【2019年11月】行政書士試験の講評

試験講評

令和元年度 行政書士試験の講評

2019/11/10

福澤講師による令和元年度行政書士試験 講評動画

行政書士試験の講評担当講師:フォーサイト行政書士担当講師 福澤繁樹

令和元年度 行政書士 試験講評

1. はじめに

令和元年11月10日(日)に、令和元年度行政書士試験が実施されました。

受験された方は、本当にお疲れ様でした。
例年通り、全部で60問、54ページに及ぶ長い試験ですが、ここで簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

基礎法学は、例年通り2問の出題でした。

問題1については、明治時代における法律の輸入の経緯の知識を問う問題です。内容的には、少し難しい問題と言えます。ただ、大学の法学部の知識があれば、解答できます。
逆に、問題2は、裁判の審級の問題です。なかなか難しい問題でした。自信をもって、選択肢を選ぶのは難しかったかもしれません。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。

まず、総論として、問題の形式などにひねりが多く、また内容的にも人権の判例などのメイン論点ではなく、マイナー論点からの出題が目立ちました。
次に、多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。
以上より、憲法は例年に比べて、少しだけ問題文などにひねりがあったとは思います。また、内容的にも難しいものが多く、難易度は例年よりも上がっていると思います。今後も、この傾向が続くかは注目すべきでしょう。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式 問題42~問題43、記述式 問題44)

まず、択一式ですが、例年通り19問でした。
問題8は、行政上の義務の履行というポピュラーな分野で、比較的得点しやすいと思います。

それから、行政手続法、行政不服審査法は、きちんと学習していれば正解できる内容だと思います。
行政事件訴訟法は、内容的には難しくありませんが、これまでの判例を中心とした出題と傾向が変わり、条文知識が出題されています。しかし、もちろんですが、今後も判例知識は出題されると思いますので、今年だけの特徴だと思います。

さらに、昨年に続き、国家賠償法と、損失補償から各1題が出題されました。
次に、地方自治法ですが、問題22・23・24ともに、基本的な知識を問う問題です。したがって、ここは得点しておきたい部分だと思います。
最後に、問題25、問題26は、マイナー論点で、多くの方が得点できなかったと思います。最後の最後に、難しい問題と置くことで、行政法の印象が難しいものとなっていると思います。

多肢選択式は、例年通り問題42と問題43の2問の出題でした。
内容は、問題42については、行政手続法に関する出題、問題43は行政事件訴訟法からの出題でした。二問とも、ぜひ正解をしたい問題です。チャンス問題だと思いました。

記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。
昨年に続いて、今年も行政法の記述式は難しい問題でした。
行政手続法のマイナー知識ですが、テキストにはきちんと掲載されていますので、できれば食らいついていきたいところです。
細かな表現は正確に再現できなくても、制度理解がなされていれば、現場思考で部分点はもらえると思います。

全体としては、行政法はしっかりと条文や著名な判例を学習しておけば、きちんと得点ができる分野だという印象を受けました。
これは、ここ数年の傾向として変化はありません。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

まず択一式ですが、例年通り9問の出題となります。
民法は、今年は難しかったと思います。
総則は、時効と代理という比較的得点しやすい分野でしたが、それ以降は、マイナー論点が続きました。抵当権からの出題がなく、また契約分野からもほとんど出題がありませんでした。

今年の民法は苦戦された方が多かったと思います。
さらに、問題34の不法行為については、なかなか学習が行き届かない分野であり、判例知識も持っていない受験生が多かったと推察します。
さらに、例年とは違い、親族から「氏」に関する問題が出題されています。ここは、難しく感じた方が多かったのではないかと思います。

記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。
まず、問題45についてですが、共有関係の出題となっています。こちらは、条文知識で対応が可能な、比較的平易な問題でした。
次に、問題46ですが、こちらも第三者のためにする契約についての出題となっています。こちらも、比較的正解できた方が多いと思います。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。

まず、問題36は例年通り、商法からの問題です。
次に、会社法からは、設立、株式から各1問、機関から2問となりました。
今回の商法・会社法の分野は、比較的平易な内容だったのではないかと思います。

7. 一般知識(問題47~問題60)

一般知識については、まず、例年通り、問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。

次に、情報通信・個人情報保護の分野ですが、問題57でストレートに個人情報保護法に関する出題がありますが、それ以外は難しい内容だと思います。
また、昨年と同様に、行政書士業務と関連の深い内容として、廃棄物処理法についての出題がありました。

ちなみに、昨年は、問題47の外国人技能実習制度、問題48の各士業の監督官庁、問題51の埋葬等に関する知識、問題53の風適法など、行政書士業務と関連の深い内容が出題されています。
今後は、この流れにも注目したいと思います。

なお、その他の政治・経済・社会については、よく聞く出題分野からの出題ですが、いざ解答するとなると、なかなか難しい内容になっています。

8. 結語

法令科目については、まず、択一式については、昨年よりも難しい印象でした。
条文知識や判例をきちんと学習しておけば、対処は可能ですが、それでも精神的に疲れた方も多かったのではないかと思います。

次に、多肢選択式は比較的易しい印象です。下敷きとなっている事案を知らなくても、現場で丁寧に文章を読むことで、基本的な知識で対処できるものも多いと思います。

最後に、記述式については、昨年よりも難しい印象でした。
また、一般知識分野では、前記のように出題傾向に変化が見られました。今後も、この傾向が続くのかは注視していきたいと思います。

今後、受験される皆さんは、行政書士試験のこのような傾向を踏まえつつ、学習を進めていくことが大切だと思います。

以上で、総評を終わります。
受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。