【情操教育】の基礎知識|保育の現場における実例を交えて解説!

保育の現場における情操教育とはどういうことを行っているのか、これから保育士を目指す方々には興味がある分野だと思います。
しかしながら「そもそも情操教育って何?」「どんな事を行っているの?」という疑問もあるかと思います。
ここでは情操教育を大きく分けて4つの分野から考えをご紹介します。
そして4つの分野の情操教育は密接にかかわりあってつながっているのだということも併せてご紹介していきたいと思います。
子供たちの心の健全な発育や社会性を育んでいくためにもとても大切な科目となりますので最後までご覧いただき理解していただけると嬉しいです。
そもそも情操教育とは何か?|分類は大きく分けて4つ
科学的情操教育 | ![]() |
子どもたちの頭の中いっぱいの疑問。その疑問を考え、解決していく力を育みます。 |
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美的情操教育 | ![]() |
芸術や美にふれ感動する心を養い、また、歌やダンス、絵などの表現することを育みます。 |
道徳的情操教育 | ![]() |
遊びという子どもの社会の中で、自然に社会道徳的なことを育みます。 |
情緒的情操教育 | ![]() |
動植物に触れたりしながら愛情や心の豊かさを育むとともに生命と尊さ、重みも育みます。 |
情操教育は大きく分けて4つに分類されるといわれています。
- 科学的情操教育:子供たちが問いかけてくる「なんで?」「どうして?」という「疑問」
- 美的情操教育 :きれいなものを見た時に感じる「感動の心」
- 道徳的情操教育:遊びの中から学んでいく「社会的道徳」の観念
- 情緒的情操教育:動植物にふれあいながら感じ取っていく「愛情」や「生命」というテーマ
子供たちは日常生活の場から多くの体験を積むうちに、これら一つ一つを学び成長していきます。
科学的情操教育のはじまりは、疑問から

科学的情操教育の始まりは、子供たちの「なんで」という疑問から始まります。「なんで雨は降るの?」「秋になると葉っぱが赤や黄色になるのはどうして?」「なんで外遊びしたら手を洗うの?」「なんで・・・?なんでだ・・・?」
この、「なんで?」の疑問が実は子供たちにはとても大切です。幼児期に、物事に疑問を持ち、それを子供なりに理解し、次のステップに向かう。
このプロセスが、小学生、中学生になり勉強をする頃になると生きてきます。疑問やわからないことを自分なりに考え、解決する能力です。幼児期の「なんで?」はとても大切かつ重要な意味を持ちます。
美的情操教育は美しいものの感動から

花壇に咲いている色とりどりのチューリップをみてきれいな花だと感じる心、美しい物を見たときの感動する気持ちを経験する。
音楽や絵画などの芸術的なものに触れる、また、自ら歌う、踊る、楽器を演奏する、お絵かきや粘土などの方法で表現することも美的情操教育の一環です。
道徳的情操教育は、遊びの中で育まれる

大人になり社会生活を行うようになると、多くのルールがある中で生活することになります。幼児期には、社会生活に必要になる道徳を「遊び」の中から学んでいきます。
子ども同士の小さな社会の中でおもちゃを貸してもらう、貸してあげる、人が持っているものを無理やり取らない、物を投げない、人をおさない、たたかない・・・
砂遊びをする、ごっこ遊びをする、このような遊び一つをとってもたくさんのルールがあり、子どもたちはこれら「遊び」を通して自然に道徳的意識を高めていくのです。
情緒的情操教育には動植物とのふれあいも大切

「生命」の尊さや大切にする心、愛情を育てるといわれているのが情緒的情操教育です。例えば、犬や鳥などの生き物を飼育する、カタツムリや金魚などをクラスで飼育してみる、などということで愛情を育み、心を養いながら生命の尊さや大切さを経験していきます。
保育の現場での情操教育は点から線へと広げていく教育

保育の現場では、1つ1つの情操教育が総合的につながっていったりします。例えば秋の遠足でお芋掘りを例にとってみます。
お芋は土の中にあることを知り、うまく掘れない子には、どうしたら上手に掘れるかを考えながら掘ってみる様アドバイスしながら経験させます。(科学的情操教育)
別の日に、楽しかった経験を絵に表現する、紙粘土でお芋を作成してみるといったことを行います。(美的情緒教育)
紙粘土でつくったお芋は、お店屋さんごっこの遊びの中で実際に使って楽しみます。お芋を焼く人、お芋を売る人、お芋を買う人など、お芋を使って遊びます。(道徳的情緒教育)
お芋掘りという1つの経験から子供たちはいくつもの情操教育に触れていきます。このように保育の現場では点をつなげ線にしていきます。
情操教育|手軽だけれど実は素晴らしい絵本の世界

情操教育は保育の現場だけのものなのでしょうか?このようなお話をよく耳にします。
実は、そんなことはなく家庭でも出来るとても手軽な情操教育の1つに「絵本」があります。絵本の読み聞かせは、脳科学の観点から言ってもとてもおすすめです。
言葉と絵とが一体となっているため、子どもたちにはとても分かりやすい道具の一つということが言えます。
そして絵本のすごいところは、いろいろなストーリーがあり、絵本を通して子どもたちがたくさんの経験に触れることができるということです。
ドキドキする本、わくわくする本、少し悲しく切ない本、絵本の中でたくさんの感情を感じ取ることは心の発達に欠かせない要素です。
また、主人公が多くの困難に立ち向かいながら幸せになっていくお話は、無意識の中に成功体験を与えてくれたりもします。
この成功体験は、子どもたちの人生の中で出会うであろう壁にぶち当たった際にあきらめない心であったり、乗り越える努力をする心だったりを育みます。
自己を否定するのではなく自己を肯定する力、自分を信じて頑張る、そんな力を育んでくれるのも絵本による情緒教育の特徴となります。
絵本は、手軽でいて、とても奥の深い情緒教育ができる力を持った道具の一つであるということを理解しておきましょう。
まとめ
ここまで、情緒教育とは何なのか、保育の現場における情緒教育とはどういうことなのかという基本的なことをお話してまいりました。
情緒教育は大きく「科学的情操教育」「美的情操教育」「道徳的情操教育」「情緒的情操教育」の4つに分けられるということ。
また、これら4つの情緒教育は、保育の現場においては必ずしも1つだけの「点」としての教育ではなく総合的につながりを持たせた「線」としての教育を行っていくということもお話ししてまいりました。
そして手軽にご家庭でも取り入れられる情操教育の1つに絵本の読み聞かせがあることもご紹介してきました。
情操教育はとても奥の深いものであり、とても大切なものであるということがご理解いただけたのではないでしょうか。