外貨建て商品と為替とは?|わかりやすくFP解説

更新日:2020年2月4日

外貨建て商品と為替とは?
目次

外貨建て商品と為替とは

外貨建て金融商品は、商品自体の値動きと為替の値動きで二重のリターン(収益)が期待できる反面、商品自体の値動きと為替の値動きによる二重のリスクのほかにカントリーリスクもあるハイリスク・ハイリターンの商品といえます。

為替リスクとは

外貨建て商品で運用を行う場合には、まず日本円を外貨に換える必要があります。また、将来換金する際には、外貨を円に戻さなければなりません。

そのため、円と外貨との交換レート(為替レート)が変化した場合には、利益(為替差益)や損失(為替差損)が生じる可能性があります。これを為替リスクといいます。

円と外貨の交換(為替)レートとは

円と外貨の交換レートとは、海外旅行へ行った際日本円を外貨へ交換する際などに適用される為替レートをいいます。

この為替レートを考える上で、以下の3つの単語をおさえておく必要があります。

TTM(仲値)とは

金融機関が決めるレートであり、TTSとTTBの基準となります。多くの場合、決定時点の市場レートであることが多いようです。

TTS(対顧客電信売相場)とは

顧客が金融機関で円を外国通貨に交換するときのレートをいいます。

TTB(対顧客電信買相場)とは

顧客が金融機関において外国通貨を円に換算するときのレートをいいます。

TTS・TTBの仕組みとは

円と外貨の交換(為替)レートとは

円と外貨を交換する際には、銀行等へ支払う手数料が発生します。TTSとTTBは、手数料を含んだ交換レートです。例えば米ドルの場合には、両者はTTMを挟んで上下1円ずつの幅があるのが一般的です。この差額が銀行等の手数料です。

つまり、手数料はTTSとTTBでそれぞれ(片道)1円ずつ、往復で2円かかることになります。

したがって、外貨を円に戻すときには、円を外貨に換えたときより2円以上円安になっていないと、為替差損が生じることになります。

交換レートの具体例とは

ドルの場合で考えてみましょう。

交換レートの具体例とは
  1. 金融機関は為替市場でドルを調達してきます。このときのレートをスポットレートといい、TTMに近いレートです。
  2. 例えば、$1=¥100であれば、¥100で$1を調達できることになります。

  3. 顧客は金融機関からドルを購入(円をドルに交換)します。このときのレートがTTSです。金融機関は市場で手に入れた外貨を顧客に売るわけですから、TTMよりもTTSの方が高くなければ儲けが出ません。
  4. 金融機関は1.で調達した$1を顧客に売ります。$1=¥102で売れば、¥2儲かります。したがって、TTS>TTMとなります。

  5. 顧客はしばらくドルを保有して、また円と交換します。例えば、円安になったとしましょう。顧客は金融機関にドルを売ります(ドルを円に交換する)。このときのレートがTTBです。
  6. TTBが$1=110であれば、顧客は$1=¥102で手に入れたドルを$1=¥110で売れるわけですから、¥8儲かります。

  7. 金融機関は顧客から購入したドルをすぐに市場で売却します。このとき、顧客から仕入れたレート以上で売らなければ損してしまいます。
  8. 例えば、$1=¥112であれば、金融機関は顧客から仕入れたドルを市場で売却することによって¥2儲けることができます。したがって、TTM>TTBとなります。

  9. ここでは円とドルを交換する際、$1あたり¥2の手数料を払ったことになります。このような場合、片道2円の為替手数料といいます。

外貨建て商品と為替に関するよくある質問

過去問題を解く中で、外貨建て金融商品の取引についてを問われる時、個人(居住者)などの表現が出てきます。あえて、居住者と入れることに何か意味があるのでしょうか。

「居住者」と敢えて記載する意味は、日本に住んでいる人が取引をするために海外に居住し、外貨建て商品取引をしているという可能性を排除するというという意味を含めるためと推定されます。

ある問題において外貨建て商品の利息(20%)についての指示が一切ありませんでしたが、これはどこで判断するのでしょうか?

過去問集を解いた限りでは必ず問題文中に「利息に対しては、〇ドル建ての利息額の20%相当額が所得税・住民税として源泉徴収される(復興特別所得税は考慮しない)」といった指示がありました。

これは、この問題については「復興特別所得税については考慮しないこと」という一文で「当然に」20%の所得税・住民税が発生していると判断しなければならないのでしょうか?

利息に関してですが、基本的に記載が無くとも当然にかかってくるものだという認識で誤りはございません。

外貨預金には利息が20%(所得税15%、住民税5%、別途復興特別所得税0.315%)ですので、外貨預金の問題に関しては、利息20%がかかってくるものだとお考え下さい。

ただし、ご指摘のように、試験では指示文があることが一般的です。

この記事の監修者は
金山浩晃(かなやま ひろあき)

合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天

FPコラム一覧へ戻る