証券外務員は将来性のある職種?仕事内容や魅力について紹介

更新日:2022年2月21日

近年低金利政策が続いていることもあって、個人でも投資で資産運用する人も増えています。その中で注目を集めているのが、証券業界です。証券会社にはいろいろな職種がありますが、その中のひとつが今回紹介する証券外務員です。

証券外務員は証券会社で勤務している人しか取得できなかった資格だったのですが、受験資格がなくなり手広く資格取得できるようになりました。注目されている証券外務員とはどのような仕事なのか、魅力などについてまとめました。

目次

証券外務員の仕事内容について解説

証券外務員の職場についてくわしくは別項で見ていきますが、主に証券会社で勤務するケースが多いのです。営業スタッフとして接客するのが主要な業務です。顧客に対して、株式や債券をはじめとした各種金融商品を提案します。そのアドバイスに従って、顧客は希望するトレードをオーダーするでしょう。それに従って実際に売買取引も担当します。

金融商品を提案するにあたって、お客さんからあれこれ質問されるでしょう。トレードする時期や紹介した金融商品の特徴についてなどはしばしば聞かれるはずです。そのため運用や商品に関する専門知識を持つ必要があります。対面ではなく、電話やチャットなどでの問い合わせもあるのでこちらの業務を担当している人も少なくありません。

またコンサルタント的な役割を担うこともあります。個別ではなく、資産運用全般に関するお客さんからの相談を受け付ける場合もあります。この場合にはファイナンシャルプランナーのように人生設計や資金計画、さらにお客さんの要望をヒアリングしてその上で専門家の観点から助言を行うこともあります。さらに個人ではなく、法人を顧客にする業務もあります。この場合、会社の財務関係の資料に目を通して、どのような計画を立てるべきか助言する案件も担当します。

証券外務員の資格には大きく分けて一種と二種があります。どちらの資格を保有しているかによって、担当する業務の範囲が変わってきます。それぞれどのような業務を担えるかについて、以下で詳しく見ていきましょう。

一種の仕事内容

一種の資格を保有している場合、取り扱える商品のバリエーションが広くなっています。株式や債券をはじめとした金融商品の取引のほかに、信用取引やデリバティブ系の商品の紹介や提案なども可能です。信用取引やデリバティブ系の商品はハイリスク・ハイリターンの側面があります。そのため上位資格の一種を取得していないと、取扱できない決まりになっています。

一種外務員の中にはW資格など複数の資格を取得して、それらを組み合わせて現場で活躍している人材も少なくありません。例えば内部管理責任者という資格を保有している人も少なくありません。2つの資格を持っていると、金融機関の各支店の監査も担当できます。このようにいくつかの資格を持ち合わせることで、活躍できるフィールドを広げられる資格でもあります。

二種の仕事内容

二種の資格を取得すると、株式や債券をはじめとした金融商品の紹介や売買などを担当できます。また有価証券の募集ができるので、お客さんに対して商品の提案も可能です。さらに個人投資家に対して、さまざまな運用方法について助言できるのも二種資格です。ただし一種の独占業務である、信用取引やデリバティブ取引は担当できないので注意しましょう。

二種資格のみを保有している人の場合、金融機関の営業や販売部署で勤務している場合が多いのです。このジャンルへの就職や転職を希望しているのであれば、二種資格の取得を優先しましょう。

証券外務員になるにはどうすればよいか?

証券外務員になるためのキャリアパスですが、多くがまず証券会社に入社するパターンをとっています。入社して経験を積みながら、資格取得を目指す方式です。資格試験は日本証券業協会という業界管轄団体が主催です。

資格には一種と二種の2タイプの資格があります。いずれの場合でも試験に合格したら、日本証券業協会に外務員登録をします。外務員登録手続きを完了して初めて、資格を生かした業務が開始可能です。ちなみに二種→一種の順番で資格取得する必要はありません。いきなり一種の試験を受けて、合格できれば資格保有は可能です。証券会社の中には、試験対策のためのオリジナルの研修プログラムを用意している場合が多くなっています。

証券会社に就業している人を見てみると、その多くは大卒と言われています。そのため高校卒業したら大学受験して、卒業してからの就職を目指したほうがいいでしょう。

証券外務員で活躍できる職場とは?

