平成30年度(2018年)行政書士試験の「講評」!試験結果を徹底解説!

試験講評

平成30年度 行政書士試験の講評

2018/11/11

福澤講師による平成30年度行政書士試験 講評動画

行政書士試験の講評担当講師:フォーサイト行政書士担当講師 福澤繁樹

平成30年度 行政書士 試験講評

1. はじめに

 平成30年11月11日(日)に、平成30年度行政書士試験が実施されました。
 受験された方は、本当にお疲れ様でした。
 例年通り、全部で60問、55ページに及ぶ長い試験ですが、簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

 基礎法学は、例年通り2問の出題でした。
 問題1については、伝統的な大陸法系と英米法系の知識を問う問題です。
内容的には、安易な問題と言えます。
 逆に、問題2は、基本的に見えて、なかなか難しい問題でした。
自信をもって、選択肢を選ぶのは難しかったかもしれません。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

 まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。
 問題3は、与えられている判例の文章を読み、現場思考でも解くことができる問題です。
 次に、問題4の学問の自由、問題5の生存権に関する出題は、判例を知っていれば容易だと思います。さらに、問題6は少しひねりが効いていますが、落ち着いて消去法を用いていけば、解答できると思います。問題7は、語句の並びを検討すれば、同じく消去法で解答できます。

 次に、多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。以上より、憲法は例年に比べて、少しだけ問題文などにひねりがあったとは思いますが、難易度は例年並みだと思います。その意味で、できれば高得点を目指したい科目となっています。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式 問題42~問題43、記述式 問題44)

 まず、択一式ですが、例年通り19問でした。
 問題8は、代執行というポピュラーな分野ですが、少し難しいと思います。
 問題9は、フォーサイトのテキストでも重点的に書かれている分野ですので、得点できた方も多かったのではないかと思います。
 問題10・11・13・14・15・16は、非常に基本的な知識問題ですので、確実に得点してほしいところです。また、問題12は、前回の法改正以降、注目していた分野ですので、やはり出題されたかという感じです。
 続く行政事件訴訟法の分野では、問題17・18・19と出題がありますが、いずれも平易だと思われます。
 さらに、国家賠償法に関する判例問題と、今回は損失補償からも1題が出題された点が、少しこれまでとは違う印象です。ただし、内容的には損失補償と形式的当事者訴訟との併せ技となっています。
次に、地方自治法ですが、問題22・23・24ともに、基本的な知識を問う問題です。
したがって、ここは得点しておきたい部分だと思います。
最後に、問題25は、少し難しい問題だと思います。最後に2択で苦しいという作りになっていますので、精神的に疲れがでる問題だと思います。
そして、問題26は、保育園の廃止の条例が、行政処分かどうかについての判例を題材とした出題でした。

 多肢選択式は、例年通り問題42から問題43の2問の出題でした。
 内容は、問題42については、行政事件訴訟法に関する出題、問題43はフォーサイトのテキストに掲載されている判例についての出題でした。前者については、比較的容易だと思いますが、後者については、難易度が高く感じた方も多かったと思います。

 記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。昨年に続いて、今年も行政法の記述式は難しい問題でした。全体としては、行政法はしっかりと条文や著名な判例を学習しておけば、きちんと得点ができる分野だという印象を受けました。これは、ここ数年の傾向として変化はありません。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

 まず択一式ですが、例年通り9問の出題となります。
 そして、恒例となりますが、最初の問題である問題27は、マイナー論点で受験生にインパクトを与えます。公序良俗・強行法規違反という内容に、ちょっと戸惑う受験生の方が多かったのではないかと思います。続く問題28も、少し難しい出題だと思います。
 しかしながら、続く問題29から問題32は、比較的正解できた受験生が多い問題だったと思います。
さらに、問題33の不法行為については、内容的には難しくはありませんが、なかなか学習が行き届かない分野の可能性もあります。さらには、登場人物も錯綜していますので、普段から図を書いて問題を解く癖をつけていないと対処できなかったかもしれません。
 さらに、例年とは違い、親族から離婚と後見が出題されています。ここは、難しく感じた方が多かったのではないかと思います。

 記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。
 まず、問題45についてですが、制限行為能力者の相手方の催告権の出題となっています。こちらは、条文知識で対応が可能な、比較的平易な問題でした。
 次に、問題46ですが、こちらも口頭による贈与契約の取消しについて、条文知識を書かせる内容となっています。こちらも、比較的正解できた方が多いと思います。
 民法全体の印象としては、昨年よりは少し歯ごたえがありました。やはり何問か難しい内容や、学習の行き届かない部分を狙った問題があります。民法は,今後も気が抜けないと感じました。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

 商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。
 まず、問題36は例年通り、商法からの問題です。
 次に、会社法からは、設立における発起人の責任、譲渡制限株式、社外取締役、そして剰余金の配当という出題内容となっています。
 今回の商法・会社法の分野は、比較的平易な内容だったのではないかと思います。

7. 一般知識(問題47~問題60)

 一般知識については、まず、例年通り、問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。
 次に、情報通信・個人情報保護の分野ですが、問題56・57でストレートに個人情報保護法に関する出題がありますが、それ以外は防犯カメラや欧州データ保護規則などの聞き慣れない単語が並びました。
 なお、今回、上記以外の分野において、非常に特徴的なのは、これまでの出題傾向とは、少し違う部分があるように思えることです。
 以前から、一般財団法人行政書士試験研究センターのHPで公開されている、試験の案内では「行政書士の業務に関連する一般知識等」と試験範囲が明示されていましたが、内容としては、昨年の山崎豊子の小説や、外国の指導者等の出自に関する出題などがあり、試験範囲と業務関連とはリンクしていませんでした。
 しかし、今回は、最初の問題47の外国人技能実習制度、問題48の各士業の監督官庁、問題51の埋葬等に関する知識、問題53の風適法など、行政書士業務と関連の深い内容が並んでいます。この出題内容の是非については、また別の問題はあると思いますが、少なくとも例年とは出題傾向が変わったと言えると思います。
今後も、この傾向が続くかどうかについて、注目していきたいと思います。

8. 結語

 法令科目については、まず、択一式については、昨年よりも難しい印象でした。条文知識や判例をきちんと学習しておけば、対処は可能ですが、それでも精神的に疲れた方も多かったのではないかと思います。
 次に、多肢選択式は比較的易しい印象です。下敷きとなっている事案を知らなくても、現場で丁寧に文章を読むことで、基本的な知識で対処できるものも多いと思います。

 最後に、記述式については、昨年よりも易しい印象でした。また、一般知識分野では、前記のように出題傾向に変化が見られました。今後も、この傾向が続くのかは注視していきたいと思います。
 今後、受験される皆さんは、行政書士試験のこのような傾向を踏まえつつ、学習を進めていくことが大切だと思います。

以上で、総評を終わります。
受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。