裁判所事務官にはどうしたらなれる?仕事内容ややりがいは?

裁判所事務官にはどうしたらなれる?仕事内容ややりがいは?

あまり聞きなれない裁判所事務官という職業。日本中にある裁判所(最高裁判所、高等裁判所、地方裁判所、家庭裁判所、簡易裁判所)において業務を行う国家公務員となります。

この裁判所事務官の仕事内容ややりがい、さらに将来性についてまとめていきます。またどうすれば裁判所事務官になれるのかについても触れていきましょう。

目次

裁判所事務官とは?

日本国内には多くの裁判所があります。最高裁判所を筆頭に、高等裁判所、地方裁判所。簡易裁判所、家庭裁判所が日本全国に設置しており、そこで働く方も多く存在するということになります。

裁判所で働く方は、まず裁判を裁く裁判官、そしてその裁判官の補佐的業務を行う裁判所書記官、そして書記官の仕事をサポートする裁判所事務官です。

裁判所事務官とは裁判所で働く方で、国家公務員試験に合格した方ということになります。

裁判所内の関係

裁判で判決を下すのは裁判官の仕事です。判決を下すには多くの法令や過去の判例を確認し、常に適切で、誰が見ても納得のいく判決を下す必要があります。この業務を裁判官のみで行うのは非常に難しいといえます。

裁判官を補佐し、法令を確認したり、過去の判例について調べるなどの業務を行うのが裁判所書記官の仕事となります。裁判所書記官はこのほかにも、裁判手続きに関する書類の確認や作成、裁判自体の記録を残すなど、多くの仕事をこなす必要があります。

そんな裁判所書記官の仕事をサポートするのが裁判所事務官の仕事となります。詳しい仕事内容に関しては後に解説しますが、裁判所が正しく機能するために必要な業務を担当するのが裁判所事務官の仕事ということになります。

裁判所内で昇進もある

裁判所事務官といっても、裁判所内で業務にあたる国家公務員であり、裁判所内で裁判所事務官として昇進していきます。役職は順に「主任事務官」→「係長」→「専門職」→「専門官」→「課長補佐」→「課長」→「事務局次長」→「事務局長」。裁判所事務官として仕事をはじめ、裁判所の中で昇進していくというのも安定した道といえます。

しかも国家公務員ですから、昇進や職歴に合わせて収入は確実にアップしていきます。国家公務員の給与は、基本的には世間一般の企業の給与を参照したうえで決定されますが、景気に直接左右されることはありません。

景気に左右されることがないということは、いきなり収入が爆発的に増えるようなこともない代わりに、2020年のように新型コロナウイル氏の感染拡大が大きな問題となるような事態が発生しても、収入面ではある程度安定できるということになります。

勤務は大きく分けて2つの部署で

裁判所事務官は裁判所書記官のサポートをする仕事といっても、仕事の種類は大きく分けて2種類あります。

ひとつは裁判部(事件部)。ここは裁判に関する業務についてサポートを行う部署であり、裁判所事務官という名前から想像しやすい業務にあたる部署といえるでしょう。

もうひとつは事務局に所属し、主に裁判所の運営に携わる部署です。業務内容は一般企業でいうところの庶務課や総務課、人事課など事務系の職種と同様。裁判所が円滑に裁判業務を進められるようなデスクワークが中心となります。

裁判部所属の裁判所事務官の仕事内容

まずは裁判部(事件部)に所属する裁判所事務官の具体的な業務内容について解説していきましょう。裁判部(事件部)に所属する裁判所事務官は、裁判が円滑に進むように、主に裁判所書記官の業務をサポートするのが仕事となります。

裁判における諸手続きを行う

裁判部に所属する裁判所事務官の主な業務は、裁判に関わる雑務が中心となります。裁判部には民事部や刑事部、少年部などの部署があり、それぞれの部署で担当する事件の裁判に関する業務を行っています。

具体的な業務をいくつかご紹介すると、まずは裁判に関する訴状の受理とチェック。訴状の内容や書式に問題がなければ、訴状は裁判所書記官の手元に回ります。さらに、訴状を受けて裁判所に出頭を要請する書類を発送したり、出頭を確認したりも裁判所事務官の仕事となります。

