【慣らし保育】子どもが新しい環境になじむための大切な準備期間

【慣らし保育】

慣らし保育は、園に初めて通う子どもが園の環境に慣れるための、通常の保育時間や内容とは違う「準備期間の保育」を指します。園の方針やそれぞれの子どもの状況により変わってきますが、概ね通常保育に持っていくまでに2~3週間程度を見る園が多いようです。

この慣らし保育は、保育士にとって、これから預かることになるそれぞれの子どもの状況を把握するにあたりとても大切な時間になります。

子どもが、どういった状況で落ち着くのか、どういうことが不安につながるのか、人の話をしっかり聞けるか、そうでないのかなど、短い預かり時間の中でそれぞれの特徴・性格などをよく観察する「目」が必要になります。

そしてもう1つ大切なことは、保護者との関係を築くことです。園に初めて子どもを預けることになる保護者も不安がいっぱいです。その保護者の不安を取り除き、子どもを預けても大丈夫という安心感を与えることも慣らし保育の大きな目的の1つでもあります。

保育者による子どもの細かい観察と保護者への信頼感、その両方を築くことがその後の保育を順調に行っていけるかどうかに大きく影響してきます。保育士は、このあたりも考慮しながら慣らし保育に携わることを求められます。

目次

1.【慣らし保育】は子どもにとって初めての社会生活の場所

子どもにとって初めての社会生活の場所

慣らし保育の子どもの多くは、それまで「家庭」という慣れた環境、守られた環境の中で「家族」という単位でしか接することがない場合が多いと思います。

そのような子の多くは、知らない大人(保育士)がいて、知らない子ども達が大勢いて、しかも行ったことも、見たこともない場所に一人だけ置いて行かれるわけです。大人でも、新入社員として初めて会社勤めをしたときには不安や、緊張に襲われます。まして小さな子どもなら尚更、不安や恐怖があって当然です。

子どもにとっては、初めて「家庭」以外の社会への旅立ちになり、この時が人生にとって初めての社会生活のスタートとなるのです。

実際、子ども達と接してみるとわかりますが、3歳や4歳の幼児だけにみられる傾向ではなく、1歳のお誕生日を過ぎたばかりの幼児にもこの不安感や恐怖心は現われます。園の玄関先で保育士へ預ける瞬間に大泣きが始まるのは、このためです。

2.慣らし保育とは

慣らし保育とは

慣らし保育は、園に初めて通う子どもが園の環境に早く慣れる様、通常の保育時間や内容とは違う「準備期間の保育」を指します。

最初の何日かは、2~3時間程度を在園児と共に過ごし、少し慣れてくると半日で給食の時間まで参加する。 もう少し慣れてきたら午睡時間を加えて定時まで預かるといったような流れになります。

初めての社会生活のスタートですから大人のように簡単にコミュニケーションをとるなどはできないわけです。

  • 保育園は、自分にとって安全で安心できる場所だという認識
  • 保育士は自分にとって安心できる存在だという認識
  • 家庭以外の違うコミュニティーに参加しているという認識

これらのことが子どもの中で理解できるようになると保育生活へ自ら参加することができるようになってきます。しかし、子どもにより保育生活への参加状況は様々で、みんな一緒に指導できないところが保育や保育士の悩みどころでもあります。

「慣らし保育」とは、子どもの保育参加の土台作りとしてとても大切なものだということを理解しておきましょう。

3.子どもにとっての慣らし保育の意味

子どもにとっての慣らし保育の意味

子どもにとって、これから1日のほとんどを生活する園に、早めに慣れるために必要な園生活の入り口であり、通過点です。

不安感や、恐怖心を抱かず安心して楽しめることを理解するためにも必要な時間です。園に行けばお友達と遊べるのだという楽しさにも気づきます。また、これから大人になっていく過程で付き合っていかなければならない「社会生活」「集団生活」への入り口でもあります。

今までは、家庭である程度自由な時間に寝たり、起きたり、食事をしたりという子どもも、園の生活が始まれば、決まった時間に起床、食事、睡眠をしなければいけなくなります。

このため自然にきちんとした生活リズムが整うということも言えます。

4.保護者にとっての慣らし保育の意味

保護者にとっての慣らし保育の意味

子どもを預ける保護者にとって慣らし保育は、自分の子どもが園生活をうまく過ごしていけるのか、どんな保育士がいるのか、お友達にはどんな子どもがいるのかなどのまた違った不安が付きまとうものです。

この保護者の不安感を取り除いてあげることも慣らし保育の大切な役目なのです。

入園前の説明会で事前にいろいろな話は聞いているのですが、それだけでは理解できないことや実際、園に通いだしてからしかわからない園の雰囲気などもあります。子どもだけでなく保護者にも園に慣れてもらうために必要な時間だということを保育者は理解していなくてはいけません。

不安を抱いているのは子ども同様、保護者も同じで、実はとても不安を抱いているという理解のもと保護者に対する接し方にも注意を払っていくことが重要です。

5.慣らし保育ってどのくらい必要?

慣らし保育ってどのくらい必要?

慣らし保育に関しては、1週間ですとか、3日ですと一律一概にこのくらいかかりますとは言いきれません。

子どもは、「物」ではありません。一人ひとり性格も違えば、暮らしてきた生活環境も違います。

ですから園の方針で3週間程度と定められていても子どもの状況でさらに必要と判断した場合には他の子が1日預かりになっている状況でも半日保育で帰す子どももいます。

兄弟がいる家庭、大家族で祖父母と一緒に暮らしている家庭と核家族で一人っ子で入園前まで母親にべったりの子どもとでは園の人々に慣れて活動に参加するまでの時間は大きく変わってきます。

また、サラリーマンの家庭で母親が専業主婦、商売を営んでいる家庭、片親の家庭などその環境は様々です。

保育士は、子どもを観察するとともに子どもが育ってきた環境も踏まえて一人一人の子どもの様子をこの「慣らし保育」の期間で大枠としてとらえていきます。

保育士にとってもこの「慣らし保育」は子どもを知る大切な時間になるということを理解し接することが求められます。

6.まとめ

ここまで「慣らし保育」に関して解説して参りました。

保育士にとっての慣らし保育は、子どもの性格や状況を把握するために必要な時間であり、保護者との信頼関係や安心感を築く上での大切な時間であるということ。

子どもにとっては、初めての社会経験の入り口として慣れるための大切な時間、また、保護者にとっては子どもを預ける園に対して安心と信頼を得るために必要な時間である。ということが理解できたのではないでしょうか。

慣らし保育は期間が短いこともあり軽く流されがちな保育ですが、実はとても重要な要素がたくさん詰まっており、保育士にとっては特に注意して臨まないといけない保育の一つだということも押さえておきましょう。