証券外務員の資格を取得したら、どのような職場で仕事ができるのでしょうか?ここでは資格を生かせる職場についていくつかピックアップしてみました。

証券会社に入社してから資格取得を目指すキャリアパスが一般的です。そのため多くは証券会社に勤務しています。しかし中には資格を得てから別の職場にチャレンジしたり、独立開業を目指したりする人もいるようです。

証券会社

証券外務員の資格を持っている人の勤務先を見てみると、証券会社という方が多数を占めます。「証券」外務員と、証券を取り扱う仕事なので証券会社で勤務するのが自分の持っている能力や知識を発揮できるわけです。

もし証券会社でステップアップしたければ、当初は二種資格試験対策しても最終的には一種資格の取得を目指したほうがいいのです。一種資格を取得できれば、取扱可能な商品のバリエーションもぐっと広がります。より多くの投資家の担当ができるわけです。

証券会社で大手の中には、ほかにも関連会社や子会社を作っている場合もあります。このような系列会社に就職・転職する場合もこの資格を持っていると有利になる可能性があります。証券関係への就職を検討しているのであれば、資格取得のための勉強を始めたほうがいいでしょう。

金融業界

銀行などの金融機関への就職や転職を検討しているのであれば、証券外務員の資格を取得した方がいいのです。近年では金融機関でも金融商品を取り扱っているところが多くなっています。これらの商品をお客さんに販売するにあたって、専門知識を持っている人の方が好ましいのです。お客さんも安心して運用に関する相談ができるでしょう。実際金融機関の求人情報を見てみると、証券外務員資格を保有している人対象の案件もしばしば掲載されています。

パソコンやスマホが普及したことで、オンラインのサービスも充実しています。銀行も証券会社もネット専業のところも出てきています。ネット専業の場合、対面による接客業務はほとんど行われません。お客さんが相談や問い合わせをする際には電話を介して、という形になります。そこで証券外務員の中には、コールセンターで勤務している場合も少なくありません。お客さんからの問い合わせ対応するのがメインです。また手続きに関する依頼も受け付けていきます。

独立開業という選択肢も

証券外務員の中には、独立開業している人もいます。ファイナンシャルアドバイザーという肩書で活躍するパターンが多くなっています。クライアントの依頼に応じ、資産運用するにあたっての助言を行うのが主な業務です。証券会社などの特定の企業に所属している場合、会社にとってプラスになるような提案や勧誘を行わないといけません。

しかし独立すれば、完全に中立の立場でクライアントの利益になるような提案ができるわけです。金融機関に属している場合、そこで取り扱っている商品の中から提案できません。しかし独立すると会社にとらわれず、幅広い商品の中からクライアントにぴったりのものをピックアップできます。

ただし独立した場合、お客さんを掴まえられないと収入はゼロです。人気のファイナンシャルアドバイザーになりたければ、マーケットの状況を常に監視し、今後の値動きを正確に予測する審美眼が求められます。そのためには世界のマーケットや金融、個別の企業の財務状況、将来性などの幅広い情報を把握しなければなりません。大変な半面、多くのクライアントを獲得できれば、サラリーマンでは得られないような高収入を得られる期待もあります。

証券外務員になるにあたって必要なスキルとは?

証券外務員になるためにはここでも紹介しているように資格の取得が必要です。しかし実際に活躍できる人材になるためには、幅広いスキルが必要です。

では具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか?仕事をするために必要な主なスキルについてみていきますので、今の段階で習得できるように準備しておきましょう。

経済に関する知識

証券外務員はお客さんに金融商品の提案や運用に関する助言を行うのが主な業務です。お客さんにアドバイスするにあたって、経済の知識は必須です。経済に関する専門知識はもちろんのこと、日々刻々と変化するマーケットの情報にも精通している必要があります。しかも国内だけでなく、海外のマーケットに関する知識も必須です。海外の政情や自然災害などが日本のマーケットに影響することもあります。経済の世界では「アメリカがくしゃみすると日本が風邪をひく」という言葉があります。これなどは日本と海外の経済事情が密接に関係していることを示す格言です。