このほかにも裁判記録の整理や、裁判に出席する弁護士の対応なども主に裁判所事務官が行う仕事となります。

人前に出るような派手な仕事はありませんが、裁判所を陰で支える重要な業務をこなしていくのが主な業務となります。

裁判員制度のサポート

一般の方の中から選出された裁判員が、裁判官とともに裁判の判決を下す裁判員制度。この制度の運用面でも裁判所事務官の業務があります。

裁判員を選出するなどの業務は行いませんが、選任された裁判員の方の受付や、事前説明会などの運営が裁判所事務官の業務となります。

事務局所属の裁判所事務官の仕事内容

裁判所の事務局に配属された裁判所事務官は、裁判所を運営面で支える仕事を行います。業務内容は主に、一般企業における事務系の業務と同様であり、事務処理を中心に行います。

裁判所の運営に携わる

裁判所の運営にかかわる事務系の仕事は、大きく3つに分けることができます。

「総務課」は裁判所内の備品調達や管理、設備施設の維持管理などを中心に、勤怠管理や健康診断の手配や広報なども担当します。一般企業の総務部の仕事に加え、庶務部や広報部などの仕事も請け負う部署と言えます。

「人事課」では年末調整や新規採用など人事にまつわる業務から、裁判所職員の研修の手配や、人事異動の手続きなども行います。地方裁判所や高等裁判所など、裁判所の規模が大きくなればなるほど管理する職員の数も多く、繁忙期の業務は多忙を極めます。

「会計課」は裁判所の経費を管理する部署となります。通常業務における会計管理はもちろん、職員の出張調査の費用なども当然管理します。裁判所らしい業務としては、保釈品の管理なども会計課の仕事となります。

裁判所事務官の仕事にやりがいはあるのか?

裁判所事務官の具体的な仕事内容について紹介してきましたが、どのようなイメージを持たれたでしょうか。多くの方は比較的地味なイメージの仕事と思われたのではないでしょうか。

そのイメージ通り、裁判所事務官の仕事は比較的地味なイメージの仕事が中心となります。こういった仕事にやりがいはあるのでしょうか?裁判所事務官のやりがいについていくつかポイントを紹介しておきましょう。

裁判を円滑に進めるための業務に携われる

裁判所事務官の仕事を具体的に見れば確かに地味なイメージの仕事が中心となります。しかし、その仕事を何のために行っているかを考えると非常に仕事に対するやりがいは大きくなります。

裁判所事務官の仕事は、裁判所が円滑な運営を行うための仕事であり、さらにいえば裁判自体が滞りなく、問題なく開かれるための仕事です。

日本という司法国家に住み暮らす以上、法律を遵守していくのは絶対的なルールです。そのルールが問題なく運用されているのは、裁判所が的確に裁判を行い、正確な判決を下しているからです。

裁判所が円滑に運営されている、裁判が滞りなく行われているというのは、国民全員が安心して暮らせるために必要不可欠な部分となります。

そう考えると裁判所事務官の仕事は、国民が安心安全に暮らすために欠かせない仕事ともいえるでしょう。

裁判にかかわる人すべてにとって大きな責任を背負う

裁判所事務官の仕事の中には、裁判に直接かかわる業務を行う部署もあります。裁判が開かれる以上、基本手金は判決が言い渡されるわけですが、この判決は正しく下されなければいけません。

そのための手伝いをするのが裁判所事務官です。裁判の判決は多くの方の人生に、大きな影響を与えます。被告、原告、その家族や親族、さらに証人や場合によっては裁判員も、一つの裁判の判決に大きな影響を受けることになります。

その一部に関わるということは、裁判所事務官の仕事が、こういった裁判にかかわる多くの方の人生に影響を与えるという風にも考えることができます。

もちろんその分責任の大きな仕事ともいえますが、責任の大きな仕事ほど、終わった時の達成感は大きく、またやりがいも大きくなります。

裁判所事務官の魅力

業務内容自体はあまり派手ではなく、しかしそのやりがいを考えると非常にやりがいは大きいという裁判所事務官の仕事。では、裁判所事務官という仕事に就く魅力とは、このやりがいの大きさ以外にどのようなものがあるでしょう?

