行政書士は就職に有利なの?行政書士の平均就職年齢は30代

行政書士の就職事情を知ろう
企業や士業事務所などに就職する際に、行政書士が求められる能力や条件とは一体どのようなものでしょうか?行政書士はもともと独立開業型の国家資格なので、有資格者には実務家としての能力だけでなく、経営者としての資質も問われます。
ただし、企業などに就職する場合には、その企業なり法律事務所なりが求める能力、条件を満たした人材が求められるでしょう。
では行政書士の具体的な求人事情について、就職の難易度、最適な年齢などの求人条件という角度から着目してみます。
行政書士の求人情報
行政書士の求人を出す所は大きく分けて2つあります。
1つ目は一般の企業です。
どのような業種の企業であっても、自社の商品を売り出す、あるいは開発する、販売するといった業務のどこかで、必ずと言ってもいいほど官公庁への許可申請などの手続きが必要になります。
そこで行政手続きの専門家である行政書士の出番となりますが、中規模以上の企業では企業内の法務部門が担当することも少なくありません。
こうした企業では法務部門のスタッフとして、行政書士資格者などの法律関連資格者を求人することがあります。
より小さな規模の企業では、法律関連の手続き全般を扱う専門の社員として、行政書士資格者を募集していることも多いです。
小さい会社では、正社員としてだけでなくパート形態での募集を行っていることがあるので、子育てや介護をしながらの人にも働くチャンスがあります。
2つ目は行政書士事務所や弁護士事務所、社会保険労務士事務所などの士業事務所です。
こういった事務所での求人では、行政書士業務を行う事務所スタッフとしての即戦力として、期待される傾向があります。
ただし、全体的に求人数はかなり少なめです。
行政書士の仕事は会社の数の多い地域の方がたくさんあるため、求人情報の数自体も地方より都心部の方が多い傾向にあります。
会社で働く行政書士の月給はおよそ20万円から40万円ほどです。
社員としてキャリアアップできる会社であればその後の昇給を期待できますが、士業事務所の場合は比較的給料は安く、年数経過による昇給もあまり期待できないのが実情です。
行政書士の就職の難易度
行政書士資格者が就職する際に、その資格自体に何らかのアドバンテージがあるのでしょうか?まず士業事務所など、法律関連業界へ就職する場合を考えてみましょう。
この場合、行政書士資格者は行政書士としての業務能力が求められるので、有資格者は就職・転職では比較的に有利です。
ただし、ネックとなるのは募集件数が少ない点です。
士業事務所からの募集は、資格取得後に実務を学ぶ機会の少ない行政書士資格者を中心に人気があるので、すぐに募集が定員オーバーとなってしまいます。
さらに、多くのスタッフを雇っているような大規模な行政書士事務所の数が、絶対数としてかなり少ないということも、募集件数の少ない大きな要因です。
一般企業はどうでしょうか?一般企業での行政書士資格者は、総務部や法務部のスタッフとしてのニーズがあると考えられます。
ただその場合、企業では行政書士としての業務を外注してしまうことが多いので、就職後はあくまでも企業内の1人の人材として勤務していくことになるでしょう。
したがって、就職の際に行政書士資格がアドバンテージとなるのは、難関の国家試験を突破してきたポテンシャルのある有能な人材としての評価される、という点が大きいと考えられます。
それに加えて、企業の求める方向性の人材と合致していると判断されると、採用される確率はかなり高くなるでしょう。
行政書士に就職した人の平均年齢
行政書士試験の合格者の年齢は30代が約40%、次いで20代が約33%、そして40代が約17%となっているので、資格取得後に就職する人は必然的に30代が最も多くなっています。
資格取得後すぐに資格登録しないこともあるので、実際の就職年齢は企業の実情などにあわせてさまざまです。
ただし、比較的若い年齢の方が就職に有利であることは他の業種と同じで、高年齢での企業への就職、転職は非常にまれなケースだといえるでしょう。
行政書士資格者のニーズのある業界は建設業界、不動産関連業界、金融業界などがあげられます。
こういった業界では一般社員として入社した後に、会社側から資格取得を奨励されることもあるようです。
会社の長期的な戦力として期待されている求人募集では、行政書士資格者といえども35歳前後を一つの基準として採用選考することも少なくありません。
ちなみに行政書士全体の平均年齢は55歳前後です。
行政書士は資格登録をすれば、定年なく一生働くことができる仕事なので、定年退職後に登録して自分のペースで開業するという人も多くいます。
しかし、行政書士資格を企業への就職に活かしたいと考えるならば、企業の求める人材としての条件を、年齢も含めて満たす必要があるでしょう。
未経験の行政書士の就職の実情
行政書士として未経験の状態で就職するという場合は、20代が最も就職しやすい年代だといえるでしょう。
