ファイナンシャルプランナー(FP)2級の難易度や受験資格について解説!

更新日:2024年3月13日

ファイナンシャルプランナー2級とは?

人生100年時代といわれ、超高齢化社会の日本。定年後に生きていく時間も当然長くなっています。今どんな年齢の人でも、安心して暮らしていけるのか?という漠然とした不安を持っている人が多いのではないでしょうか。また、長い人生において、夢や目標をかなえるために資金計画を立てる必要があることもあるでしょう。

一人一人に寄り添ってそうした不安をできるだけ取り除き、夢や目標がかなうように一緒に考え、サポートする専門家が、FP(ファイナンシャル・プランナー)です。

FPは幅広い知識を備えたうえで、お客様の収入や借り入れ、また家族構成や資産状況などの情報をコンサルティングし、お子さんの教育資金や、住宅購入・ローンの返済、また老後までを視野にいれたライフプランを立て、それに即した資金計画を提案します。

今日の日本では、どんなご家族・個人でも、さまざまな金融知識をもとに長期的な視点で家計を考えないと、安心で安全な生涯の暮らしを守ることはできません。FPは一人一人の人生のサポーターともいえます。

目次

ファイナンシャルプランナー(FP)2級とはどんな資格?

ファイナンシャルプランナー(FP)とは、お金にまつわる専門知識を網羅的に習得できる資格です。

生きていれば必ず必要になる保険や税金の知識はもちろん、マイホーム取得に向けた資金計画や老後のマネープラン等のライフイベントへの提案力を身につけることができます。

ファイナンシャルプランナー(FP)試験には1~3級がありますが、キャリアアップを目的とするなら2級以上の合格が目指されます。

2級合格は3級からのステップアップが原則ですが、要件を満たすことで3級を受験せずに2級に挑戦することも可能です。2級と3級で試験の形式・科目に違いはありませんが、出題の範囲や合格率に差があります。

このあたりを踏まえて、2級合格までの戦略を検討しましょう。

受験資格

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の受験資格は、以下の通りです。

  • 3級技能検定の合格者
  • FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
  • 日本FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
  • 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者

2級受験の王道は「3級合格から」となりますが、一日も早く2級に合格したい受験生には、「AFP認定研修」の受講がお勧めです。

資格学校が開講するファインシャルプランナー(FP)試験受験対策講座のうち、一部は日本FP協会が認定するAFP認定研修の対象講座となっているので、受験対策をしながら2級受験資格を得ることが可能です。

通信教育フォーサイトでは、「2級対策基礎講座」「2級対策バリューセット1」「2級対策バリューセット2」がAFP認定研修対象講座に指定されています。

受験料

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の受験手数料は、きんざいと日本FP協会ともに以下の通りです。

  • 学科 5,700円
  • 実技 6,000円
  • 学科と実技 11,700円

参考:日本FP協会

料金が3パターンに分かれているのは、学科と実技を同日に受験することも、別々に受験することもできるためです。

受験手数料の支払明細書を出願書類に貼付する必要がありますので、出願に先立ちゆとりをもって振込手続きを行うようにしましょう。

一度振り込まれた受験手数料は、受験の有無にかかわらず返金されません。また、次回以降の試験に充当することもできません。

ただし、受検資格がないと判断された場合は、事務手数料及び振込手数料を除いた金額が返金されます。

学科試験

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の学科試験は、筆記(マークシート形式)で行われます。

試験範囲は「ライフプランニングと資金計画」「リスク管理」「金融資産運用」「タックスプランニング」「不動産」「相続・事業継承」の6分野で、社会保険制度や公的年金制度、税、投資、不動産取引、相続や事業継承に関わる知識がまんべんなく問われます。

試験時間は10時~12時の120分と長丁場で、集中力の維持が課題となります。全60問の出題のうち「36点以上」が合格基準とされる絶対評価で合否が判定されるため、他の受験生の成績に影響されることなく合格を目指すことが可能です。