具体的な例とともに考えてみましょう。

国家公務員であり安定している

まずはなんといっても国家公務員であるという魅力があります。国家公務員は収入面でも非常に安定しており、また社会的信用も高いため、多くの方が憧れる職業です。

さらにいえば裁判所事務官は、国家公務員の中でも初任給が高いといわれている職業になります。裁判所の資料と人事院が公表している資料から、一般的な国家公務員と、裁判所事務官の初任給を比較してみましょう。

  国家公務員平均 裁判所事務官
一般職(高卒者区分) 150,600円 180,720円
一般職(大卒程度区分) 182,200円 218,640円
総合職(大卒程度区分) 186,700円 224,040円
総合職(院卒者区分) 213,000円 255,600円

ほかの国家公務員よりも初任給が高いということは、それだけ将来的な収入も高いということ。しかも収入面では安定性の高い国家公務員ですから、長い目で見ても安定して高い収入を得られる仕事と考えることもできます。

ちなみに人事院が発表している、令和2年度国家公務員給与等実態調査によると、平均給与は40万8888円(平均年齢:43.2歳/平均勤続年数:21.3年)。賞与も含めて考えると、年収は620~660万円といったところでしょう。

社会的に信頼度の高い仕事である

国家公務員ということで、基本的に社会的信用は高くなりますが、さらに裁判所に勤務しているというのも信用が高くなる要素と言えます。

そこまで社会的信用を欲していないという方もいらっしゃるかもしれませんが、社会的な信用の高さは暮らしやすさにも直結します。例えばマイホームを購入する際のローン審査。一般企業に勤めているよりも有利と言われている国家公務員で、しかも裁判所勤務の裁判所事務官ともなれば、さらに有利になるでしょう。

もちろん社会的信用が高いということは、それだけ信用を裏切ることができないということの裏返しでもあります。強い責任感を持ち、自らの職務を全うすることで、さらに暮らしやすい人生となるでしょう。

将来の道の選択肢が多い

将来という単語が出ましたが、将来的な展望という意味でも裁判所書記官という仕事は魅力の大きい仕事になります。

まず最初に紹介した通り、裁判所書記官として昇進をしていくという将来があります。これは一般企業に勤務する方や、ほかの国家公務員でも同様でしょう。それでも上で紹介した通り、平均よりも高い年収を期待することができるといえます。

さらに将来の選択肢として、裁判所書記官という道も開けています。裁判所事務官は、所定の試験をクリアし、さらに研修を受けることで、裁判所書記官として働く道もあります。もちろん試験自体の難易度はありますが、いきなり裁判所書記官を目指すよりは、かなり難易度は下がりますので、有利な条件で裁判所書記官を目指せるということになります。

また、将来的には裁判所以外で働きたい、独立してみたいという方には、司法書士としての道も用意されています。裁判所書記官として10年間の実務経験があれば、無試験で司法書士として登録できるケースがあります。

もちろん無試験といっても、一般の方が受ける司法書士試験を受験する必要がないという意味で、口述試験や筆記試験が課せられる可能性もあります。

ただし、一般の方が受験する司法書士試験の難易度と比較すればより難しいということは考えにくく、裁判所書記官から司法書士という将来を描くのは無理な話ではないといっていいでしょう。

このように将来を見据えても、様々な道が考えられるというのは大きな魅力の一つとなります。

裁判所事務官の将来性

後に詳しく説明しますが、裁判所事務官という仕事に就くのはそう簡単なことではありません。単に資格試験に合格する以上の難易度がありますので、目指す場合は相応の覚悟が必要となります。

では、そこまでの覚悟を持ってして目指す裁判所事務官という仕事は、将来的にも安定して求められる仕事なのでしょうか?裁判所事務官という仕事の将来性について考察していきましょう。

司法国家において絶対必要な存在

まず、大前提の条件として、日本が司法国家である限り、裁判という制度がなくなるということはまず考えられません。そしてこの裁判を人間以外、つまりIT技術やAIを用いて裁くという将来もないでしょう。

裁判で判決を下すのは常に人間です。人間が裁くということは、より多くの資料を読み、多くの判例を検証し、多くの法律に関して正確な判断をする必要が求められます。そのためには今と同様の体制が必要不可欠ということになります。

この重要な仕事は、裁判官が一人でできる仕事ではありません。最終的に判決を下す裁判官には、裁判所書記官という補佐が必要ですし、その仕事量を考えれば書記官をサポートする裁判所事務官の存在も必要不可欠といえるでしょう。