企業の場合、これから長く会社の戦力となる有望な人材として採用するわけですから、できるだけ若い年齢の方が有利です。
また、士業事務所など即戦力としての行政書士を求められているところでは、未経験者は採用されないこともあります。
もし未経験者で採用された場合には、新人としての下働きや、顧客の元や官公庁などへ頻繁に出向くなどの体力仕事もかなり多いです。
そして、どのような職場であっても、行政書士として求められる能力は、細かなミスに気付いたり、数字のデータなどを正確に扱ったりすることのできる高い事務処理能力です。
1字間違うだけでも大幅な修正が必要となることもあるので、パソコンスキルも含めた細かい注意力や気づかいは必須の能力となります。
この点で、細かな仕事が得意な女性の方が採用されやすいという傾向があるようです。
特に未経験者であれば接客対応にもたけている女性が有利でしょう。
小規模の企業や事務所ではパート募集を出しているところもあるので、働く女性にとっては自分のライフスタイルに合う職場環境を見つけやすい職種といえます。
行政書士が就職試験で気をつけるべきこと
では次に行政書士が就職試験を受ける際に注意すべきことについてあげていきます。
基本的に一般的な就職試験や採用面接で注意することと大きな差はありません。
ただし、行政書士としての能力が求められている以上、業務上必要となるスキルや能力を持っているかという点を評価されます。
採用側の企業や事務所の方向性と自分の志望動機が合っているか、という点も重要なポイントとなるので、しっかりと要点を押さえて万全の準備をし、就職活動を行っていきましょう。
履歴書の書き方
行政書士に限らず、履歴書は就職、転職では採用側にとってファーストインプレッションとなる重要な書類です。
書類作成の専門家である行政書士ならばなおさら、その作成には細心の注意をはらう必要があるでしょう。
誤字脱字、情報の記載不備などはもちろん、手書きなのかパソコンで書くのかといった細かな指定条件も確認して、できるだけ完璧に書類を作らなければなりません。
不備のある履歴書を送ってしまうと、それだけで行政書士としての資質を疑われる事態になりかねないからです。
そして、志望動機の記載内容も非常に重要となります。
もともと行政書士は独立開業型の資格ですから、有資格者でありながら企業の採用募集に応募することに対する説得力のある説明が求められるからです。
自分の正直なキャリアプランや志望動機を記載しても構わないケースもありますが、採用されることを優先に考えるならば、相手側のビジョンや経営方針に合わせた内容にした方がいいでしょう。
そのためには、募集先の企業や事務所が、一体どういった目的で行政書士資格者を募集しているのかをしっかりリサーチする必要があります。
行政書士としての最低限のスキルを持っていること、そして採用側の求める志望動機を持った人材であること、この2点をふまえたうえで、履歴書を作成しておきましょう。
面接における注意点
採用面接では最低限のビジネスマナーはもちろん、その人となりを吟味されるものと考えておきましょう。
さまざまな相談や打ち合わせ、官公庁とのやり取りなど、多くの人と関わって仕事をするのが行政書士です。
採用後の仕事内容にもよりますが、行政書士として仕事、企業の法務部や総務部での仕事、そのどちらでも人とのコミュニケーションを円滑に行える人材の方が断然有利となります。
したがって、面接では担当者から聞かれたことに対して的確に答えられるように、想定される質問に対してはあらかじめ準備しておくなどの対策をしておいた方がいいでしょう。
履歴書においても重要な「志望動機」についても、面接ではより踏みこんだ質問をされます。
採用側のビジョン、求める人材に合致した人材であるとアピールすると同時に、行政書士としてのスキル、能力をどのように企業で活かしていきたいか、という点を具体的に説明できるようにしておきましょう。
「将来独立するつもりがありますか」と質問されることも多いでしょうが、企業の採用面接であれば「行政書士資格によって企業へ貢献したい」という点を強調しておいた方が、チャンスは大きくなります。
小さな企業や士業事務所で働く際は、社長や他の士業スタッフとの相性がいいかという点も非常に重要です。
したがって、面接ではその会社や事務所の雰囲気が自分に合うかどうかをしっかりと確かめておく必要があるでしょう。
まとめ
行政書士の資格を取得したら、その資格を生かして独立開業の準備をするか、それとも一般企業や士業事務所などに就職するか、という選択に迫られます。
取得した資格自体は、基本的に一生涯有効なものなので、いつ開業するかは全くの自由です。
ただし、就職を考えているのならば他の就職事情と同じく、若い年代である方が有利になります。企業への就職を考えているならば、できるだけ早めに行動したほうがいいでしょう。
将来を見越して経験を積みたいという場合でも、若いうちから行動する方がチャンスの幅は広がっていきます。