2024年5月26日(日) 実施 2級FP技能検定の試験講評

2024/05/26

2024年5月26日(日)に、2級FP技能検定が実施されました。受検されたみなさま、お疲れ様でした。

今回は学科試験と実技試験ともに、傾向の変化や新出テーマ、難易度の高い問題が見受けられましたが、定番ともいえる基礎的なテーマの問題も多く出題されていたので、全体的な難易度としては「標準的」という印象でした。
難問に惑わされず基礎的な問題を正解できれば、合格ラインである60%を十分クリアできるレベルだったといえます。

学科試験の分析

出題の多くは過去にも出題されている定番問題でした。過去問演習を確実に行い、基礎的な論点をしっかり押さえておくことが重要であったといえます。

ライフプランニングと資金計画

FPの顧客に対する行為、ライフプランニングに当たって作成・利用する各種表や各種係数、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、雇用保険、雇用保険の育児休業給付および介護休業給付、公的年金、公的年金の障害給付、確定拠出年金、住宅ローンの一般的な特徴、リタイアメントプランニングに関する出題がなされました。
典型論点が多かったといえますが、「雇用保険の育児休業給付および介護休業給付」、「公的年金の障害給付」に関する出題では、支給要件をしっかり理解しておくことが求められた問題でした。

リスク管理

個人年金保険の一般的な商品性、総合福祉団体定期保険および団体定期保険の一般的な商品性、生命保険料控除、生命保険の税金、法人を契約者とする生命保険の保険料の経理処理、任意加入の自動車保険の一般的な商品性、地震保険の一般的な商品性、損害保険の税金、第三分野の保険の一般的な商品性、法人に対する生命保険等を活用した福利厚生に係るアドバイスに関する出題がなされました。
過去問でも頻繁に問われている論点が多く出題されていましたので、過去問演習をしっかり行っていた方には得点しやすい内容だったといえます。

金融資産運用

消費者物価指数、銀行等の金融機関で取り扱う預金商品の一般的な商品性、株式投資信託の一般的な運用手法、固定利付債券の所有期間利回り、債券投資のリスク、株式の投資指標、外貨建て金融商品の一般的な特徴、金融派生商品の一般的な特徴、運用パフォーマンスの比較評価、金融商品の取引等に係る各種法令に関する出題がなされました。
比較的、典型論点が多かったといえますが、「消費者物価指数」に関する出題については、細かな知識が求められる一歩踏み込んだ問題でした。また、固定利付債券の所有期間利回り、株式の投資指標、運用パフォーマンスの比較評価(シャープレシオ)では、素早く計算処理をする力が求められました。

タックスプランニング

所得税における基本的な仕組み、所得税における各種所得、所得税の損益通算、所得税における各種所得控除、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)、法人税の仕組み、法人税の益金、消費税、会社と役員間の取引に係る所得税・法人税、消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)に関する出題がなされました。
他の科目と同様に典型論点が多かったといえますが、「インボイス制度」は2023年10月1日に導入されて以来、初めて出題されました。今後も出題の可能性があるテーマとして注目すべきといえます。

不動産

不動産の鑑定評価の手法、不動産の売買に係る民法の規定、借地借家法(借地)、借地借家法(借家)、都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定、建物の区分所有等に関する法律、不動産に係る固定資産税および都市計画税、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除および居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例、不動産の有効活用の手法、不動産の投資判断の手法等に関する出題がなされました。
読み取りと正誤判定に時間がかかる選択肢が多かったため、時間配分がポイントになった受検生も多いのではないでしょうか。「借地借家法」等の定番問題に加えて、近年毎回出題されている「不動産の鑑定評価の手法」や「不動産の投資判断手法」も確実に正解したい問題です。

相続・事業承継

親族等に係る民法の規定、相続時精算課税制度、親族関係図における法定相続人の数、代償分割、民法に規定する相続の承認および放棄、民法上の遺言、相続税の申告と納付、相続税における宅地および宅地の上に存する権利の評価、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例、遺留分に関する民法の特例に関する出題がなされました。
細かな知識が問われている選択肢もあり、「やや難しい」という印象がありますが、「親族等に係る民法の規定」や「親族関係図における法定相続人の数」、「民法上の遺言」は確実に正解したい問題です。なお、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」は2023年1月、「遺留分に関する民法の特例」は2023年5月に同様の形式で出題されておりますが、難易度が高いため、正答するには過去問を丁寧に復習しておくことが求められました。

実技試験の分析

出題内容については、延べ面積の最高限度の計算、総所得金額の計算、キャッシュフロー表の穴埋め計算、6つの係数を使った計算、バランスシート等の定番問題を中心に構成されていました。一方で、保険金・給付金の計算やキャッシュフロー表の教育費の計算等、傾向に変化が見られる箇所がありました。
頻出テーマから多く出題されているものの、資料から必要な情報を読み取り、素早く計算していく力が求められました。過去問演習を確実に行い、計算問題をしっかり対策していた方は得点できたのではないでしょうか。

【第1問】FP総論

FP関連業法等、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)および著作権法

【第2問】金融資産運用

追加型国内公募株式投資信託の収益分配金、標準偏差とシャープレシオ、1株当たりの取得価額、個人向け国債

【第3問】不動産

延べ面積(床面積の合計)の最高限度、普通借地権、登記事項証明書、中古マンションの売買契約書

【第4問】リスク管理

生命保険の保障内容(保険金・給付金)の比較、生命保険契約に係る税金、保険契約の責任開始日、自動車保険の補償内容

【第5問】タックスプランニング

所得税における総所得金額、確定申告における医療費控除、給与所得と損益通算できる損失、個人住民税(所得割)

【第6問】相続・事業承継

民法の規定に基づく法定相続分および遺留分、贈与税の配偶者控除の適用を受けた場合の贈与税額、路線価方式による普通借地権の相続税評価額、相続税の課税価格

【第7問】【第8問】ライフプランニングと資金計画

キャッシュフロー表、住宅ローンの借入れ(ペアローン)、6つの係数

【第9問】総合問題①

住宅ローンの繰上げ返済、預金保険制度、学資保険、在職老齢年金、出産手当金、労働者災害補償保険

【第10問】総合問題②

バランスシート、所得控除、自宅の売却に係る所得税および住民税、繰り越すことのできる上場株式等の譲渡損失の金額、老齢年金の繰上げ受給、傷病手当金の支給額

最後に

2級FP技能検定の学習経験を生かし、みなさまが、益々ステップアップされることをお祈り申し上げます。

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