IT技術が導入された場合

現状の勢いでIT技術が進化し、裁判所の業務の中にもIT技術やAI技術が活かされる将来が来るかもしれません。この場合裁判所事務官の将来性はどう考えていけばいいでしょう。

裁判所事務官の仕事を思い出してみると、その業務の中にはIT技術で置き換え可能な業務も多数含まれます。訴状の受理や事務局における会計の仕事、総務の仕事などは、AI技術が進化すれば、人間が行う必要がない業務、もしくは裁判所事務官の数を減らし、その分をIT技術でカバーするとなるかもしれません。

とはいえ裁判所事務官の仕事がすべてなくなるということはないでしょう。そもそも裁判所事務官は今現在でも狭き門と言われており、簡単に就ける仕事ではありません。その倍率が少々上がり、今以上に狭き門となる可能性はあります。

裁判所事務官は国家公務員です。国家公務員ということは、その給与の原資となるものは国民の血税です。国民の税金を使う以上、必要以上の人員を雇うことはできません。これは現状も同様です。

反対に考えれば、裁判所事務官とは、国民の血税を使ってでも必要な人材であるともいうことができます。それだけ重要な業務が多く、裁判所の健全で円滑な運営にはなくてはならない存在ということになります。

将来的に業務が限定され、募集人員が減る可能性はありますが、仕事自体がなくなることはないと考えるのが妥当ではないでしょうか。

裁判所事務官になるには?

ここからはどうすれば裁判所事務官として働けるのかを解説していきましょう。裁判所事務官は国家公務員となります。国家公務員ですから、当然ながら国家公務員試験を受験し合格する必要があります。

国家公務員試験の中でも、裁判所事務官の試験はかなり難易度の高い試験と言われています。そんな裁判所時事務官試験の概要について解説していきましょう。

裁判所事務官試験の種類

裁判所事務官の試験は、4つのカテゴリーに分けられており、それぞれ試験内容も変わります。まずはその4つの種類を確認しておきましょう。

〇裁判所事務官 総合職(院卒者区分)
〇裁判所事務官 総合職(大卒程度区分)
〇裁判所事務官 一般職(大卒程度区分)
〇裁判所事務官 一般職(高卒区分)

裁判所事務官の試験は総合職と一般職に分かれており、さらに受験資格で2つずつに分けられています。この4種類ですべて受ける試験が違います。試験内容の前にまずは受験資格について触れておきましょう

受験資格

受験資格(令和3年度)
総合職
院卒者区分
・平成3年4月2日以降生まれ(30歳以下)
・大学院卒もしくは卒業見込み など
総合職
大卒程度区分
・平成3年4月2日~平成12年4月1日生まれ(21~30歳)
・平成12年4月2日以降生まれで大学卒もしくは卒業見込み
一般職
大卒程度区分
・平成3年4月2日~平成12年4月1日生まれ(21~30歳)
・平成12年4月2日以降生まれで大学卒もしくは卒業見込み
・平成12年4月2日以降生まれで短期大学、高等専門学校を卒業もしくは卒業見込み
一般職
高卒程度区分
・令和3年4月1日時点において、高校を卒業して2年を経過しない者 など

各試験の受験資格が上記の通りです。区分にあるのが受験資格の目安と考えれば間違いありません。ただし大卒程度区分、高卒程度区分に関しては、大学卒業、高校卒業が絶対条件ではありません。

特殊な例とはなりますが、最高裁判所が卒業に相当すると認めた方は受験資格を得ることになります。ちなみに大卒程度区分における、最高裁判所が大卒相当と認める要件は以下の要件です。

①学校教育法第102条第2項の規定に基づき大学院に入学したことのある者
②学校教育法第104条第7項第1号の規定に基づき学士の学位を授与された者
③学校教育法第104条第7項第2号に規定する課程を修了した者及び試験年度の3月までに当該課程を修了する見込みの者
④学校教育法施行規則第155条第1項第2号から第4号の2までに規定する課程を修了した者及び試験年度の3月までに当該課程を修了する見込みの者
⑤学校教育法に基づく専修学校の専門課程のうち、学校教育法施行規則第155条第1項第5号の規定に基づき文部科学大臣が指定した課程を修了した者及び試験年度の3月までに当該課程を修了する見込みの者

