃるかと思います。
誰でも受けられる試験と、受験に条件がある試験では、受験者のレベルが違うため、一概に合格率のみで比較するのは難しいところ。少なくともFP2級資格に合格できるレベルの方が集まっている中での7.3%は、相当難易度が高い試験と想像できます。
さらに6科目まとめて合格するというのはさらに難易度が高い挑戦です。上で紹介したケースでも、レベルの高い受験者の中で、わずか1.3%しか挑戦しておらず、さらに合格した方はそのうちの1割程度。決して簡単な試験ではないというのが、このデータからも分かるかと思います。
ちなみに司法書士試験に独学で合格するために必要な勉強時間は3,000時間程度と言われています。これと同等か、それ以上に難易度が高いCFP試験に挑戦するには、ある程度しっかりとした勉強時間を確保する必要があります。
まとめ
CFPという資格は、FP資格の最上級資格として知られています。通常のFP資格は国家資格のため日本国内でしか活用できませんが、CFP資格は国際資格。世界25の国や地域で認定されている資格ですので、日本に限らず海外でも活用することができる資格です。
日本国内でCFP資格を取得するにはいくつかのステップが必要になります。それらのステップも考慮すると、数年がかりで資格取得を目指すという非常にスケールの大きな資格です。これから目指す方は、数年単位で取得するイメージを持ち、CFP取得に向けて一歩ずつステップアップしていきましょう。
CFP資格を取得するためのCFP資格審査試験は難易度の高い試験。出題難易度だけで言えば、司法書士試験などよりも難易度が高いとも言われるほどです。試験に挑戦するという方は、十分な準備を行い、着実に合格を目指していきましょう。
まだFPに関する資格を持っていない、実務経験もないという方は、まずはFP2級の取得を目標に掲げ勉強するのがおすすめ。CFPを目指すためには取得必須になるのがFP2級です。また、FP2級を持っていれば、仕事でも活用できる場面が増えますので、取得して損がない資格でもあります。
FP2級資格取得後は、資格を活かして仕事をしながら、少しずつCFP取得に向けての勉強を進めていきましょう。
金山浩晃(かなやま ひろあき)
合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天