実務家密着取材

直撃インタビュー
行政書士 小山尚文さん

行政書士   小山尚文 さん

1981年生まれ。東京都奥多摩町出身。大学在学中2002年に行政書士試験に合格し、2003年に小山尚文行政書士事務所を開業。東京都行政書士会中央支部に所属。化粧品の薬事申請を専門業務とし、輸入許可、製造販売業の新規許可等、年間100社にわたる実績を持つ。
行政書士 小山尚文事務所のホームページは下記のとおりです。
URL : http://gyousei.boo.jp/sy/


行政書士は、法律知識をカバーする顧客第一のアドバイザー。
ニーズを捉えることで、無限の可能性を持つパイオニア。

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は行政書士小山尚文事務所の小山尚文さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか


現在の仕事は薬事法にフォーカスを当てた仕事がメインです。化粧品の許可申請等の薬事申請業務、そこから派生した輸入代行業務等も行います。具体的には、化粧品輸入許可、製造販売業の新規許可をはじめ、許可後も関係書類のチェック、成分分析、広告、更新手続きなどに携わっています。行政書士の業務としては、役所に提出する許認可等の申請書類の作成並びに提出手続代理、遺言書等の権利義務、事実証明及び契約書の作成等があります。一般的な書類作成や許可申請といった代理・代行業だけでは正直、あまりニーズはありません。専門に特化して得意分野を作ることが重要だと考え、私は薬事の知識を身につけました。現在薬事申請・許認可手続きの代行だけでなく、独自ルートでの輸入販売、化粧品メーカーのコンサルティングまで幅広いニーズに対応しています。


小山さんのオフィスは銀座

小山さんのオフィスは銀座


行政書士の資格を取ろうと思ったきっかけは何ですか


資格を取ったのは大学3年生の時です。法律を学んでいた知人から行政書士事務所を舞台にした漫画を借りて読んだのがきっかけなのですが、1回目は落ちて、 2回目のチャレンジで合格しました。もともと独立志向というか、「自分で何かやってみたい」、「起業したい」という意識はありました。2002年1月に合格して、大学4年生だった7月に行政書士会に登録しました。資格を取ったからにはそれを利用した方がいいと考え、そのまま就職活動もせずに開業しました。当時、二十歳になったばかりの学生たちがマルチ商法などの悪徳商法の被害を受けたという話を耳にしていたので、「何か力になれれば」と。そこで「契約してしまったけど解約したい。でも、そのやり方がわからない」という人たちに向け、クーリングオフに特化した行政書士事務所という携帯サイトを立ち上げました。


学生時代に資格を取得

学生時代に資格を取得


開業されてから、どのように仕事を進められたのでしょうか?


行政書士事務所の携帯サイトを立ち上げた当初、全国各地から驚くほど問い合わせがありました。電話メインの応対でしたが、約200件ちかい手続きを行いましたね。そのうちに同業者のライバルが増え出して、売り上げが落ちていきました。そこで行政書士会などのセミナーに参加したり、専門書を読んだり、開業間もない士業のビギナーたちのサークルに参加したりしました。そうすることで、必要な知識を貯め込んでいったのです。また、産廃や車庫証明、外国人登録、風俗など、さまざまな案件をこなしていくうちに経験とノウハウが身に付いていきました。会社に勤めた経験はないのですが、ゼロから自力でつかみとる姿勢が身に付いたのは逆に良かったのかもしれません。クライアントと話をする中で隠れたニーズをつかむことは格段にうまくなったと思います。
仕事が軌道に乗り始めたのは2005年の薬事法改正からです。法改正は、みんなが同じスタートラインに立つので、大きなビジネスチャンスになります。行政書士会の講座や役所でのヒアリング、書籍などで勉強しているうちに手応えを感じました。私の事務所では、輸入代行から通関業者、倉庫業者、成分分析の会社まで提携先を紹介するなど、ワンストップサービスを提供していますので、他とは差別化できている状況だと思います。


化粧品製造業・販売業の許可も取得

化粧品製造業・販売業の許可も取得


仕事をスムーズに進める上で心がけていることは何でしょう


コミュニケーションをきちんととり、クライアントに満足していただける結果に導くようにしています。お客様は許可を取るということだけが最終目的ではありません。その事業を成功させるところがゴールです。クライアントの望んでいる部分をしっかりフォローしていくと、信頼が得られます。会社設立の手続きは行政書士であれば出来て当然ですが、経営者特有の悩みというところもしっかりフォローしていかなければなりません。会社の立ち上げといったことは実際に経験してみないことには説得力がないので、自分でも会社を興しました。司法書士や弁護士も大変な仕事だと思いますが、行政書士もお客様に対して責任があります。許認可が遅れたり取れなかったりすれば、会社に大きな損害を与える案件が多いので、ミスをしないように慎重に行っています。また、化粧品業界や法改正などの情報感度を高くして、常にアンテナを張っているようにしています。


コミュニケーションを大事にしているという小山さん

コミュニケーションを大事にしているという小山さん


仕事のやりがい、報酬について教えてください


直接、私に依頼していただけるというところで、必要とされている実感があります。また、仕事が滞りなく終わったときの達成感も捨て難いものがあります。今はきちんとした休みがとれないくらいに案件が重なり厳しい部分もありますが、担当した化粧品が店頭に並んでいたりするのを見るとやはり嬉しいですね。行政書士業はかなり孤独な仕事ですが、士業サークルで知り合った仲間たちと一緒に共同事務所で作業しています。自立した人たち同士それぞれと仕事が出来るというのも嬉しいです。報酬についてはどの資格でも言えることだと思いますが、本人の努力次第で可能性は無限に広がります。私の知人の中には20代で年収が 1000万円を超えている行政書士もいます。


取扱い化粧品のサンプルも事務所に用意

取扱い化粧品のサンプルも事務所に用意


行政書士というのは非常に面白い仕事だと思います。カバーできる範囲が広く、本人のやり方次第でいくらでも道を切り拓くことが出来ます。起業するにしても国家資格があるということは非常に有利です。自分で何か事業をしたいという方にとって行政書士は非常にいい資格だと思います。今は士業も価格競争が激化し、厳しい時代ではあります。専門に特化して、深く入り込んだ知識を持つことが大事なのではないかと思います。私自身、社会経験がなくても「やるしかない!」という一心でやってきました。是非、自分の道を切り拓いてください!


行政書士   小山尚文 さんの、ある1日


ある日のスケジュール

7:30

起床

朝食

8:00

出社

メールチェックなど

10:00

打ち合せ

クライアントと輸入代行の打ち合せ

12:00

昼食

 

13:00

個別相談

薬事法関連の書類確認、チェックなど

17:00

事務作業

メールチェックなど

20:00

退社

退社後、食事

23:30

就寝