試験には、筆記用具(HB以上の濃い黒鉛筆またはシャープペンシル、消しゴム)の他、計算機1台の持ち込みが認められています。

ただし、持込可能な計算機は「電源内蔵のもの」「演算機能のみを有するもの」「数値を表示する部分がおおむね水平で、文字表示領域が1行であるもの」「外形寸法がおおむね26cm×18cmの大きさを超えないもの」といった要件を満たしたものでなければいけません。

使用禁止計算機を持ち込んでしまった場合、使用ができないため、あらかじめ確認しておく必要があります。

実技試験

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の実技試験は、筆記(記述形式)で行われます。試験範囲は、受験団体や各人の選択によって異なります。

  • 日本FP協会で受験する場合:「資産設計提案業務」の1種類のみ
  • きんざいで受験する場合:「個人資産相談業務」「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」の4種類から選択

実技試験の選択は受験生にとって迷いどころとなりますが、学科の試験範囲と重複の多い日本FP協会の「資産設計提案業務」またはきんざいの「個人資産相談業務」のうち、出題傾向等から解きやすそうなものを選択するのが一般的です。

きんざいの「中小事業主資産相談業務」「生保顧客資産相談業務」「損保顧客資産相談業務」は、特定の分野に特化した内容であるためです。

ただし、すでに合格後の専門分野を想定できている受験生であれば、この限りではありません。

試験時間は13時30分~15時の90分です。日本FP協会は全40問、100点満点中「60点以上」が合格基準です。

一方、きんざいは事例形式5題が出題され、50点満点中「30点以上」で合格できます。

持込品の要件は、学科試験同様です。試験会場では筆記用具・計算機の貸出しが行われないため、注意しましょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の難易度は?

提案するファイナンシャルプランナー

ファイナンシャルプランナー(FP)2級合格を目指す受験生にとっての最大の関心事といえば、やはり「難易度」ではないでしょうか。

ここではファイナンシャルプランナー(FP)2級の合格率や必要な勉強時間から、どのくらい難しい試験なのかを確認しましょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の合格率

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の合格率は、学科・実技ともに「50%前後」と考えましょう。きんざいと日本FP協会の実施団体ごとに過去のデータを確認すると、きんざいの学科試験の合格率が各回20%ほどと低いことが分かりますが、これは「受験者属性」によるものです。

きんざいは法人申込を受け付けている関係で、会社から命じられて仕方なく受ける受験生も少なくありません。モチベーションが低い状態では、結果につながりませんね。

一方、日本FP協会は個人申込のみのため、意識の高い受験生が集まりやすい傾向にあり、当然合格率にも反映されるというわけです。

ファイナンシャルプランナー2級試験の合格率推移(FP協会)
FP2級試験合格率(FP協会)
ファイナンシャルプランナー2級試験の合格率推移(きんざい)
級試験合格率(きんざい)

ファイナンシャルプランナー(FP)2級合格までに必要な勉強時間

ファイナンシャルプランナー(FP)2級合格までの一般的な勉強時間の目安は「100~300時間」といわれており、受験生の知識量や実務経験の有無に応じて変動します。

例えば、すでに実務に携わっている方であれば大幅に勉強時間を短縮できますし、3級合格者や社労士や宅建の合格者等で特定分野を強みにできる受験生もまた、2級合格までに300時間もかからない可能性が高いでしょう。

一方で、知識も実務経験もなく、「AFP認定研修の修了」で受験資格を満たす場合、試験対策に要する時間に加えて研修修了までの時間も必要になりますから、300時間ほどは想定する必要があります。

FP2級に必要な勉強時間についてはこちら

ファイナンシャルプランナー(FP)2級は独学で取得できる?

