保育士が午睡(昼寝)時に注意しなくてはいけない3つのポイントとは

午睡(昼寝)

保育における午睡とは「昼寝」のことを言います。通常、保育園などでは昼食後の午後の時間帯に1時間~1時間半程度の午睡時間を設けています。

この午睡に関しては多くの意見があり、自宅で十分な睡眠をとっているのであれば「午睡は必要ない」という考え方の保育関係者もいらっしゃいます。また、保育園の方針によっては午睡時間をあえて設けていない園も存在します。

しかしながら多くの保育園において午睡時間を設けているのが現状です。そして午睡時間には特に注意が必要なポイントがいくつかあります。

ここではその午睡時のポイントを3つに絞ってわかりやすく解説していきます。

目次

そもそも午睡は必要なのかという疑問

午睡は必要なのかという疑問

多くの園で取り入れている午睡ですが、そもそも必要なのか?という疑問を保護者から投げかけられることが時々あります。

その際、わたくしたち保育者は「基本的に必要な睡眠時間をご家庭内で十分にとっているようであれば、無理に午睡を取る必要はないと考えています」とお答えしています。

しかし、近年では両親ともに働く共働き世帯が増加しています。このことによる親の生活時間帯の変化に伴い、子どもの就寝時間も昔に比べて微妙に変化してきているともいわれています。

いわゆる就寝時間が遅い「遅寝」家庭の子供が増加しているという問題です。

仕事を終えて保育園に子どもをお迎えに行き、スーパーで買い物を済ませ帰宅、その後夕食の準備をし、子どものお風呂、食事ということになるとどうしても就寝時間は遅くなるのではないでしょうか。

次の日が仕事となれば朝も睡眠時間が不足しているからと言っていつまでも寝かせておくわけにもいかないのが現実です。

愛知教育大学 藤井千惠教授の「幼児の睡眠・生活リズムと親子の生活習慣等の関連」の研究論文においても幼児の遅寝が定着してしまっている状況を問題提起しておられます。

本来、1歳から2歳までの乳幼児で1日11~14時間程度、3歳から5歳までの幼児で11~13時間程度の睡眠時間が必要だとされています。しかしこの睡眠時間を家庭内だけで達成できるご家庭はどの程度あるでしょうか?共働きの親を持つ子どもの生活サイクルではなかなか難しいといえます。

つまり保育園における午睡は、この不足な睡眠時間を補う意味でも必要であり、大切だということが言えるわけです。

子どもたちにとって大切な午睡の意味を理解した上で次は保育中の午睡に関する注意点を確認していきたいと思います。ここではポイントを3つに絞って細かく見ていきます。

午睡時の注意点1|うつぶせ寝

注意点1|うつぶせ寝

午睡時に一番注意したいのが寝る体勢(うつぶせ寝)です。

厚生労働省からも、うつぶせ寝の危険性についての指導として『乳幼児突然死症候群(SIDS)について』が公表されています。

これは『乳幼児突然死症候群(通称:SIDS)』と言われる乳幼児の突然死の危険性を軽減したり、窒息の危険を減らしたりするために、うつぶせ寝は注意しましょうという内容のものです。

SIDSがなぜ引き起こされるのかというはっきりとした原因は解明されていないのが現状です。しかし、あおむけで寝ているときよりも、うつぶせで寝ている時の方がSIDSの発生率が高いということがわかっています。

保育士は、子どもが午睡に入ったときには、寝る体勢に留意し、うつぶせになっている子どもがいた場合には仰向けになおして寝かせることが大切です。

このことはご家庭での就寝時にも同様のことが言えますが、自分で寝返りをすることが難しい低年齢の子どもには特に注意してあげたいところです。

午睡の注意点2|定期的なチェック

注意点2|定期的なチェック

通常、保育園では午睡を設けており各保育園の運営方針により若干の違いはあるかと思いますが、概ね下記のような形で設けている所が多いようです。

保育園における子どもの午睡(昼寝)の平均的な時間
年齢 0歳児クラス 1~2歳児クラス 3歳児クラス
時間 月齢57日~3ヶ月位ではAM、PMと2回に分けるなど各園工夫。

