診療報酬請求事務能力認定試験や医療秘書などの医療事務資格を比較

診療報酬請求事務能力認定試験や医療秘書などの医療事務資格を比較

医療事務資格で検索すると、「診療報酬請求事務能力認定試験」や「医療秘書」など、様々な資格が出てきます。

診療報酬請求事務能力認定試験も医療秘書も未経験者にはその違いやなにが就職に有利なのか、よくわからないのではないでしょうか。

今回は医療事務で人気の資格「診療報酬請求事務能力認定試験」と「医療秘書」の違いや向いている人などを解説し、これらの資格がどんな就職先に有利なのかを解説していきます。

このページを読んだ方が資格取得後のキャリアビジョンをぐっと明確にできますように。

目次

診療報酬請求事務能力認定試験とは

診療報酬請求事務能力認定試験とは、(公財)日本保険事務協会が主催する医療事務の資格のひとつです。

医療事務資格はすべて独自運営の民間資格ですが、診療報酬請求事務能力認定試験を主催する(公財)日本保険事務協会は厚生労働省の唯一の認定団体です。

合格率は30%程度で、医療事務資格では難関と位置づけされています。

診療報酬請求事務能力認定試験の内容は以下の通りです。

◇学科試験

  • 医療保険制度等、公費負担医療制度の概要
  • 保険医療機関等、療養担当規則等の基礎知識
  • 診療報酬等、薬価基準、材料価格基準の基礎知識
  • 医療用語及び医学、薬学の基礎知識
  • 医療関係法規の基礎知識
  • 介護保険制度の概要

※マークシート方式の解答20問

◇実技試験

設問の診療録(カルテ)から診療報酬明細書(レセプト)を手書きで作成する。外来1問、入院1問


➡難易度についてはこちら

診療報酬請求事務能力認定試験はレセプト点検やレセコン入力に活かされる

診療報酬請求事務能力試験に合格すると身につくスキルはどんなものなのでしょうか?診療報酬請求事務能力認定試験は、主にレセプト点検やレセコン(レセプトコンピューター)入力に活かされます。

なぜなら…

  • 診療報酬請求事務能力認定試験の学科試験は、医事の基礎知識を問うもの
  • 診療報酬請求事務能力認定試験の実技試験は、レセプトの作成スキルを問うもの

診療報酬請求事務能力認定試験はこのような内容の為、医療機関の医事課などで行われているレセプト作成、点検、レセコン入力のスキルをつけることができます。

診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると有利な就職先

診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると、実際に就職先はどうなのでしょうか?有利な就職先や、診療報酬請求事務能力認定試験を活かせる業務について紹介します。

診療報酬請求事務能力認定試験で有利な就職先① 病院などの医療機関

診療報酬請求事務能力認定試験に合格すると、有利な就職先は、病院などの医療機関です。

なかでも医事課など、診療報酬請求事務(レセプト)を担当する部署への就職では大きなアピールポイントになるでしょう。外来や入院の窓口での会計入力や、審査機関へ請求するための月初のレセプト点検を行う部署の場合、診療報酬請求事務能力認定試験の学習で得たレセプト作成スキルを活かすことができます。

また医療機関によっては資格手当を設けて、診療報酬請求事務能力認定試験に合格しているだけでお給料がアップする場合もあります。

また診療報酬請求事務能力認定試験で有利な就職先となる医療機関では、働き方の選択肢が多様です。医療機関に正社員として就職してキャリアを磨くこともできますし、パートとして午前中だけの勤務など家庭と両立を図るのもいいでしょう。またレセプト点検の派遣として、月末月初のレセプト業務だけに従事するという選択もあります。

診療報酬請求事務能力認定試験で有利な就職先② レセプト審査機関や二次点検機関

医療事務=病院事務と連想される方も多いと思います。診療報酬請求事務能力認定試験を活かせる職場は医療機関以外にもあります。

国保や社保などのレセプト審査機関やレセプトの点検を請け負っている会社でも診療報酬請求事務能力認定試験に合格していると就職に有利な場合があります。

具体的な業務内容は、医療機関が作成したレセプトの審査や、一次審査後のレセプトの二次点検業務などです。医療機関がカルテをもとに作成したレセプトは国保連合会もしくは社会保険支払基金に送信され、一次審査を行います。

「診療行為と病名が合致しているか?」「診療報酬の算定上のミスがないか?」などを査定します。これが審査機関での主な業務です。

審査機関で一次点検を行った後、健康保険組合、市町村などの保険者にて一次審査後のレセプトをもういちど点検します。これがレセプト二次点検になります。健康保険組合や市町村などの役所以外にも、それらから業務を請け負っている民間企業もあります。

審査機関や、二次点検業務ではレセプトの点検能力に重点を置いているので、診療報酬請求事務能力認定試験での学習内容を活かすことができます。

医療秘書とは

医療秘書とは具体的にどんな仕事なのでしょうか?診療報酬請求事務能力試験を目指す人の仕事と何が違うのでしょうか?