これからファイナンシャルプランナー(FP)2級に挑戦するにあたり、まずは「学習方法」を決定しなければなりません。

巷には「ファイナンシャルプランナー(FP)2級対策」と銘打つ講座がいくつもありますが、合格率50%ほどの資格試験であれば「独学で頑張ろう」という方も少なくないでしょう。

結論から言えば、ファイナンシャルプランナー(FP)2級の独学合格は十分可能です。

ただし、受験生には「必要な学習時間を確保できること」、「モチベーションに左右されず継続的に取り組めること」が求められます。前述の通り、知識・実務経験のない受験生であれば少なくとも300時間の勉強時間を確保しなければなりません。

また、一人きりでも根気強く学習を継続していける姿勢も肝心でしょう。もっとも、資格取得はゴールではなく、専門家としてのスタートですから、「独学では上手くいかない」「効率が悪い」と感じた時には、いつまでも当初の方法にこだわるのではなく、都度やり方を見直すことのできる柔軟さも必要です。

ファイナンシャルプランナー(FP)2級を取得するメリット

お金に関わる幅広い知識の証明となる、ファイナンシャルプランナー(FP)2級。

合格できればぐんと道が開かれそうな印象ですが、一方で「2級レベルで実務は難しい」「独占業務がない」等のお声も。実際のところ、ファイナンシャルプランナー(FP)2級取得にはどんなメリットがあるのでしょうか?

就職・転職に役立つこと

第一のメリットは、「就職・転職に役立つこと」です。

特に、銀行や証券会社といった金融系、保険会社等での活躍を目指す場合、ファイナンシャルプランナー(FP)2級は一定以上の知識を有する証明として評価されるはずです。さらにステップアップして1級まで取得できれば、採用選考上、かなり有利になります。

ファイナンシャルプランナー(FP)は独占業務を持たない資格のため、「専門家として仕事をするのは難しい」と考えられがちですが、この点は組織の中で知識を活かして働く上ではさほど問題にはならないでしょう。

企業におけるファイナンシャルプランナー(FP)の実務は、営業職がメインとなります。そのため、お金に関する知識はもちろん、対人コミュニケーションに自信があり、なおかつトーク力、提案力も備わっていれば、現場では即戦力として活躍できます。

資格を取得できても、就職・転職時には「実務未経験」が不安要素となりますが、営業経験のある40代が歓迎される現場も少なくありません。

自身のキャリアアップ

また、ファイナンシャルプランナー(FP)2級合格は、「自身のキャリアアップ」にも大いに役立ってくれます。

ファイナンシャルプランナー(FP)は、社会保険や不動産、税、金融資産運用等の多岐に渡る知識が問われる試験です。試験範囲の幅広さからしばしば「専門性に欠ける資格」に位置づけられ、実務に役立たない等と言われますが、一方で、お金に関わる「広く・浅く」の知識習得が、今後のキャリアの方向性を決めるきっかけになることもあります。

ファイナンシャルプランナー(FP)2級合格後、労働・社会保険分野をさらに深めたいなら社会保険労務士、不動産関係なら宅建、税なら税理士、資産運用に興味が出たなら証券アナリスト・・・というように、他資格へのステップアップを前向きに考えることができるようになるでしょう。

たとえファイナンシャルプランナー(FP)資格を単体で仕事に活かすことが難しかったとしても、後々、他資格とのダブルライセンスで業務範囲の拡大を図ることが可能です。

実生活を豊かにするきっかけ

ファイナンシャルプランナー(FP)2級の知識は、仕事に役立つだけでなく、「実生活を豊かにするきっかけ」にもなります。

例えば、資格対策を通じて投資の知識が身につくことで、投資家としてのスタート地点に立つことができます。先行き不安な現代において、自身の資産形成に前向き取り組めるようになることは、将来の不安払拭につながります。

また、社会保険や年金、税はすべての人に例外なく関係するテーマですから、正しい知識を身につけておくことが、今後を生き抜く上での安心材料となるでしょう。

この他、不動産の賃貸・売買時に知識が役立ったり、自身のライフプランを考えるきっかけになったりもします。

どんなに専門性の高い資格も、取得してそのまま放置していればどんどん知識は抜け落ちて、そのうちに意味のないものになってしまいます。この点、ファイナンシャルプランナー(FP)は、たとえ仕事に活かせなくても、実生活で知識を活用しやすいため、取得しておいて損はないでしょう。

ファイナンシャルプランナーの将来性は?

