実務家密着取材

直撃インタビュー
ファイナンシャルプランナー 國松典子さん

ファイナンシャルプランナー   國松典子 さん

1968年千葉県生まれ。愛知県出身。学生時代からさまざまなアルバイトを経験。1990年に三重大学人文学部卒業後、コンサルティング系会計事務所に就職。税理士部門で会計監査、決算業務に約5年携わった後、FP事業部の立ち上げに責任者として関与。課長・マネージャー職として5年勤務した後、東京事務所に転勤。2005年に、くにまつのりこFP事務所を立ち上げ、2011年6月に株式会社FPQとして法人化し現在に至る。

FP國松典子さんが代表取締役を務める株式会社FPQのホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.fpq.jp


「メディカル」、「メンタル」、「マネー」
人生で大事な3つのMをサポートする女性起業家FP

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、ファイナンシャルプランナーの國松典子さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


大きく分けると、個人向け相談業務と法人向けコンサルティング業務という二つの業務をメインにしています。まず個人向け相談業務の場合は、生命保険の見直し、住宅購入の相談・住宅ローン選び、家計改善、資産運用等ですね。シミュレーション・キャッシュフロー診断・アドバイスまで一通りの流れでサービスを提供しています。自営業者向けに、事業保障・生活改善・リタイア後積立金対策・従業員福利厚生対策等のコンサルティングを行うこともあります。もうひとつの法人向けコンサルティング業務に関しましては、財務体質改善対策・福利厚生対策・相続事業承継なども行います。また、リスク診断、資産形成、相続事業承継対策に至るまで医院・歯科医院・医療法人向けサービスもご提供しています。約12年間、コンサルティング系会計事務所に勤務していた経験から、人事・会計・経理まで幅広い経営サポートを得意としています。最近では、上場企業・中小企業のFP事業をプロデュースする依頼も受けています。


累計1000組超のFP相談業務に従事している國松さん

累計1000組超のFP相談業務に従事している國松さん


ファイナンシャルプランナーの資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


私が初めて「ファイナンシャルプランナー」という言葉を知ったのは、1990年代前半のことだったと思います。当時勤務していたコンサルティング系会計事務所の税理士部門で担当顧客から、保険や金融商品、年金や融資のご相談を受けているうちに、決算や月次巡回監査業務という仕事以上に、お客様の生活に一歩踏み込んだサポートをしたいと思うようになりました。それこそが、ファイナンシャルプランナーという仕事である、と分かり始めたものの、当時は資格の試験制度も未整備で、ほとんど認知されていない状態でした。勤務先の税理士所長が日本FP協会の専務理事に就任したことも契機となり、会社を通じて1993年にAFPの資格を取得しました。CFP®の資格は、それから2年後に取りました。


CFP®と1級FP技能士のほか、行政書士の資格も持つ

CFP®と1級FP技能士のほか、行政書士の資格も持つ


資格を取得してから、どのようにお仕事にいかされたのでしょうか?


私がAFPを取得した頃、勤務先で、生命保険の見直しをメインとするコンサルティング部門を立ち上げるということになりました。実はその当時、顧問先企業の社長がパートの時給を10円昇給するか悩む一方で、企業や個人が年間1000万円以上の生命保険を払っているという現実がありました。そこで、私はお金の使途のバランスに対して強い違和感を覚え、「お金はどこに、どのように使われるべきか」ということを考えるようになりました。当時の勤務先では生命保険については資金繰りと税務に関してアドバイスしていましたが、そのお金が本当に目的に合致し適切な額かどうかということまで考えることは、ほぼ業務外に近い状態でした。そこで、勤務先の事務所内で独立したFP部門を立ち上げ、顧問先企業の保険の適正化、経営者個人(役員)の生命保険の見直しコンサルティングを中心に展開することに。当初は、事務所内でもなかなか活動が認知されませんでした。徐々に、顧問先企業からご好評いただき、喜んでいただけるようになりました。事務所職員たちから、「自分の担当顧問先も見て欲しい」という依頼がひっきりなしに来るようになり、部門も増員するまでになりました。


独立のきっかけは何でしたか?


私が独立したのは、2005年です。結婚してパートナーとなった夫は画商で、東京在住だったため、私も東京へ移り住むことになりました。子どもを授かるまでは勤務先の東京事務所のFP事業部で働いていました。妊娠期間中も、通常勤務と同じように日帰り出張等をしていたのですが、無理がたたったのか、4度に及ぶ入退院を繰り返し、母子ともに危険な状態となることもありました。そこで、まさしく“命がけの一大事業”である出産を機に、退職しました。それからは育児に専念し、専業主婦を2年ほど経験した後、開業しました。FPとしての活動をメインにする一方、これまで培ってきた自分自身の経験、キャリア、思いをいかすべく、同年にキャリアカウンセラーの資格も取得しました。


國松さんはキャリアカウンセラー、心理カウンセラーでもある

國松さんはキャリアカウンセラー、心理カウンセラーでもある


お仕事の際に気をつけていることは何でしょうか?


私は、出来る限りお客様の話を聞くこと、インプットすることを大事にしています。そして、お客様に対し、思いこみで自分の考えをぶつけないように しています。「どうして?」「なぜ?」といった部分を掘り下げて、お客様の気持ちに入り込んで、初めて理解できることがあります。気持ちを解きほぐして、価値観まで共有していくと、お客様の夢を実現するための方向性がハッキリと見えてきます。世の中には、多くの資産を持っていても、幸せと感じられない人がいます。心と身体の健康とお金の余裕がともなって、初めて人は幸せな人生をおくれるのではないかと私は考えています。お客様の心、気持ちの部分を出来るだけ優先するように、心がけています。


國松さんのオフィスは画廊の奥にある

國松さんのオフィスは画廊の奥にある


FPに必要な資質とはどういうものでしょうか?


FPや士業だけでなく、どんな職業にも言えることかもしれませんが、お客様との接点をつくる力、伝える力が必要だと思います。FPは、私自身が体系的に学びたくて身に付けた資格です。目の前にいる相手に対し、どうお役に立てるかを必死で考えていたら、気付くとそれが仕事になっていたという感じです。また、お客様から個人情報をいただくわけですので、私自身も出来る限りお客様に自己開示するように努めています。私が人生で得たこと、学んだこと、感じ取ったことを、お客様のこれからの人生に役立てていただきたい。そして、人生の中で大事な3要素、「メディカル」、「メンタル」、「マネー」という3つのMを重点的にサポートすることを今後のミッションと考えています。そして、FPの認知度を高め、敷居をもっと低くしていきたいと思います。


青山オフィスには、アートが飾られている

青山オフィスには、アートが飾られている


ファイナンシャルプランナーは、よいことも悪いことも含めて、人生で経験したあらゆること、すべてがいかされる職業だと思います。チャレンジし、体験し、得たことを糧として、自分だけでなく、多くの方の人生設計に役立てることが出来ます。本当に素晴らしい仕事だと思います。資格の勉強も、皆さんの人生にいつかきっと役立つと思います。是非チャレンジしてみて下さい!


ファイナンシャルプランナー   國松典子 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
6:00 起床 お弁当作り
7:00 朝食 家族で朝食
10:00 出社 メールチェック
10:30 社内 個別相談(住宅ローン買い替え等について)
12:00 休憩 昼食
14:00 社内 個別相談(キャリアプランと人生設計について)
16:00 社内 メールチェック、書類作成
17:30 退社  
18:30 帰宅  
19:00 夕食 子供と夕食後は、家事など
22:00 仕事 メールチェック、翌日の面談の準備
25:00 就寝