証券外務員の試験を受けるにあたって、経済に関する知識は身に着けられるでしょう。しかし日々どんどん変化するので、常に世界の経済情勢について勉強する姿勢が求められます。ニュースや新聞をチェックするのはもちろんのこと、専門誌に目を通す、著名アナリストの分析結果をチェックするなど習慣づけたほうがいいでしょう。

分析力

証券外務員は株式をよく取り扱います。株式とは企業が株券を発行して投資家が出資します。こうすることで企業は資金調達をするわけです。投資家が特定の銘柄を購入するかどうか、その会社が将来伸びるのか、業績アップが期待できるかを見極めます。投資家に特定の銘柄を勧めるにあたって、証券外務員はなぜ推奨できるのかその根拠を説明しなければなりません。その銘柄が将来有望な理由を相手に納得できるような分析力が求められます。経済やマーケットに関する情報を集めて、それを適切に分析できるかどうか、証券外務員にとって重要なスキルです。

また世界は常にいろいろと動いています。内戦や戦争、そこまで行かなくても特定の国家間で緊張状態に陥れば、マーケットもそれを懸念します。また自然災害も経済に大きな影響をもたらします。世界で何かしらの異変が起きたときにそれがマーケットにどう影響を及ぼすのか、見通すことのできる洞察力も必要なスキルといえます。

柔軟性

マーケットは常に動き続けています。これまで上昇トレンドだったのに、何かをきっかけにして反転することも十分考えられます。このようにコロコロマーケットは変化するので、フレキシブルに対応できる柔軟さが求められます。自分のやり方に固執してしまうと、お客さんを誤った方向に導いてしまう恐れがあります。

社会や経済はめまぐるしく動きますし、今までの常識がいきなり通用しなくなることも十分あり得ます。その時々の情勢に柔軟に対応して、ベストな選択肢をお客さんに提供できるかも証券外務員として成功できるかどうかのポイントです。ちょっとした判断の遅れが命取りにつながることもありうる職業だと自覚しましょう。

ポジティブ力

どんなに著名な投資家でもアナリストでも、100%いつでもトレードに成功しているわけではありません。証券外務員としてお客さんに銘柄などをアドバイスした結果、それが思い通りの成果を上げられないことも十分考えられます。そこで証券外務員に求められることとして、物事をポジティブにとらえられる能力も挙げられます。

もし間違ったアドバイスをしてお客さんに迷惑をかけてしまったら、いつまでも落ち込んでいては仕事になりません。そこで「ダメな時もある」と前向きにとらえられるように心がけましょう。いつまでも引きずっていると、さらなる間違った判断をしてしまうかもしれません。また失敗していちいち落ち込んでいたり、「次また失敗するかも」と思っているとストレスがどんどん溜まってしまいます。仕事を長続きさせるためでも、いい意味での鈍感力が求められます。

営業力

証券外務員の中には、営業スタッフとして勤務するパターンも珍しくありません。ということは営業力も求められるスキルの一つといえます。営業回りをして、お客さんに対して株式や債券、投資信託などの金融商品を販売します。営業の方法には実際に相手のところに訪問することもあれば、電話によるセールスもあるでしょう。新規顧客を開拓するためにいろいろなところに電話をかけたり、飛び込みで営業したりすることもあるでしょう。

皆さんがセールスマンの訪問や勧誘の電話がかかってきたときに、すぐに断ることもあるでしょう。証券外務員の場合も同様で、電話をかけてもすぐに切られる、相手のところを訪問しても門前払いを食らうということも十分あり得ます。そのため強靭な精神力が求められるでしょう。

どの証券会社で資産運用するか、手数料の違いはありますがどこで購入しても特定の金融商品の価値は一緒です。つまり証券会社間で扱っている商品にあまり大きな違いはありません。そこでライバルを出し抜きお客さんを獲得するためには、営業スキルがものを言います。成績のいい先輩にアドバイスをもらう、そのやり方を真似するなどで自分なりのやり方を確立させましょう。

