令和6年度 行政書士試験の解答速報・試験講評

2024/11/10

11月10日(日)に実施されました、令和6年度 行政書士試験の解答速報・試験講評を公開いたしました。


解答速報

問1 問2 問3 問4 問5
4 3 5 2 3
問6 問7 問8 問9 問10
1 4 5 2 4
問11 問12 問13 問14 問15
5 2 1 5 4
問16 問17 問18 問19 問20
5 2 4 3 1
問21 問22 問23 問24 問25
3 1 5 4 3
問26 問27 問28 問29 問30
2 1 1 4 3
問31 問32 問33 問34 問35
2 5 5 3 2
問36 問37 問38 問39 問40
2 4 4 3 1
問41 (ア) (イ) (ウ) (エ)
8 2 4 10
問42 (ア) (イ) (ウ) (エ)
13 18 4 10
問43 (ア) (イ) (ウ) (エ)
16 7 13 3
問44
国を被告として、Aへの免許処分、若しくはXへの拒否処分のみの取消訴訟を提起できる。
問45
動産売買の先取特権に基づき、甲を競売し、一般債権者に優先して売買代金を確保できる。
問46
Bに対する登記請求権を保全するため、BのCに対する移転登記請求権を代位行使できる。
問47 問48 問49 問50 問51
5 5 2 2 3
問52 問53 問54 問55 問56
1 5 1 2 4
問57 問58 問59 問60  
4 2 4 1  


試験講評

1. はじめに

令和6年11月10日(日)に、令和6年度行政書士試験が実施されました。
受験された方は、本当にお疲れ様でした。 例年通り全部で60問、50ページに及ぶ長い試験ですが、ここで簡単に今年の試験問題を振り返ってみたいと思います。

2. 基礎法学(問題1~2)

基礎法学は、例年通り2問の出題でした。比較的平易な内容でした。
問題1については、大陸法系と英米法系について問う問題でした。
問題2は、民事事件と刑事事件の手続きに関する出題です。 いずれもフォーサイトのテキストでは、該当部分についても解説していますので受講生の方には平易だったと思います。

3. 憲法(問題3~7、多肢選択式 問題41)

まず、択一式ですが、例年通り5問の出題でした。
総論として、今年の憲法は昨年よりも平易な印象です。 問題5は平易な内容であり、問題4の検索サービスの問題はフォーサイトではかねてよりご紹介していた判例です。
問題6の選挙制度に関する出題、問題7の国会議員の地位に関する出題も正解率が高いと思われます。 次に、多肢選択式問題については、例年通り1問の出題でした。この婚外子の判例に関する出題は、少し難しい印象です。

4. 行政法(問題8~問題26、多肢選択式:問題42・問題43、記述式:問題44)

まず、択一式ですが、例年通り19問でした。 行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法については、例年並みの難易度であったと思います。
その意味では、難易度の高い問題はありましたが、全体の印象としては平易であったと思います。

多肢選択式は、例年通り問題42と問題43の2問の出題でした。 内容は、あまり難しくないので、いずれも現場思考で対応できると思います。ただし、問題43が長文であったので、ここで時間を使ってしまったという方も多いかもしれません。

記述式については、例年通り問題44の1問が出題されました。今年の行政法の記述式は、難しい印象です。競願関係という聞きなれない判例の立場を考慮して、という問題の指示に戸惑った方も多いと思います。ただし、問題文の指示から、被告を答えること、取消訴訟を提起することが前提であることは判断できます。
そうすると被告は問題文が取消訴訟としていることから「国」であることは明白ですので、免許付与処分と不許可処分に対する取消訴訟のいずれかは書けると思います。まさに「問題文に食らいつく」という姿勢が問われる部分だと思います。

全体としては、難しい問題やイレギュラーな出題は散見されるものの、条文や著名な判例を学習しておけば得点ができる分野が中心という印象です。ここ数年の傾向からしても大きな変更はないと思います。

5. 民法(問題27~問題35、記述式 問題45、問題46)

まず、択一式ですが、例年通り9問の出題でした。 択一式は、ここ数年の民法の大規模な債権法改正の影響による出題内容のマイナー化が終わり、メジャー論点の復活という印象があります。

そして、今年の民法は例年に比して難しい印象です。 択一式は、特に最後の3問が難しく、受験生の印象も「難しい」と感じたと思います。

次に、記述式については、例年通り問題45、問題46の2問が出題されました。問題45は、先取特権の出題となっています。問題46は、債権者代位権の問題です。問題46は平易ですが、問題45は書けた人は少ないかもしれません。

6. 商法・会社法(問題36~問題40)

商法・会社法は、例年通り5問の出題となります。
まず、問題36は例年通り、商法からの出題です。次に、会社法からは、設立の出題はなく、株式・機関からの出題でした。また、組織再編の問題もありました。いずれの問題も難しい問題であり、今年の商法は皆様苦戦したと思います。

7. 基礎知識(問題47~問題60)

基礎知識については、例年通り問題58から問題60までは文章理解の分野からの出題でした。ここは、非常に簡単な出題でしたので、できれば一問も落としたくない部分でした。

今年の目玉である「行政書士法」「戸籍法」「住民基本台帳法」については、2問の出題でした。正直、拍子抜けでした。行政書士法は最低でも2問は出題してほしかったです。今後も、このような傾向が続くかは注視すべきだと思います。 また、個人情報保護法は、出題数が年々減少している印象です。

政治・経済・社会の分野からも5問出題がありますので、この分野も広く浅くフォローを続ける必要がありそうです。

8. 終わりに

法令科目については、まず、択一式については、難しい印象です。 行政法については、難しい知識も散見されますが、全体としては例年並みの難易度という印象でした。また、多肢選択式は得点できた方が多いのではないかと思います。これに対して、記述式は難しかったと思います。

次に、民法は択一式も記述式も難しかった印象です。特に、記述式問題46は書けたと思いますが、問題45については難易度が高いと思います。

なお、基礎法学・憲法は比較的易しい印象であり、これに対して、商法は例年よりも難しかった印象です。今後も、この傾向が続くのかは、もう少し注視が必要だと思います。

総括すると、行政法は、このままの学習量を維持しつつ、民法について、より学習を深めていかなければいけない試験になりつつあると感じました。

そして、正解した問題でも、必ずしもすっきり「正解」を出せたという問題は少なく、「なんとか」「比較検討して」正解に辿り着いた問題が多かったと思います。

最後に、基礎知識分野ですが、こちらは昨年までと同様に多くの方が合格基準点に達することができると思います。今後は、個人情報保護法、行政書士法、戸籍法、住基法、政治・経済・社会の各分野の学習時間をコントロールして、試験に備えることが重要になると思います。

以上で、講評を終わります。

受験生の皆様、本当にお疲れ様でした。


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