少子高齢化による年金の問題、雇用の不安、医療費改定の問題…。TVニュースやネットを見ていて、お金についての不安を感じないでいられる日があるではないでしょうか?

とくに最近は「年金だけで老後資金は足りるのか?」という問題が挙げられており、相談をしたいと思うお客様が増えています。投資などお金のやりくりは「自己責任」という考え方もすっかり定着していますので、健やかな暮らしを守るために、一般個人の多くが、今後ますます生涯の財政プランを真剣に考えるようになったためです。

FPのアドバイスを求める人たちが増えるのは、むしろ先行き不透明なこれからの時代だといえるでしょう。

年金や社会保険、不動産など人が安心して生き生きと暮らしていく上で必要となる知識を得ることが出るFP資格の重要性はますます高まっていくと予想されます。 個人ファイナンスの生涯設計、そのニーズが広がるのはこれからが本番です!

ファイナンシャルプランナーの資格だけで稼げるもの?

FPの資格は、あくまで金融コンサル業のベースです。FPの資格だけで稼げるかというと難しいです。高収入を得るには、プラスαの能力が大切です。 保険会社や証券会社などにお勤めをする「企業系FP」は、自社の金融商品や保険を顧客に販売して利益を得ます。たとえば損害保険会社で、コンサルタント(法人営業)として働く場合の年収平均は500~800万円ほどのようです。

独立系FPは、相談料と保険などの仲介手数料収入が主な収入源になります。たとえば医療保険ですと、1件あたりの仲介手数料は4~5万円が平均です。これに相談料も加算されます。 ただし独立系のコンサルタントとして、FPの仕事だけで生活していくのは大変かもしれません。その場合はダブルライセンスも視野に入れ、コンサルタントとしてキメ細かな提案をする能力を身に着けることで、さまざまな収入の糸口を広げることが有効でしょう。

一方でFP資格は今後も需要が増えることが予測され、これからますます必要な知識となるでしょう。FP資格の有資格者が増え、需要が飽和する前に早めに取得するのも良いかも知れません。

ファイナンシャルプランナー(FP)2級関連資格との違い

「ファイナンシャルプランナー(FP)2級を取得するメリット」の2つ目で触れた通り、ファイナンシャルプランナー(FP)試験対策は、関連する他資格への挑戦につながります。

ここでは、日商簿記2級、宅建士、社労士と難易度の違いについて確認しましょう。

・日商簿記2級

日商簿記2級は、財務諸表関連の出題において、ファイナンシャルプランナー(FP)2級と試験範囲が重複します。

ただし、ファイナンシャルプランナー(FP)が個人のライフプランニングをメインとするのに対し、日商簿記では主に法人会計に関わる理解力が問われることから、両者の趣旨は異なります。

日商簿記2級の合格率は例年20%前後ですが、直近の2023年11月19日の統一試験では11.9%の狭き門となっています。

日商簿記2級の難易度についてはこちら

・宅建士

ファイナンシャルプランナー(FP)試験には不動産関連の出題がありますが、不動産分野の専門家といえば宅建士が有名です。

宅建士試験の合格率は例年17%ほどで安定していますが、年度によっては15%、13%台となることもあり、ファイナンシャルプランナー(FP)2級以上に難易度の高い試験です。

宅建士の難易度についてはこちら

・社労士

ファイナンシャルプランナー(FP)が個人向け相談業務に対応する上で、年金の知識は不可欠です。

年金について、より一層理解を深めたいなら社労士を目指しましょう。年金を含む、社会保険全般に関わる専門知識を習得できます。

社労士試験は合格率6~7%の難関ですが、ファイナンシャルプランナー(FP)との親和性の高い資格です。

社労士の難易度についてはこちら

まとめ

FP2級の魅力をご紹介させていただきましたがいかがだったでしょうか。FP2級の魅力をわかっていただけたのではないでしょうか。FP2級は仕事にも実生活にもすぐに活用できる資格なので取得しておいても損はないでしょう。

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