保育士として知っておきたい【リトミック】で培われる5つの能力

【リトミック】で培われる5つの能力

「リトミック」は音を聴きながら体で伝える、音を感じ全身の「動き」で表現する音楽的表現教育になります。

スイスの作曲家であり教育家であるエミール・ジャック・ダルクローズが1905年に発表した音楽による教育方法の1つです。リトミック教育は、子どもの脳と心の発達にとても重要な五感を刺激し育ててくれる要素がたくさん詰まっています。

リトミックの大きな要素の一つである「リズム」は、ひときわ成長段階にある子どもたちの様々な側面の向上を促すとされています。すべての幼稚園や保育園で取り入れられている教育方法ではありませんが、取り入れられている園では様々な面で、子どもたちに成長がみられるようです。

ここでは「リトミック」とはそもそもどんなもの?どんなことをするの?ということから、教育的効果にはどのようなものがあるのか、ということを細かく見ていきたいと思います。

目次

【リトミック】が幼児教育に良いといわれるのはなぜか

1.リトミックとは音楽を全身で表現するリズム運動

リトミックとは

リトミックとは、音楽を聴きながらリズムをとりその音楽を全身で表現するリズム運動のことを指します。 園によっては「リズム体操」とか「リズムダンス」と呼んでいる園もあるようです。

子どもにとっては、音楽を聴きながら遊んでいる感覚になってくると思いますが、頭の中で音楽をとらえ、そのリズムを手や足など全身を使い表現します。

メンバーとともにリズムを合わせて揃える、音調が変わったらすぐに反応してその音に合わせるなどの動きを取り入れることが中心の音楽表現になります。

2.リトミックが幼児教育に適しているのは脳を刺激するから

脳を刺激する

リトミックは子どもの「脳」を刺激するのに有効だと言われています。頭の中でとらえた音楽を、手足を動かしながら体いっぱいで表現することがリトミックであり、このことが脳の刺激につながるからです。

脳科学の分野でも乳幼児期に脳に良い刺激を与えることが大切だと言われています。

脳には情報伝達網である「シナプス」というものがあり、言葉や動作などの情報を処理し、理解させてくれます。しかし新生児の「脳」には、この「シナプス」がありません。

生後、成長とともに発達しおおよそ6歳ごろまでに脳の大きさは成人と同様の大きさとなり、この情報伝達網である「シナプス」もほぼ完成されるといわれています。

幼児期の過ごし方がその後の子どもの成長に大きくかかわってくる、ということは明らかなのです。幼児期の間に良い刺激をできるだけたくさん脳に与えてあげて「シナプス」の発達を促してあげることが重要です。

リトミックは子どもの脳を刺激する「集中力」「記憶力」「判断力」「創造力」「協調性」の5つの要素があります。

そしてこれらは、幼児期の子どもの成長に良い効果を与えるという研究報告(金沢星稜大学 人間科学研究「外部講師による音楽活動の一考察」)もされています。

次は、リトミックで養われる5つの能力について細かく見ていきます。

リトミックで養われる5つ能力とは

養われる5つ能力とは

1.集中力

集中力

リトミックは、1つのリズムの曲がずっと流れるのではなく曲の途中でリズムが変わります。リズムが変わると動きも変わらなくてはいけません。

文字で表すと「タ・タ・タ・タ・タ」というリズムから「タ~ン・タ~ン・タ~ン・」という様な感じです。

このことが集中力を生みます。リズムが急に変わるため集中して音を聴いていなければ合わせられないからです。

リトミックの時は音楽ですが、集中するという行動が身につくと他のことを行う時にも集中力が出てきます。

リトミックで集中力が付いた幼児達は小学校や中学校へ就学した際にも授業で集中力が発揮されてその後の成長にも良い効果をもたらすのです。

2.記憶力

記憶力

リトミックの表現では、Aというリズムの時にはこの動き、Bいうリズムの時にはこの動きで表現するという具合にリズムと動きがセットになっています。

これを覚えて、音を聴きながら表現していくのです。つまりリズムと動きの組み合わせを覚えなくては動けないのです。

これは記憶力を鍛えるのにとても有効です。そして「聴き」ながら「動く」という2つのことを同時に行うことで脳への刺激にもとても役に立つのです。

3.判断力

判断力

音と動きをセットで覚えていても頭の中で「リズムが変わった」と認識できなければ同じ動きをしてしまいます。

「あっ、リズムが変わった」と認識するためには判断力が必要になってきます。この判断力を養うのにもリトミックは、うってつけの方法なのです。

判断するには、考えるという能力が伴います、この考える能力を幼児の段階で習慣づけておくと、成長したときに常に「なんで違うのだろう?」「これは、このほうがいいな!」など自分の頭で物事を捉えながら考えられるようになります。

多くの保護者は子どもに「考える力」を求める傾向があります。保育士には「判断力」を育む、考えるということを促す狙いがありますが、一方の子ども達はリズム音で遊んでいる感覚になるので、楽しみながら能力を伸ばすことができます。

4.創造力

創造力

リトミックの音楽は、単にリズムを刻むだけではなくそのリズムに強弱をつけたり、激しい音や急に音を止めるなどのポイントがあります。

同じリズムでも強い音の時には強い音の表現を、弱い音の時には弱い音を表現させます。

指導者である保育士はこの部分はこうしなさいとは教えません。リズムに合わせた動きだけを教え、大きな音になった時には「大きく」弱いリズムの時には「小さく」などと言葉を添えるだけです。

この辺が、リトミックのとても面白いところなのですが、これを行うと子ども達は実に様々な表現をするのです。子ども達の創造力が個性となって現れる瞬間とも言えます。

5.協調性

協調性

リトミックの動きは、何かをイメージさせ、自由なスタイルで表現させるというダンス表現とは少し違い、リズムと動きの組み合わせを記憶して、それを全身で表現するスタイルです。

時には円になりその円が大きくなったり小さくなったり、円から一列になって前進し2つのグループに分かるなど他者と動きを合わせないと上手にできない動きも入ってきます。

この動作は、相手を観察し同じ動きを同じように行うことが要求されます。つまりお互いが協力し合いながら行わなければ成立しません。

このことが自然と協調性を生むのです。この協調性は年齢が上のクラスになるにつれとても上がってきて、上手に行うことができるようになります。

個人的感想なのですべてにおいてそうだとは言いきれませんが、リトミックが揃ってできるようになってくると合唱を行っても上手に合わせられるように感じています。

まとめ

ここまで、リトミックで培われるいろいろな能力について詳しく見てまいりました。

リトミックとは、音楽を使ってそのリズムを体で表現する「音楽的表現教育」だということがお分かりいただけましたでしょうか。

脳科学の分野でも幼児期に五感を使った脳への刺激は、子どもの脳への成長を促し良い影響を与えるということが分かっており、その方法の1つとしてリトミックを取り入れた教育が適しているということも、ご理解いただけたのではないでしょうか。

今までリトミックを知らなかったという方にも、「集中力」「記憶力」「判断力」「創造力」「協調性」の5つの要素の発達分野においてよい結果が期待でき、遊びの中でこれらを培うことが可能となるリトミックの魅力が伝わったのなら幸いです。