縦割り保育で子どもの心が大きく成長するのはなぜか?その本質を探る

縦割り保育

同年齢の子どもが同じクラスで受ける保育のことを「同年齢保育」と言ったりします。その反対に年齢が違う子どもたちを一緒のクラスで行う保育のことを「縦割り保育」とか「異年齢保育」などと言ったりします。

幼稚園や保育園において一般的には、同年齢の子どもたちが一緒のクラスで行う「同年齢保育」が、わが国では主流となっています。

しかし近年子どもの人数が減少してきているという背景に加え、縦割り保育のメリットが注目されたことで「異年齢保育」を取り入れる幼稚園や保育園が増えてきています。

ここでは縦割り保育とはどのような保育を行うのか、またどんなところがメリットなのか、縦割り保育が抱えるデメリットなども交えながらわかりやすく解説していきたいと思います。

目次

縦割り保育とは異年齢保育のこと

異年齢保育のこと

縦割り保育とは、年齢の異なる子どもたちが一緒に受ける保育のことを指します。

園により方針は様々ですが、概ね全クラスを「完全縦割り保育型」にするか、同年齢保育を中心に週のうち何日かを縦割り保育に割り当てる、もしくは1日の活動時間のどこか一部だけを縦割りにする「一部縦割り保育型」の2パターンに分けられるようです。

小さい幼児期の子どもたちが自分と違う年齢の子どもと接することができる縦割り保育は、同年齢保育では経験できない様々なことを経験できるという点では優れています。

少子化で一人っ子家庭が多く、兄妹などの関係も薄れつつある子どもたちにとってはある意味大切な社会勉強の場でもあるということが言えます。

縦割り保育の目的は「他を尊重する」心の育み

縦割り保育の目的

では、縦割り保育を取り入れるときの1番の目的(狙い)とは何なのでしょう。

縦割り保育を取り入れている園の指導者に話を聞くと、多くの園で語られるのが「他者への尊重」ということです。幼児ながら人とのかかわり方、接し方が身につくということです。

年上の子は自然に年下の子を思いやり、できないことをフォローしたり、積極的に面倒を見てあげたりする。年下の子どもたちは行ってもらったことに尊敬や憧れを持ち、その経験を活かし自分が同じ立場になった時に同様のことを行う。

この自然の流れが潤滑油となり日常生活を豊かなものにし、子ども同士の活動がより活発なものになるのです。この保育の優れているところは、言われたから行うのではなく子どもたちが自発的に行うようになるというところです。

そこには「思考」があります。この思考は想像力からくるもので、できなくて困っていたらどんなことをしてあげればよいのだろうと想像して、考えて、行うという知的活動が促されています。

つまり縦割り保育は総合的な「知的教育の場」でもあるということが言えるのではないでしょうか。

縦割り保育における長所

縦割り保育における長所

縦割り保育における子ども側と保育士側の長所(メリット)とはどういうことかを見ていきましょう。

子どもの視点での長所

①人間同士の関わり方を学べる
大人になり実社会に出れば異年齢の人との関わり合いばかりです。子どものころから異年齢の人と関わっていれば、自然に人との関わり方が身につくのでどんな人とでもコミュニケーションがとれるようになります。

②思いやりや優しい気持ちが育める
異年齢の子どもがいるということは年齢により発達段階の違いがありますので、他の子はできるのに自分はできない、または自分はできるけれど他の子はできないということも出てきます。

そのことを踏まえてどのように相手に接してあげることが良いのか考え、思いやりが育ち相手を慈しむ優しさも生まれてくるわけです。

③考え、想像する力が身につく
物事を一つの方向からしか捉えられないと、成長していく中で壁にぶつかったときに違う方法を考えて乗り越えるということが苦手になってしまいます。

縦割り保育は異年齢の子が集うので同年齢クラスよりもできなかったり、困ったりすることが多いです。

できない子は年上の子に手伝ってもらいながら「こうすれば良いのだ」と、そこで新たな視点を自分なりに発見することができます。反対に年上の子はできない子どもを見ながら「何に困っているのだろう」と想像力を働かせ相手をフォローしてあげます。

このどちらの行動も「考える」ことにつながっています。考えることで違う見え方があることを知り、同時に捉え方も1つではないということを学べるのです。

保育士の視点での長所

保育の視点から見た場合、いろいろな分野をあえて狙って活動させなくても、縦割り保育の中で異年齢の子どもと接するうちに自然と経験できるというところがメリットだと思います。

こんな場面を目にしたことがあります。
室内でブロック遊びをしていた3歳児と4歳児がブロックのことで喧嘩になりました。

仲裁に入らないといけないかなと見ていたところで年長クラスの女の子2人が仲裁に入りました。原因は3歳児が4歳児の使っていたブロックを勝手に取ってしまったことでした。

3歳児の子どもにはブロックが欲しいのなら取ってはダメ、貸してほしいと言わなければいけないと言い聞かせ、4歳児には取られて嫌なら泣かないで言葉でちゃんと伝えないといけない、また、手を出してはいけないと諭していました。

年齢の高い年長さん同士の遊びの中ならあまり起こらないであろう、このような喧嘩も異年齢クラスになると頻繁に目にします。言葉が未熟なことで自分の気持ちがうまく伝えられない低年齢の子どもならではのシーンです。

しかし年長さんが仲裁に入り、気持ちを言葉で代弁し、しかもこう伝えればよいのだと教えてくれたことにより低年齢の子どもたちはこの段階で「言葉」や「人とのかかわり方(ルール)」というものを学習したわけです。

縦割り保育における短所

縦割り保育における短所

こうしてみてみると縦割り保育はメリットしかないように見えるかもしれません。しかし、縦割り保育にもデメリットは存在します。

縦割り保育ならではのデメリットになりますが、異年齢の子ども同士はどうしても発達段階に大きな違いがみられるのも事実です。

特に発達段階の違いが顕著に表れる運動的活動、音楽的活動、絵画制作活動などにおいては縦割り保育の一斉活動ではなく、年齢に合わせた指導が必要になってきます。

その分カリキュラムや活動を別枠で準備する必要が生まれてきます。完全縦割り保育を行っている園においてもこのあたりの活動においては同年齢保育でカリキュラムを組んで行うことが多いようです。

そのため同年齢保育のみで指導している園と比較すると保育士の負担が増えるといったところがデメリットになります。

また、発達段階の違う子ども同士が一斉に活動するので体格の差、力の差などからくる遊びの中の危険も伴いますので危機管理の注意にも気遣わなければなりません。このようにいくつかのデメリットも存在するということも理解しておきましょう。

まとめ

ここまで、縦割り保育とはどのような保育のことを言うのか、そして縦割り保育のメリットとデメリットを比較しながら解説してまいりました。色々な園で取り入れられることが多くなってきている縦割り保育ですがいかがでしたでしょうか。

子どもたちにとっては小さなころから異年齢の触れ合いがあることで「相手を尊重する」ことが身に付き「知的」な発達「想像して考える力」を鍛えることができます。このことにより縦割り保育が子どもの心を大きく成長させることができるのだということを理解していただけたのではないでしょうか。

このような面からみてもメリットが多くある縦割り保育は魅力的です。

一方で発達段階により大きく差が開く「運動能力活動」「絵画制作活動」「音楽的活動」に関しては一緒に活動することの限界もあり、この部分では別枠での指導が必要なため保育士の負担が増えるというデメリットも見えてきました。

これらを含め総合的に見てみると100%縦割り保育が良いということは一概に言えずそれぞれの園によってその取り組み方も様々となっています。