2024年9月8日(日) 実施 2級FP技能検定の試験講評
2024/09/08
2024年9月8日(日)に、2級FP技能検定が実施されました。受検されたみなさま、お疲れ様でした。
今回は学科試験では難易度の高い選択肢も見受けられましたが、定番ともいえる基礎的なテーマの問題も多く出題されていました。また、実技試験では目新しい問題もありましたが、そうした問題に惑わされず、基礎的な問題を正解できれば、合格ラインである60%をクリアできるレベルだったといえます。
全体的な難易度としては、「標準的~やや難しい」という印象でした。
学科試験の分析
最近は選択肢の作り方に変化が見られてきていますが、全体の傾向や難易度は大きく変わっていません。見慣れないものであっても、明らかに正誤が判断できるものから落ち着いて対処できていれば、全体としては60%に到達することができる難易度だったといえます。
ライフプランニングと資金計画
FPの顧客に対する行為(職業倫理・関連法規)、公的医療保険、労働者災害補償保険、雇用保険の育児休業給付および介護休業給付、公的年金、確定拠出年金、国民年金基金・小規模企業共済および中小企業退職金共済、住宅ローンの返済方法の見直し、キャッシュレス決済の一般的な特徴に関する出題がなされました。
科目全体としては基礎的なテーマが多く問われており、難易度の高い問題は出題されていませんでした。
リスク管理
少額短期保険、生命保険の保険料等の一般的な仕組み、生命保険の一般的な商品性、生命保険の税金、法人を契約者とする生命保険の保険料の経理処理、損害保険の基本的な仕組み、傷害保険の一般的な商品性、法人を契約者とする損害保険に係る保険料の経理処理、第三分野の保険の一般的な商品性、法人に対する生命保険等を活用した福利厚生に係るアドバイスに関する出題がなされました。
過去問でも頻繁に問われている論点が多く出題されていましたので、過去問演習をしっかり行っていた方には得点しやすい内容だったといえます。
金融資産運用
貴金属関連商品の一般的な特徴、上場投資信託(ETF)の一般的な特徴、固定利付債券の利回り、東京証券取引所の市場区分、株式の投資指標、金融派生商品、ポートフォリオ期待収益率、上場株式等の譲渡および配当等にかかる税金、個人による金融商品取引に係るセーフティネット、金融サービス提供法に関する出題がなされました。
難易度の高い問題は出題されておらず、過去問でも頻繁に問われている論点が多く出題されていたため、得点源にしたい科目でした。また、「固定利付債券の利回り」、「株式の投資指標」、「ポートフォリオの期待収益率」は定番問題であるため、いずれも時間をかけずに対応したい問題でした。
タックスプランニング
わが国の税制、所得税における各種所得、所得税における総所得金額、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)、所得税の確定申告、法人税の原則的な取扱い、法人税の損金、消費税、会社と役員間の取引に係る所得税・法人税、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する出題がなされました。
いずれも典型的・基本的な論点であるため、正解したい問題です。また、「インボイス制度」は5月試験から引き続き出題されていますので、今後も注目しておきたいテーマです。
不動産
不動産の登記や調査、宅地建物取引業法、借地借家法(借地権)、都市計画法、都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定、建物の区分所有等に関する法律、不動産の取得に係る税金、個人が土地を譲渡した場合の譲渡所得、被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例(空き家の譲渡の特例)、不動産の投資判断の手法等に関する出題がなされました。
不動産に係る税金と特例に関連する問題は、正誤判定に時間がかかる選択肢が多かったため、時間配分がポイントになった受検生も多いのではないでしょうか。なお、「借地借家法」、「都市計画法」、「建築基準法」等の定番問題に加えて、「不動産の投資判断手法」も確実に正解したい問題でした。
相続・事業承継
民法上の贈与、贈与税の配偶者控除、相続時精算課税制度、任意後見制度、遺産の分割、民法における配偶者居住権、配偶者に対する相続税の軽減(配偶者の税額軽減)、金融資産の相続税評価、遺言、M&Aに関する出題がなされました。
細かな知識が問われている選択肢もあり、「やや難しい」という印象がありますが、「民法上の贈与」や「贈与税の配偶者控除」、「相続時精算課税制度」、「配偶者の税額軽減」は確実に正解したい問題です。なお、「M&A」は過去の出題頻度が低く対策が難しいテーマといえます。
実技試験の分析
出題内容については、建築面積の最高限度の計算、生命保険の保障内容、法定相続分と遺留分、キャッシュフロー表の穴埋め計算、6つの係数を使った計算、バランスシート(純資産額の計算)等の定番問題を中心に構成されていました。
最近の出題傾向とは異なるパターンの問題も複数ありましたが、テキストを中心とした学習で基礎基本を丁寧におさえておくことができれば、対応できる問題だったと言えます。
【第1問】FP総論
FP関連業法等、消費者契約法
【第2問】金融資産運用
追加型国内公募株式投資信託の購入時手数料・収益分配金、株式累積投資制度と単元未満株投資制度の特徴と比較、外国債券の償還時の償還金額(円貨受取額)、財形貯蓄制度
【第3問】不動産
建築面積の最高限度、固定資産税、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例、借地借家法(借家契約)、投資用マンションの実質利回りと必要経費
【第4問】リスク管理
生命保険の保障内容、生命保険の指定代理請求特約、普通傷害保険の補償内容、生命保険契約に係る税金
【第5問】タックスプランニング
減価償却費の金額、退職所得の金額、公的年金等に係る雑所得の取扱い等、所得税の確定申告と青色申告
【第6問】相続・事業承継
相続税の課税価格の合計額、相続の申告と手続き、民法の規定に基づく法定相続分および遺留分、路線価方式による貸家建付地の相続税評価額
【第7問】【第8問】ライフプランニングと資金計画
キャッシュフロー表、クレジットカードの利用、6つの係数
【第9問】総合問題①
個人向け国債、個人型確定拠出年金(iDeCo)、住宅ローンの借入可能額、健康保険料、公的年金の遺族給付、雇用保険の基本手当
【第10問】総合問題②
バランスシート、死亡保険金での負債返済後の金融資産残高、総合所得の合計額、老齢基礎年金の額、高額療養費の額
最後に
2級FP技能検定の学習経験を生かし、みなさまが、益々ステップアップされることをお祈り申し上げます。
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