月齢4か月以上~生活リズムが整いPMだけの午睡など各園にて工夫
午前中は、しっかりと活動させPMに1~2時間程度の午睡時間を設けている園が多い。 園によっては午睡を設けないところもあるが大多数の園では午睡がある。時間は1~2時間程度。

0歳児を預かっている園では他の年齢の子どもよりも多くの睡眠が必要な分、午前と午後にわけて午睡時間を設ける園もあるようです。

大体の園では昼食後、午後の1~2時間程度を午睡時間と定め取り入れていることが多いようです。その際には、時間を決めて子どもの眠っている体勢をチェックしていきます。

子どもの睡眠中の見守りに関しては各県の自治体や厚生労働省などの指導で以下のことが推奨されています。

午睡時の見守りに関する安全チェック
0歳児 1~2歳 3才以上
5分ごとが望ましい 10分ごとが望ましい 10~15分ごとが望ましい
自由に寝返りが出来ない年齢の低い子どもは特に注意が必要です。 寝入りばなにうつぶせになっていれば仰向けにさせる。定期的にチェック 定期的にチェック

通常、園では当番制でお昼寝担当の先生がおり、上記の推奨基準をもとに都度チェックの形態をとって安全に気を配っています。しかしながら午睡時のチェックに関しては保育の中での負担というのが大きいのも事実です。

保育士の人数や仕事に余裕がある園は別ですが、1人ないし2人が午睡時に掛かり切りなることによる他の業務への圧迫というのも現実には否めません。

そして最近では、このような負担を軽減するため午睡時にICT化のシステムを取り入れる園も見られ、安全を確保しながら少しでも保育者の負担軽減ができるような取り組みも始まっています。

4~5歳児クラスでは、園によっては午睡がない園もあるようです。また午睡があっても5歳児クラスの3学期頃からは小学校入学準備で、昼寝なしの生活リズムに整えるために意図的に午睡をなくし小学校へ行ったときに困らないよう指導するようになっています。

子どものSIDSは近年、減少しているものの、未だに年間100名余の死亡発生を記録しており、保育園での事例も少なからず見られることから、いずれにしても細心の注意が必要ということは言うまでもありません。

午睡時の注意点3|記録を残す

注意点3|記録を残す

午睡時にもう1つ注意したいのが、チェックしたことを午睡記録として残しておくということです。

こちらの表は、実際にある保育園の1歳児の午睡時に使用されている午睡チェックシートになります。

午睡チェックシート

こちらのチェック表では10分ごとに、子どもそれぞれの個人の記録を記入していきます。うつぶせになった状態を仰向けに直したときには○印の中に矢印が書かれています。その他の印は子どもがどちらを向いて寝ていたかを表す矢印になります。

その日の午睡担当者の名前、そして簡単な健康状態なども記入していきます。午睡部屋の温度や湿度も記入して同時に管理しています。温度や湿度も子どもの健康状態に大きくかかわってくる大切な要素だからです。

また、冬の時期などは、風邪を引いて咳や鼻水などが出ている子どもの簡単な健康状態も一緒に記入することで子ども一人一人の午睡状態を細かく把握できる様になっています。

午睡時のチェックシートやチェック方法などは各園により様々ですが、大切なことは記録を残しておくということです。

日々の保育の参考になるだけでなく、何か事態が起きた時の検証材料として子どもの状態を残る形で記録しておくことが大切になってきます。

まとめ

ここまで、園における「午睡」に関してお話してまいりました。子供の成長に欠かせない睡眠の不足部分を補う役割として午睡を取り入れることは大切であり必要であるということ。

そして午睡時には、特に注意しなくてはいけない3つの大切なポイントがありました。
①子供の寝る体勢「うつぶせ寝」に注意する
②午睡時には、年齢や子供の状態により定期的なチェックが必要
③午睡時の様子を記録に残しておく(チェックシート等)

午睡は子供にとって大切であり必要なものでありますが、『乳幼児突然死症候群(通称:SIDS)』と言われる乳幼児の突然死だったり、窒息だったりなどの危険は、午睡時に発生します。

それらを軽減するためにも、「うつぶせ寝」「定期的チェック」「記録に残す」の3つのポイントを押さえながら保育に取り組んでいってほしいと思います。