公務員と行政書士資格は相性が良い?特認制度とは?

公務員と行政書士資格は相性が良い?特認制度とは?

公務員と行政書士資格は相性が良い?特認制度とは?

公務員と行政書士資格は相性が良い、あるいは、公務員は行政書士試験に合格しやすい、などと聞いたことはありませんか?

その理由は、業務内容の親和性にあります。

また、公務員経験が一定年数以上ある場合には、行政書士試験が免除される仕組みもあります。

目次

相性が良いと言われる理由は業務の親和性

行政書士の業務を整理すると、次のようになっています。

「官公署に提出する書類」の作成とその代理、相談業務 書類のほとんどは許可認可(許認可)等に関するもので、その数は1万種類を超える。
「権利義務に関する書類」の作成とその代理、相談業務 権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意思表示を内容とする書類。

主なものとしては、遺産分割協議書、各種契約書(贈与、売買、交換、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合、終身定期金、和解)、念書、示談書、協議書、内容証明、告訴状、告発状、嘆願書、請願書、陳情書、上申書、始末書、定款等。

「事実証明に関する書類」の作成とその代理、相談業務 社会生活に交渉を有する事項を証明するに足りる書類。

主なものとしては、実地調査に基づく各種図面類(位置図、案内図、現況測量図等)、各種議事録、会計帳簿、貸借対照表、損益計算書等の財務諸表、申述書等。

その他特定業務 申請取次業務、特定行政書士業務など

日本行政書士会連合会ホームページより

上記のように、官公署へ届け出る書類の作成は、行政書士の主要な業務です。

一方の公務員は、行政書士を通じて許可・認可などに関する書類の提出を受け、書類を精査する立場にあります。

日常業務において各種書類の取り扱いに精通していれば、その分だけ、業務内容のイメージがつかみやすく、また、受け付ける官公署内において書類がどのように取り扱われるかといった内情まで理解していることにより、行政書士の実務は非常に行いやすくなると言えるでしょう。

特に、行政書士試験においては、実務と馴染みの薄い法律知識や一般常識がその内容となっており、試験に合格しただけでは行政書士実務を理解することは困難です。

そのような状況において、大きなアドバンテージになると考えられます。

試験勉強をする上でも業務知識が役に立つ?

公務員としての業務知識が、試験合格後の行政書士業務に活かしやすいことに加えて、行政書士試験の勉強に取り組みやすいという効果もあります。

行政書士の試験科目について

行政書士試験の試験科目は、次のようになっています。

○行政書士の業務に関し必要な法令等(出題数46問)

  • 憲法 ……6問
  • 行政法

    (行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法など)……22問

  • 民法 ……11問
  • 商法 ……5問
  • 基礎法学 ……2問

○行政書士の業務に関連する一般知識等(出題数14問)

  • 政治・経済・社会 ……7問
  • 情報通信、個人情報保護 ……4問
  • 文章理解 ……3問

このように、「行政法」と「民法」の割合が大きく、重要度が高いことが分かります。

公務員であれば、業務内容にもよりますが、行政法と民法を業務において全く活用しないということはあまりないでしょう。

また、「一般知識」における文章理解などの問題は、国家公務員試験での出題と比較的似ており、そうした点からも取り組みやすいと言えます。

公務員なら試験なしで行政書士になれる?特認制度とは?

このように、試験合格後の行政書士実務においても、行政書士試験の試験勉強をする上においても、公務員経験はメリットがあると言えますが、実は、公務員経験が一定年数以上ある場合には、行政書士試験を受験しなくても行政書士として登録することができるという制度があります。(特認制度)

行政書士となる資格について定めた行政書士法第2条は、次のような規定となっています。

(資格)

第二条 次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。

一 行政書士試験に合格した者

二 弁護士となる資格を有する者

三 弁理士となる資格を有する者

四 公認会計士となる資格を有する者

五 税理士となる資格を有する者

六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間及び行政執行法人又は特定地方独立行政法人の役員又は職員として行政事務に相当する事務を担当した期間が通算して20年以上(学校教育法による高等学校を卒業した者その他同法第90条に規定する者にあつては17年以上)になる者

つまり、行政書士として登録するためには、

①行政書士試験に合格すること、

②他資格を有していること(弁護士、弁理士、公認会計士、税理士)、

そして、

③公務員として通算17年以上(中学校卒業程度の場合は20年以上)勤務していること、

の3つの方法があるということになります。

この公務員経験により登録する場合には、登録手続きに先立って、「職務経歴書」等を行政書士会に提出し、従事してきた職務内容についての審査を受けることになります。(手続きは各都道府県により異なるため、正確な情報は各都道府県の行政書士会のホームページ等でご確認ください。)

また、警察官もこの特認制度の対象となりますが、職務内容によって取り扱いが異なることがあるため、事前に行政書士会に確認しておくことをお勧めします。

公務員であれば行政書士試験免除というわけではないので注意

行政書士試験免除の制度を活用するためには、少なくとも17年以上は公務員としての職務経験が必要であるため、最短でも40代以降での活用を検討することになります。

それより前に行政書士資格の取得を検討するためには、やはり行政書士試験を受験し、合格する必要があります。

公務員である、イコール行政書士試験免除、というわけではない点にご注意ください。

公務員と行政書士の兼業はNG

公務員には兼業禁止規定があるため、在職中は行政書士登録をすることはできません。

そのため、公務員を退職した後に、行政書士登録を行う必要があります。

なお、行政書士登録にあたって必要となる費用の目安についてですが、入会する都道府県によって異なります。

東京都行政書士会の場合、入会金225,000円、登録手数料25,000円、登録免許税30,000円、となっており、合計約30万円程度です。

また、開業登録する場合には、事務所要件を満たす必要があり、それらにかかる諸費用も別途必要となってきます。

なお、登録後の月会費も、都道府県によって異なりますが、東京都の場合、月6,000円となっています。

元公務員行政書士は多い?

上記のように、公務員経験を利用した行政書士試験免除制度を活用できるのは、早くとも40代以降です。

その頃には、責任があり、待遇も良いポジションについている方も多いでしょう。

また、公務員の場合、退職金制度が充実しています。

そのような公務員の地位の安定性と、行政書士としてやりたいことがあるかどうか、などを比較衡量して選択することになるでしょう。

そうした事情から、公務員を退職した後に、登録する元公務員行政書士の方の割合が高いです。

まとめ

公務員在職中であれば、兼業も禁止されており、ただちに行政書士試験免除とも限らないことから、すごく有利、というわけではありません。

一方で、業務の親和性から、行政書士実務に馴染みやすいというメリットなどは十分にあります。

免除されないとしても、将来の選択肢の幅を広げるために、行政書士試験を受験してみるのも良いのではないでしょうか。