語学力

グローバル化が進んでいる現在、外資系の証券会社も日本にどんどん進出してきています。中には外資系の証券会社で勤務する人も出てくるでしょう。その場合、語学力は必要になります。日常的な英会話だけでなく、商品の説明ができるくらいの専門的な語学スキルは要求されるでしょう。

国内の証券会社であれば、語学力は必要ないかというとそうではありません。というのも国内外の多種多様な金融商品を取り扱っているからです。海外の銘柄に関する情報を収集する場合、英語の文書に目を通すことになるでしょう。また海外の経済マーケットの情報を収集する際も英語の読解力が求められます。もし語学に自信がなければ、英語の勉強も進めておきましょう。

証券外務員に向いている人とは?

どの仕事でも人によって向き不向きがあります。証券外務員についても同様です。

これから証券外務員を目指す人のために、どのような方に適性があるかについて以下にまとめました。自分に当てはまるものがあるか、参考にしてみてください。

コミュニケーションスキルがある

証券外務員になると、お客さんと向き合っていろいろと話をすることになるでしょう。よってコミュニケーション能力のある人、社交的で初対面の人とも打ち解けて話をできる人の方が向いています。コミュニケーションスキルですが、話す能力だけでなく聞く力も必要です。

お客さんにはどれだけの経済力を持っていて、どのような運用を希望しているのか、人生設計をどのように考えているのか聞き出す必要があります。これらの情報を把握していないと、お客さんが納得できる運用方法を提案できないからです。またお客さんの中には漠然と運用したいと思っているだけで、具体的な要望が固まっていない人もいます。その場合、こちらから話を振って相手の考えていることを引き出さないといけません。

その上で商品の提案を行います。商品を紹介するにあたってどんな特徴がある商品か、なぜおすすめできるのかを分かりやすくていねいに説明しないと相手も納得してくれません。相手に理解してもらえるように説明しようとする姿勢も求められます。このように話すことと聞くことの両方が得意な人の方が、証券外務員向きといえます。

プレッシャーに強い

証券外務員の場合、営業成績など目に見える形で優劣が出てきます。しっかりした結果を出さないと、周囲からの評価は得られません。もしなかなか結果が出てこないとお客さんや会社からのプレッシャーも強くなるでしょう。このようなプレッシャーのかかった状態でも冷静に対応できるような精神的な強さが求められます。プレッシャーのかかった状態が嫌と思わず、むしろやる気の出るような人であればおすすめの職種です。

プレッシャーがかかったときにポジティブに考えられる人もいます。「プレッシャーをかけられているということはそれだけ期待されている証拠だ」といった結論に至る人です。また結果が出ないときには、精神的に落ち込んでしまうでしょう。しかしいつまでもうじうじしていなくて、「もう終わったこと」と気持ちをうまく切り替えられる人も証券外務員向きの性格といえます。

数字に強い

数字やデータに苦手意識を持っていない人も、証券外務員向きの人といえます。勘違いしている人も多いようですが、投資はギャンブルとは異なります。投資の世界で安定した成功を収めるためにはギャンブルのように勘頼りではいけません。安定した収益を確保するためには、マーケットの相場や過去のデータなどを見て分析しなければなりません。相場やデータには数多くの数字が登場します。数字に苦手意識を持っていると、正しい分析は難しいでしょう。

また数字を用いて、論理的に説明できる能力も求められます。データなどを根拠にして、なぜ提案している銘柄がおすすめなのか論理的に説明しないとお客さんも納得してくれません。直感的にではなく、なんでも論理的に考えられる人の方が証券外務員向きといえます。

情報収集が苦ではない

情報収集が好きで、なにか疑問に思ったら他人に丸投げではなく自分で調べるのが億劫ではない人も向いているでしょう。正しくマーケットの現状を把握するためには、いろいろな情報を集めてくる必要があるからです。まず経済情報としてニュースや経済新聞のチェック、金融系の雑誌や書籍などを読む習慣をつけましょう。また会社四季報を読むのが楽しい、苦痛ではない人も証券外務員に適性があるといえます。

