【視診】とは子どもの心と体の様子を見分ける保育士の大切な仕事

【視診】とは

視診は、医学用語で使われる言葉でもあります。字のごとく目に見える情報からその人の様子を判断することを言います。保育の現場においてもこの視診は非常に重要で、視診がきちんと出来ていないと保育の中で子どもの状況判断を見誤ることがあります。

ここでは視診の重要性と視診で見逃してはいけないポイントをお話ししていきます。また、ある園で実際に行なわれている視診の方法を具体例と照らし合わせながら見ていきます。この記事を最後まで読んでいただければ視診の大切さがおわかりいただけると思います。

目次

視診が保育士の仕事にとって大切な理由

視診が保育士の仕事にとって大切な理由

その日最初にあった子どもの状態を瞬時に観察し変わったところはないかを見る事を登所時の視診といい、この仕事はとても重要です。普段から接している子どもであればその子どものほんの少しの「顔色」や「言葉掛けによる返事の仕方」「目の動き」「体の動かし方」等から「いつもと違う」を見つけ出すことが出来ます。

この目から入ってくる状態を観察すること(視診)で「いつもと違う」を見つけたら家庭で何か変わったことはなかったか、保護者に声かけをして確認します。子どもに何があったのかを把握していればその後、状態が悪化した場合でも的確な対応が可能だからです。

子どもは、大人が考える以上に「何か」があると体調が「急変」します。

朝、登所前は微熱だからと園に登所してきた子どもでも病状によっては39度、40度と時間がたたないうちにあっという間に高熱を発することもあります。急な高熱は、けいれんを起こしたり、チアノーゼの症状を起こしたり、脳に障害をもたらす可能性もありとても危険です。

また、家庭内で転んで後頭部を打ちその時は何でもないからと園に登所して来る。

しかしその後園内で、嘔吐を繰り返すとか、ボーッとして意識障害が見られる、会話がきちんと出来ない等の症状が見られるとすれば脳に何らかの障害がおきているのではないかと保育士は考えます。

その子どもがそうなる前の状況を把握しているか、そうでないかでその後の対応が変わったり遅れたりする危険があります。こういった点からも視診はとても重要です。

では視診はいつ行なうのかを見ていきます。

登所時の視診は特に重要

登所時の視診は特に重要

ポイントとなる視診は朝、登園してきた子どもを預かるときです。この時、前日保護者に子どもを渡したときの状態と変化はないかをチェックします。

保護者に体調変化を確認しながら、保育士はサッと子どもの様子を確認します。保育中の視診も重要です。子どもは1日の内で知らない間に傷をつくっていることも多いからです。

例えば預かり時には、顔に傷はなかったのに気がついたときに顔にひっかき傷があるという場合はどうでしょう。この時に考えられるのは、友達と喧嘩したときの傷なのか、ツメが伸びていて顔に手をやったときに出来た傷なのか・・・

朝の視診をきちんと行なっていて、かつ保育途中の視診で見つけ出せば保護者に事情説明がきちんと出来ます。しかし、傷に気がつかず、傷の説明がない状態で子どもを渡してしまった場合、保護者とトラブルになる事もあります。保護者によっては何も言ってこないものの、この事がきっかけになり園に不信感を持つ場合もあります。

このように朝の受け入れ時の視診、そして保育中の視診の大切さがおわかりいただけるのではないでしょうか。では視診時のチェックポイントはあるのでしょうか?

視診を行う時におさえておくべきポイント

視診を行う時におさえておくべきポイント

顔色

これは一番分りやすいかもしれません。少し頬が赤らんでいるようであれば熱を疑いますし、青い顔をしているのであれば気分が悪いのではないか等、顔色だけでも読み取れる情報はいくつかあります。

傷や、打撲等

こちらも見える部分に出来ていればよくわかります。その場合は理由をきちんと聞いておくこととその場所以外傷や打撲等がないかもあわせて尋ねておくことが望ましいです。また、見えない部分にタバコの跡やひどい打撲の跡などがある場合は虐待の可能性も考えながら様子を見ます。

虐待が考えられる場合は保護者とのやりとりには注意が必要です。刺激しないように園ではしばらく様子を見ながら接することが望ましいです。ひどくなる場合は専門機関に相談し保育所だけで解決しようとしないことが大切です。

目の動きや動作

熱がある場合、目の動きがうつろになりボーッとしている、動作がいつもより鈍くなる等も見られることがあります。熱が出ているのに保護者は気づいていないといったケースもありますからできるだけ早めに保育士が気付いてあげる事が望ましいです。

挨拶に対しての返事、声の様子

声の様子も体調の変化に気付くサインの1つです。こちらからの朝の挨拶や問いかけに対していつもの元気がない、声のトーンが明らかに違う等は、どこか体調に異変があることが多く、気をつけないといけない症状です。

衣服や身だしなみの乱れ

身だしなみが乱れている、これは子どもの状態というよりは親の心身状態に問題があることが多いです。ネグレクトと呼ばれる育児放棄の場合もあります。衣服の乱れと同時期に子どもが急に乱暴になっていたり、反対に必要以上に甘えてきたりする場合などは特に要注意です。

今まできちんとしていた家庭の子どもが急に服装や身だしなみが乱れだした場合は親子を注意深く観察していきます。ひどくなる場合は専門機関に相談し保育所だけで解決しようとしないことも重要です。

視診【実例】保育園ではこういうことやっています

【実例】保育園ではこういうことやっています

上図は、実際にある園で使用されているボディーチェック表です。

朝の受け入れ時にチェックした状態と入室後、再度細かくチェックした状態を記入しその日1日このチェック表を基に子どもの状態を把握していきます。

このような表があると、全ての保育士が子どもの状態を共有でき便利です。また、チェック表に記入されていない状態を見つけたときにも「いつ、どこで」できた傷や症状なのだろうと追うことが出来るわけです。

1日が終わるとファイルに綴りいつでも振り返ることが出来ます。昨日はなかった傷やアザの確認等もしっかり出来ます。それぞれの園でやり方は違っても工夫しながら子どもの状態を把握しているのです。

まとめ

いかがでしたか?ここまで視診の重要性と大切さについてお話しして参りました。小さなサインを見逃さない事は、大きな問題に発展させないためのコツでもあります。保育の現場に立ち会うと必ず経験することでもあります。

常に子どもの様子に気を配り、その子に今何が起こっているのかを把握することは保育士の大切な役割の一つです。ぜひ保育士を目指す皆様には理解しておいていただきたいと思います。