一言で言うならば「医療職のアシスタント」です。診療報酬請求事務能力試験が、医療費会計や診療報酬請求事務つまりレセプトのプロフェッショナルを目指す試験だとすれば、医療秘書資格は、医療職のアシスタントを目指すものです。

医師や看護師、薬剤師などの医療職は、手術や手当など患者の治療が主な仕事です。来客対応や郵便物、事務処理など、医療職が治療に集中できるよう雑務を引き受け裏方から支えるのが医療秘書です。

具体的に仕事例をあげてみました。


◇医局やナースステーションの電話、来客対応

他医療機関や、医薬品メーカー、行政など医局やナースステーションなどには患者以外の電話や来客も多数あります。治療を行っている医療職がひとつひとつ対応するのはとても手間です。医療秘書が対応し、医療職に取り次いだり、用件を聞いておくこともあります。


◇診断書や紹介状などの書類作成、整理

障害認定の診断書、保険金支払い診断書、他医療機関への紹介状など医師が記入する書類は膨大多岐にわたります。診断書の宛名や代筆可能な部分の記入など書類作成による、医師の事務業務軽減も、医療秘書の重要な仕事のひとつです。

また医師が作成する公文書には保管期間が定められているものが多く、これらを整理し保管しておくことも医療秘書の役目です。


◇Dr、ナースなど医療職のスケジュール管理と情報伝達

医療職は24時間勤務の場合が多いです。医療秘書がシフトやスケジュールを管理したり、医療職の会議の日程調整を行う場合があります。アシスタントとして、医療機関内での情報伝達、共有を行うのです。

また医師の学会スケジュールの管理など医療機関外での日程も管理することもあります。


◇郵便物の仕分け、交通手段の手配など庶務全般

医療機関では治療だけでなく、様々な庶務業務があります。これらを行うのも医療秘書の業務とされています。例えば郵便物の仕分けや、医療職の外出の際の交通手段の手配などになります。

医療秘書資格は医事知識+秘書知識を問われる

診療報酬請求事務能力認定試験が医事とレセプトの専門知識を問う試験なのに対して、医療秘書の資格はどんなものなのでしょうか?医療秘書資格は、医事知識+秘書知識、サポーターとしてのスキルを問われるものになります。

医療秘書資格取得に向いている人

医療秘書資格は、医療クラークや医療秘書を目指す人に向いている資格です。診療報酬請求事務能力認定試験は、医事知識、レセプト点検のスキルを問われるものとの違いがここになりますね。

医療クラークや医療秘書は医療職のサポート役になります。人と人とのつなぎ役になれるようなコミュニケーション能力が求められる職業でもあります。

よって人と接するのが好きな人、人のサポートに喜びを感じる方に適正があるといえます。

医療秘書の資格種類

医療秘書資格にはたくさんの種類がありますが、有名なのは次の2つになります。

医療秘書の資格① 日本医師会医療秘書認定試験

日本医師会認定の医療秘書試験です。資格取得までの流れは3つです。

  1. 認定養成機関におけるカリキュラムを終了。
  2. 日本医師会医療秘書認定試験に合格。
  3. 規定の秘書技能科目(秘書検定、情報処理、保険請求事務など)を取得。

医療秘書の資格② 医療秘書技能検定

医療秘書教育全国協議会が主催する医療秘書養成のための検定試験です。

難易度によって1、準1~3級が設定されていてそれぞれ6月、11月の年1回受験が開催されています。

出題内容は・医療秘書実務・医療機関の組織運営・医療関連法規・医学的基礎知識、医療関連知識・医療事務などになります。合格率は2、3級で50%、1級で30%となっています。上級の場合は診療報酬請求事務能力試験と同じく難関といえるでしょう。

医療秘書の資格を取得すると有利な就職先

医療秘書資格で有利な就職先① 病院やクリニックでクラーク業務

医療秘書資格で有利な就職先の一つが、医療機関での医療クラーク業務になります。各診療科や病棟に配属され、そのセクションの医療職のアシスタントを務めるのがクラークです。具体的にはカルテ入力代行や、書類の整理、OA機器の整備など診療準備を担当します。

医療秘書資格の医事知識と秘書実務学習が、各診療科や病棟で働く医療職が、治療に専念できるよう診療の補助や庶務を行うのに活かされます。

医療秘書資格で有利な就職先② 医局でドクター秘書

大学病院や総合病院では、医師が所属する専属部署「医局」を設けています。この医局でDr秘書になる場合、医療秘書資格を取得していると有利です。医師の業務範囲は患者の治療以外にも膨大多岐にわたり、様々な事務処理が発生します。

例えば製薬、医療機器メーカーなどの来客対応、学会などのスケジュールや車の手配、診断書の作成補助、白衣の準備です。これら医事的な庶務業務に医療秘書の資格を活かすことができます。

まとめ

診療報酬請求事務能力認定試験と医療秘書、この2つの医療事務資格の比較にスポットをあててまとめました。

具体的には以下のとおりです。

  • 診療報酬請求事務能力認定試験ではレセプトのスキルをつけることができ、医療機関や審査機関でのレセプト点検に有利である。
  • 医療秘書資格では医事知識+秘書業務のスキルをつけることができ、医療クラークや医局秘書としての業務に活かすことができる。

「医療事務」と一括りにされがちな資格ですが、診療報酬請求事務能力認定試験、医療秘書、違いを明確にすることで、就業後のイメージをぐっとクリアにすることができます。

たくさんの種類がある医療事務の資格をしっかりと見極めてください。

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