経済は別の分野と密接に関係しています。経済以外の情報を収集するのも必要です。国内外の政治ニュースや社会問題についてもチェックしましょう。もし何か問題が起きた場合、それが経済に関連するのか、どう影響するのか分析する癖をつけておくといいでしょう。

取り扱う金融商品は何も株式や債券だけではありません。証券会社の中には保険を取り扱っているところも見られます。また新商品が新たに入ってくる可能性もありますので、アンテナを張って新しい情報について勉強するのが好きな人には適性があるといえます。インプットとアウトプットの能力に優れている人は、自分の特性を発揮できる分野です。

決断力がある

証券外務員の仕事をしていると、お客さんの求めに応じてトレードする場合もあります。この時情報収集力や分析力、洞察力が求められます。しかし最終的には分析の結果、どうするか決断しなければなりません。そこで優柔不断な人は、証券外務員向きとは言えません。自分で結論を下せる、決断力のある人なら適性があります。

インターネットが普及したことで、手軽にだれでもいろいろな情報を入手できる時代になりました。しかし一方でネットはだれもが匿名で情報発信できるので、真偽のはっきりしない怪しい情報もいろいろと出回っています。情報収集して、どれを取り上げて、どれは信頼性が乏しいと排除できるかきちんと区分けのできる人でなければなりません。きちんと判断できないと、情報に振り回されてしまいます。

素早く決断する能力も求められます。決断を先延ばしにした結果、せっかくの利益を逸したり、損切りできずに損失が増大したりすることもあるからです。その時々でズバッと決断できる人の方が向いています。

証券外務員のやりがいとは

どの仕事でも楽しいところ、やりがいがあります。証券外務員についても同様です。では具体的にどのようなところにやりがいを感じている人が多いのか、以下で詳しく紹介します。

経済の仕組みがわかる

証券外務員の仕事をしていると、経済に関する情報がどんどん舞い込んできます。しかも最新情報について触れることができるので、経済の世界の最前線に立って仕事をしているという実感がわきます。しかも経済の多様な情報に触れることができるので、経済の仕組みについてより多く理解できます。このようなところにやりがいを感じている証券外務員の方も少なくありません。

経済は自然災害や政変など一つの出来事で大きく変化する可能性もあります。場合によってはたった1日で天地がひっくり返るような激変も考えられる世界です。証券外務員として仕事をしていれば、このような大きな動きにもいち早く気づけます。それをトレードに活かせば、ほかを出し抜いて大きな儲けを出したり、損切りをしてダメージを最小限にしたりできます。

証券外務員がマーケットのトレンドを素早く読んで、瞬時に判断することも求められます。その時には大きなプレッシャーがかかるでしょう。しかしそのプレッシャーをはねのけて結果を出したときには、えも言われる達成感や満足感が得られます。これも証券外務員の大きな仕事の醍醐味です。

人の役に立てる仕事

他人様の役に立つ仕事というところにやりがいを見出している人も少なくありません。証券外務員はお客さんの要望を聞いたうえで、資産運用に関するアドバイスをします。アドバイスに失敗すれば、お客さんの大事な資産を減らしてしまうかもしれません。しかし的確な助言ができれば、お客さんの資産を増やすことができます。このようにお客さんの大事な資産を預かっているところにやりがいを見出している人もいます。

近年では証券会社の取り扱う商品のバリエーションも増加しています。株式や債券だけでなく、保険も取り扱っているところも増えています。保険の運用も含めるとただの資産運用ではなく、お客さんのライフプランのお手伝いをする形になります。よりお客さんに寄り添う形で仕事をしていかないといけません。

しかしきちんと結果が出れば、お客さんに感謝されます。「ありがとうございます」「あなたを信じてよかった」と直接感謝されることもあるようです。感謝されることで「自分は世の中で役立っている」と実感でき、次の仕事へのモチベーションにもつながっていきます。

大きな金額を扱う仕事

通常自分で資産運用する場合、数十万円とか数百万円といった世界が一般的でしょう。しかし証券外務員になると、いろいろなお客さんの求めに応じて業務を担当します。場合によっては数千万円や数億円単位のような、自分では無理な金額で運用する事例も決して少なくありません。このような個人では扱うのが難しい多額の金額を取り扱うところにやりがいを感じている人もいます。

