2016年5月22日(日)実施 2級FP技能検定内容の講評
2016/05/25
5月22日の試験を受けられた方は、お疲れ様でした。今回の試験について、主観ではありますがコメントをしたいと思います。
学科試験について
ライフプランニングと資金計画
今回の難易度は、通常の難易度(いつもより少し易しめ)であったと思います。一部細かいことが問われている選択肢もありますが、それ以外の選択肢が定番の内容なので、比較的容易に正解にたどり着けたのではないかと思います。最後の問題(問題9、問題10)は、クレジットカードや中小企業の資金調達に関する問題や財務諸表に関する問題であることが多いですが、今回は財務諸表に関する問題でした。過去にも出題されたことがある問題とはいえ、面食らった受検生が多かったのではないかと思います。とはいえ、簿記の資格をお持ちの方にとってはサービス問題だったと思います。要するに、難易度がどの程度かというよりも、知っているか知らないかだけの話なので、改めて学習する必要はなく、過去問題で簡単に見ておく程度でもよいテーマだと思います。
リスク管理
いつもよりも増して難易度は低かったと思います。ほぼ全問サービス問題と言っても過言ではない、全問正解できた、というぐらいで、そもそも選択肢ひとつの問題文が短いです。したがって、時間をかけずに簡単に正解できた内容だったと思います。とはいえ、このことは過去問題をしっかりこなして類似問題については大丈夫と対策をしてきた人にとっては、ということです。つまりは、過去問題の攻略は、出題された問題の難易度が高かろうが低かろうが大切だ、ということです。
金融資産運用
難易度はいつも通りだとは思いますが、問いかけ方がいつもとは違う方向からの内容である問題が一部あり、難しく感じた受検生が多かったのではないかと思います。とはいえ、過去問題の類似問題ばかりですから、やはり、過去問題の攻略を“理解”したうえできちんとされた方は比較的合格ラインを超えやすかったのではないかと思います。
タックスプランニング
所得税6問、法人税2問、消費税2問の出題となり、難易度はいつも通り、もしくはそれよりも易しかった内容だと思います。例年1月試験の難易度が上がることが多いので、その反動で5月試験は比較的全体的に正解しやすい問題が多いような気がしますが、特にタックスは正解しやすい内容だったと思います。最近は特にタックスの難易度は安定の易しさだと思います。
不動産
いつもと同じ程度の難易度だったと思います(過去問題の類似問題だらけ)。ただし、不動産の鑑定評価に関する問題については、過去問題を使用した対策では解けない選択肢が4選択肢中2肢ありましたので、この問題については正解にたどり着くのはやや難解と言えたと思います。とはいえ、過去問題をきちんと攻略した受検生はほぼ9割正解を狙えたのではないでしょうか。
相続・事業承継
この科目は、他の科目よりも難易度が高い傾向にありますが、今回はまさにそのとおりでした。選択肢ベースではありますが、難易度の高い内容、受検生においては把握されていない・勉強していないであろうテーマが出題されていました。とはいえ、過去問題の類似問題が大半でしたから、10問中6問は確実に得点できたのではないかと思います。
総評
FPの試験は、年3回実施されますが、今回は易しい傾向の問題が多かった内容だと思います。まさに定番中の定番の問題が多かったと思います。したがって、過去問題をしっかり攻略した受検生であれば、合格圏内に入るのは比較的たやすかったのではないかと思います。中には想定の範囲外のテーマが出題されてはいましたが、出題されている問題の9割は基本的事項が問われているので重箱の隅をつつくような問題は気にせず、基本事項をしっかり身に付け得点できる問題を確実に得点することが、やはり重要であることには変わりありません。
実技試験
大問数10、小問数40、解答用紙に記載する数69・・・といつもどおりの出題数でした。
FP総論
定番の問題です。全2問必ず正解しなくてはいけない問題です。
金融資産運用
全4問出題でした。時間のかかる計算問題はなく、珍しくすんなり解けたであろう易しい問題ばかりでした。
不動産
全3問出題でした(いつもより1問少なめ)。定番中の定番問題ばかりのかなり易しい問題ばかりで、過去問題をきちんと攻略していれば、不動産が苦手な受検生であっても全問正解できたのではないかと思います。
リスク管理
全4問中、過去問題の類似問題(というより、数字を変えただけのようなほぼ100%コピーに近い類似問題)ばかりですから、全問正解できたのではないかと思います。それぐらい、難易度は低かった内容です。
タックスプランニング
全4問中、特に応用問題もなく、過去問題の類似問題ばかりでした。これといって目立ったひっかけポイントもなく、素直に解ける問題ばかりで3級レベルの問題と言ってもいいような内容でした。
相続・事業承継
全3問の出題で、比較的易しい問題ばかりでしたが、ひっかけポイントがいくつかあり、計算問題の場合、どのタイミングでナニに気を付けなければいけないのか、ということを意識しながら過去問題に取り組んだ受検生は楽勝の科目だったと思います。計算問題の攻略は、とにかく過去問題を繰り返し解くことに尽きますが、その際には、ナニに気を付けなくてはならないか、ということを意識的に注意し、なぜそのようなことを気にしなくてはならないのか、という理由も含めての繰り返し演習が必要です。
ライフプランニングと資金計画(CF表・6つの係数)
全6問出題(内3問は6つの係数)でしたが、すべてFP3級レベルの内容で、全問正解できなくてはいけないサービス問題でした。正解するのに時間もかからないし、ひねりも何もなく、これは落としてはいけない問題です。
総合問題①
全7問の出題でしたが、どれも過去問題の類似問題で非常に得点しやすい問題ばかり、全問正解できたのではないでしょうか。ただ、財形住宅貯蓄に関するやや細かいことを問う問題は久しぶりの出題でしたので、戸惑う受検生が少しいらっしゃったかと思います。
総合問題②
全7問の出題でしたが、どれも過去問題の類似問題が多く、得点しやすかったと思います。時間のかかってしまう計算問題は少なかったようです。しかし、個人商店のキャッシュフローの計算問題と死亡保険金額の計算問題については、やや手間のかかる内容ではありましたが、他の問題が時間をかけずに解ける問題ばかりなので、その分、この問題に時間をかけてしまっても十分余裕をもって取り組めたのではないでしょうか。
総評
通常の実技試験よりはやや易しい内容だったと思います。手間のかかる問題は少なく、容易に合格ラインは突破できたのではないかと思います。とはいえ、それは、過去問題をきちんと攻略した受検生にとっては・・・の話で、いくら易しい内容とはいえ過去問題を攻略していない受検生にとっては、「どこから手をつけていいのかわからない」という問題が多く感じたことと思います。実技試験は、何よりも問題に「慣れる」ことが一番大切ですから、まずは学科試験対策として知識をしっかりと身に付け、そのうえで計算問題等の実技試験独特の出題形式に「慣れる」ということが合格の秘訣でしょう。