経済・景気動向の把握とは?|わかりやすくFP解説

更新日:2020年1月17日

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目次

経済・景気動向の把握とは

国内の景気や経済の動向は、各種の経済指標によってうかがい知ることができます。経済指標には、GDPや経済成長率、景気動向指数などがあります。

GDPとは

GDPは、国内総生産と和訳します。

これは、国民経済計算(SNA)の中心となる指標です。内閣府が集計して四半期ごとに年4回発表します。国内で1年間に生産された財やサービスの付加価値の総額を示すもので、「一国全体の経済の大きさ」を表します。

GDPには、生産面から見た「国内総生産(生産側)」、支出面から見た「国内総生産(支出側)」という2つの指標がありますが、この2つの指標の数値は三面等価の原則によって等しくなります。

国内総生産(支出側)においては、民間最終消費支出(=個人消費)が最も高い構成比(約6割)を占めています。

GDPには、名目値と実質値があります。

名目GDPとは、付加価値をその年の価格で合計したもので、実質GDPとは、付加価値を基準年の価格に戻して合計したものをいいます。

実質GDPは、基準年からの物価上昇分を差し引いたもので、名目GDPをデフレーターと呼ばれる物価指数で割ることによって求められます。

実質GDP=名目GDP/デフレーター

経済成長率とは

一国の経済規模の成長度合いを表すもので、一般にGDPの1年間の増加率を指します。経済成長率には、名目GDPの増加率を示す名目経済成長率と実質GDPの増加率を示す実質経済成長率があります。

単に成長率といった場合には、実質経済成長率を指すのが一般的です。

実質経済成長率=当期の実質GDP―前期の実質GDP/前期の実質GDP×100

各名目経済成長率と実質経済成長率の関係は、以下のようになります。

各名目経済成長率―物価上昇率=実質経済成長率

景気動向指数とは

景気動向指数とは、経済活動において重要かつ景気動向に敏感な様々な指標の動きを統合した指標です。内閣府から毎月発表され、景気の現状判断や将来予測のために利用されます。

生産、労働、消費などの分野から代表的な30の指標を選定し、それらの3系列に分類し、それぞれの系列ごとに指標を算出します。

  • 先行指数:景気に先行して動く「先行系列」の11指標を指します。
  • 一致指数:景気に一致して動く「一致系列」の10指標を指します。
  • 遅行指数:景気に遅れて動く「遅行系列」の9指標を指します。

具体的な採用指標とは

先行系列とは

先行系列の具体例としては、新設住宅着工床面積があります。

これは、建築主から都道府県知事に提出された住宅の建築工事届を集計した指標です。国土交通省が毎月発表しています。

一般系列とは

一般系列の具体例としては、生産指数(鉱工業)=鉱工業生産指数があります。工業または製造業に属する企業の生産活動状況を示す指標です。経済産業省が毎月発表しています。

また、有効求人倍率も一般系列の一つです。公共職業安定所で扱った月間有効求人数を月間有効求職者で割ったものをいいます。これは、求職者数に対する求人数の割合です。新規学卒者の求人数・求職者数は含みません。厚生労働省が毎月発表しています。

遅行系列とは

遅行系列の具体例としては、家計消費支出があります。これは、日常生活を営むにあたり、必要な商品購入やサービス利用などの家計全体の消費支出をとらえた指標です。総務省が毎月発表しています。

また、完全失業率も遅行系列の一つです。労働力人口(満15歳以上で働く意志をもつ者)に占める完全失業者数の割合をいいます。これは毎月総務省が発表しています。

景気動向指数の「DI」と「CI」とは

景気動向指数には、「DI(Diffusion Index)」と「CI(Composite Index)」の2種類があります。従来はDIが代表的な指標として発表されてきましたが、平成20年の4月分からCIを中心として発表されることに変わりました。

DIとは

3か月前の数値と比較して+の指標を1、横ばいの指標を0.5として合計し、各系列の指標数で割った割合で示します。

DIは主として景気の局面や転換点の判定に用いられます。一致指数DIが3カ月以上連続して50%を上回れば景気拡大(上昇)局面、50%を下回れば景気後退(下降)局面と判断されます。

CIとは

各系列内の指標の前月からの変化率を合成し、その合成変化率を前月のCIに乗じて算出します。主として景気変動の大きさやテンポ(量感)を表します。

経済・景気動向の把握に関するよくある質問

景気動向指数とは何ですか?

景気動向指数は景気の動きを把握できるように作成された指標です。(30項目の基礎指標を使って算出)「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3つの系列に分けられます。

①先行系列とは、景気の動きに先行して反応をしめす指標のことです。

先行系列の指標として、消費者態度指数や東証株価指数など、11項目の指標を利用しています。先行系列の指標から算出された指数のことを先行指数といいます。先行指数は、数ヶ月先の景気の動きを示します。

②一致系列とは、景気の動きにあわせて反応をしめす指標のことです。

一致系列の指標として、生産指数や有効求人倍率など、10項目の指標を利用しています。一致系列の指標から算出された指数のことを一致指数といいます。一致指数は、景気の現状を示します。

③遅行系列とは、景気の動きに遅れて反応をしめす指標のことです。

遅行系列の指標として、家計消費支出や完全失業率など、9項目の指標を利用しています。遅行系列の指標から算出された指数のことを遅行指数といいます。遅行指数は、半年から1年遅れで反応します。

一致指数の具体例を教えてください。

一致指数には、生産指数や耐久消費財出荷指数、所定外労働時間指数などがあります。この他、7つの指数を総合したものを一致指数と呼んでいます。

購買力平価説とはどのような説ですか?

購買力平価説は、為替相場は長期的には購買力平価で決まってくるという考え方で、モノの取引が自由に行われている限り、その価値は世界のどこでも同じになるはずだ、という考え方が基本になります。

例えば、全く同じモノが、アメリカでは1ドルで、日本では100円で売られているとする場合、1ドルと100円は同じ購買力を持つ、つまり、貨幣価値は同じということになり、1ドル=100円が妥当な為替レートになります。

ところが、日本の物価が上がり、同じモノが150円になったとすると、1ドルと150円が同じ購買力になるので、妥当な為替レートは1ドル=150円ということになります。

つまり、購買力平価説に基づいていうならば、物価水準の上昇(インフレ)はその国の通貨安につながるということになります。

通貨が安いか高いか、というのはアメリカからみて日本の通貨がどうかということで判断します。

この場合、アメリカからみて日本の通貨は高いことになりますから、日本においては、通貨が安いことになります。これが円安と言われている状況です。

円高・円安という言い方は、円高といったら、海外からみた日本の円が高いことを意味するので、100円が80円、70円になることをいい、円安といったら、海外からみた日本の円が高いことを意味するので、100円が150円、180円になることをいいます。

購買力平価説では、ある国の物価上昇率が相対的に高い場合、その国の通貨価値は他の国からみて減価すると考えます。

したがって、購買力平価説によれば、通貨を異にする2国間において物価上昇が継続的に高い方の国の通貨は、長期的には、低い方の国の通貨に対する価値が下がることになります。どこの国からみた基準かということに気をつけてみてください。

この記事の監修者は
金山浩晃(かなやま ひろあき)

合格の先をイメージして!
【出身】埼玉県
【趣味】NFL(アメフト)観戦、カフェ巡り
【座右の銘】雲外蒼天

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