もちろん運用に失敗すれば、大きな損失を計上してしまうリスクが伴います。プレッシャーがかかりますが、非現実的な多額のお金を取り扱うことで気分が高揚するという人も多くなっています。

成果主義の側面が強い

証券会社の場合、年功序列よりも能力主義の性格の強いところが多いようです。つまり仕事の結果次第で昇進や昇給が決まる側面があります。このような世界で、自分が頑張って結果を出せばきちんと待遇に反映されるところにやりがいを見出している人もいます。

基本給そのものは、ほかの業種と比較してあまり差はないかもしれません。しかし一定の条件をクリアすればプラスアルファのインセンティブがもらえる、もしくは前年度の成績に応じてもらえるボーナスが違ってくるなどのシステムを導入しているところもあります。

大手の証券会社で成績が優秀だと30歳前後の方でも年収1,000万円オーバーという人もいます。これだけ稼げる可能性があるといわれると、やりがいも出てくるでしょう。

人脈が広がる

証券外務員は接客業の一種です。そのためいろいろなお客さんを相手に仕事するので、人脈が広がりやすいのもメリットの一つです。証券外務員と資産運用したいという人の中には、いわゆる富裕層の顧客も多くなっています。会社社長や弁護士、医者など普段なかなか接することのできない人と関係を構築できるかもしれません。

お客さんと話をする中で、業務以外の話題も出てくるでしょう。その中で自分の知らない世界に触れることができたり、知らなかった知識を得たりして自分の視野を広げられます。多様な価値観を習得できれば、皆さんの今後の人生もより豊かなものになるでしょう。また将来転職や独立開業する場合も、この証券外務員時代に構築した人脈が役立つことも十分考えられます。

証券外務員になるメリット

証券外務員の資格を取得すると、証券関係の仕事ができる以外にも様々なメリットが期待できます。ここではどのようなメリットが期待できるか、主なものについて解説します。

ほかの資格取得の礎になる

証券外務員の受験勉強をすることで、ほかの関連資格の取得も可能になります。というのも試験科目を見てみると金融商品取引法をはじめとした関連法規、株式や債券などの商品業務、株式会社法、財務諸表といったものが含まれるからです。これらの科目は、ほかの資格試験でも出題されるからです。

例えば株式会社法や財務諸表などは公認会計士や税理士の試験でも出題されます。株式業務や債券業務の問題はファイナンシャルプランナーの資格試験の出題範囲にもなっています。このように外務員試験の勉強をすることが、ほかの資格試験対策にもなっています。ほかの資格も手にできれば、活躍できる分野もさらに広がっていくでしょう。

自分の資産運用にもプラス

証券外務員試験の勉強をすることで、株式や債券などの金融商品や資産運用に関する知識が身に着きます。これはお客さんにアドバイスする際に必要なことです。しかしそれだけでなく、自分が将来資産運用する際にも活用できます。投資の基本が身に着くことで、効果的な運用ができるのも資格取得のメリットです。

日本ではかつて個人レベルの投資はあまりポピュラーではありませんでした。しかし今では個人投資家が増加傾向です。これまでは預金しているだけでも利子で資産を増やすことができました。しかし長く続く景気停滞に伴う超低金利政策で、預金しているだけではなかなか資産を増やせません。そのため将来の資産形成で投資は欠かせないものになりました。

もし自分自身で将来資産運用をする場合、証券外務員の試験勉強で身に着いた知識はきっとプラスに働くはずです。

異業種転職の可能性も

証券外務員の資格を持っていると、将来いろいろなキャリアの選択肢が広がってくる可能性があります。というのも金融業界では近年、異業種の参入が続いているからです。コンビニやスーパーが母体となった銀行が出てきていますし、ネット専業銀行を見てみるとオンラインショッピングや家電製品などの子会社も見られます。このような銀行では投資信託などの販売も手掛けていて、こちらを担当するためには外務員の資格が必要です。

証券外務員の資格を持っていれば、このような異業種が母体の銀行や証券会社への転職も可能になります。このような金融機関に転職すれば、今までとは違ったノウハウを身に着けられるかもしれません。例えば運営母体のマーケティングを金融サービスに応用しているところもあるでしょう。そうすれば、このようなマーケティングスキルを業務の中で獲得できるかもしれません。異なるスキルをマスターすることで、将来のキャリアアップにプラスに働く可能性もあります。

正社員へのステップアップの可能性も

証券会社や銀行に派遣社員やパートタイマーで仕事をしている人はいませんか?もしこのような人が証券外務員の資格を取得すれば、正社員にステップアップできる可能性が高まります。外務員試験は今では受験資格で特別な条件を設けていません。

証券外務員資格を持っていれば、証券業務に関する専門知識やスキルを有していることの客観的な証明になります。今努めているところで正社員登用される可能性もありますし、そうでなくても転職する際に正社員待遇で採用してくれるところも出てくるかもしれません。金融業界で長期的なキャリア形成を検討しているのであれば、資格取得はおすすめです。

正社員になれれば、収入も安定します。将来の人生設計も立てやすくなります。

証券外務員の将来性

証券外務員という仕事に将来性があるのか、気になりませんか?将来長きにわたってその仕事を続けたいと思っている人にとってはなおさらです。そこで、ここでは証券外務員という仕事の将来性について、ここで詳しく見ていきます。

個人投資家の増加

証券会社に対する需要は、今後も高止まりの状況が続くと見られています。その背景に、個人投資家の増加傾向が挙げられます。ゼロ金利など、いくら預金をしても雀の涙程度の利子しかつきません。そこで老後の資金を確保するために資産運用する人が増えてきています。

しかも近年ではネット証券やネットバンキングも増えてきています。ネットで手軽にオーダーが出せるようになったことも個人投資家の増加傾向を支えています。パソコンやスマホで手軽に金融商品を売買できるからです。

個人投資家の中には、あまり資産運用の経験のない初心者も少なくありません。そのような人たちにアドバイスする存在として、証券外務員の存在が欠かせないでしょう。

海外進出を検討している証券会社も

現在経済界はグローバル化がどんどん進んでいます。日本企業が海外に進出することもあれば、外資系が日本にやってくることも珍しくなくなりました。証券会社含め金融業界も海外をターゲットにする動きが活発になっています。

特にアジア圏は潜在的な需要が非常に高いということで進出を果たしているもしくは検討している証券会社も少なくありません。世界にネットワークを構築できれば、その分証券外務員もある程度確保しなければなりません。

ただし海外で活躍するためには、語学力は欠かせません。海外でキャリアアップしようと思っているのであれば、語学の勉強を勧めたほうがいいでしょう。

門戸開放で注目の資格に

証券外務員資格は一昔前と比較すると、取得のチャンスが広がりつつあります。例えば二種証券外務員資格の受験資格があったのですが、今では年齢や学歴、職歴などの制約が一切なくなりました。平成16年9月から一切の制限がなくなったのは、金融関連の規制緩和政策が関係しています。

また証券業務も緩和政策の一環として、証券会社以外の銀行などでも取り扱えるようになりました。このため、証券外務員は証券会社以外でも募集されるようになりつつあります。受験資格が撤廃され、証券会社以外の就職先も現れたことで証券外務員資格は高い注目を集めています。

まとめ

ここまで見てきたように証券外務員は、顧客相手に金融商品の提案や資産運用に関するアドバイスをするのが主要な業務です。保険などを取り扱っているところも出てきているので、今後はより広くライフプランの提案をする役割も担うことになるでしょう。

証券外務員は、経済に関する専門知識を有することはもちろんでプラスアルファのスキルも習得しておく必要があります。海外の金融商品や経済情勢にも通じている必要があるので、語学力なども求められてきます。証券外務員の資格試験はほかの資格試験でも出題される内容も含まれています。関連資格も取得すれば、活躍できるフィールドも広がっていくのでキャリアアップのためにまずは証券外務員資格を目指しませんか?

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