どれも特殊な要件であり、一般的には大卒程度=大卒と考えておけばいいでしょう。高卒程度に関しても同様です。

また、いずれの受験資格にも年齢の上限が設定されています。裁判所事務官に挑戦できるのは時間に制限がありますので、考えている、悩んでいるという方も、可能であれば試験対策の勉強を始めるのがおすすめ。

裁判所事務官を目指す勉強は、たとえ受験をしなくても無駄な知識とはなりません。試験勉強をはじめ、勉強をしながら受験するかどうか決めるぐらいの感覚でいいでしょう。

受験日程

                                                           
  総合職(院卒・大卒) 一般職(大卒) 一般職(高卒)
申込期間 4月1~9日 4月1~9日 7月6~15日
1次試験日 5月8日 5月8日 9月12日
1次試験合格発表 5月27日 5月27日 10月5日
2次試験日 6月7日~17日 6月7日~7月2日 10月13日~26日
2次試験合格発表 6月29日 7月30日 11月12日
3次試験日 7月8~9日 なしなし
3次試験合格発表 7月30日

※令和3年度の日程

続いて各試験の試験日程です。国家公務員試験は資格試験ではなく就職試験です。当然人員の募集は年に一度。年齢制限のことも考えれば受験できるチャンスはさほど多くはありません。

また募集人員の数も、毎年同じ裁判所が同じ人数を募集するということはありません。この点からも裁判所事務官を目指す場合は、早めに準備をはじめ、受験できるチャンスはできるだけ有効に活用するように考えておきましょう。

受験科目

続いては受験科目に関する違いを見ていきましょう。総合職試験は試験日程と試験内容が共通です。

総合職 院卒者区分・大卒程度区分

                                                                           
試験段階 試験内容 詳細
1次試験 基礎能力試験 多肢選択式
専門試験 多肢選択式
2次試験専門試験記述式(憲法)
論文試験小論文
政策論文試験記述式
専門試験記述式(民法、刑法、訴訟法)
※訴訟法(民事訴訟法又は刑事訴訟法)は、院卒者区分のみ
人物試験 個別面接
3次試験 人物試験 集団討論及び個別面接

一般職 大卒程度区分

         
試験段階 試験内容 詳細
1次試験 基礎能力試験 多肢選択式
専門試験 多肢選択式
2次試験 論文試験 小論文
専門試験 記述式(憲法)
人物試験 人柄、資質、能力などについての個別面接

一般職 高卒程度区分

     
試験段階 試験内容 詳細
1次試験 基礎能力試験 多肢選択式
作文試験 記述式
2次試験 人物試験 人柄、資質、能力などについての個別面接

総合職試験は、総合的な実力が試される試験であり、選択式の問題に加え、記述式、小論文、さらに個人面接、集団面接と多様な試験に対応する必要があります。その分試験対策にも時間がかかりますし、なにより難易度が飛躍的に高くなります。

一般職試験では三次試験にあたる集団面接がありません。ただし、大卒程度区分では記述問題、小論文など出題パターンが多彩であり、一般職といえども簡単な試験ではありません。

どの試験も、その区分におけるほかの国家公務員試験よりも難易度は高く、しっかりと準備をしないと合格は難しい試験といえるでしょう。

合格倍率

最後に合格倍率です。資格試験の場合は合格率となりますが、国家公務員試験は就職試験となります。あらかじめ合格者数がある程度決まっており、受験者の成績上位者が合格していきます。

いわゆる相対評価の試験であり、極端な話筆記試験で99点を獲得しても落ちる可能性がありますし、筆記試験で50点しか取れなくても合格する可能性がある試験となります。

相対評価の試験は、事前の勉強で目標設定がしづらく、モチベーションの維持が難しい試験でもあります。仮に合格者数に制限がなく、あらかじめ決められた点数を取ることができれば合格できる絶対評価の試験は、自分がその合格ラインを超えることを目標とすればいいので対策はしやすくなります。

分かりやすいところでは自動車の運転免許試験などが絶対評価の試験です。こういった試験は、自分が頑張ればいいので、モチベーションも維持しやすく対策がしやすいといえます。

裁判所事務官の試験は対策の難しさからも、できるだけしっかりと準備する必要があります。

区分 申込者数 受験者数 最終合格者数 合格倍率
総合職 院卒者 168名 78名 11名 7.1倍
総合職 大卒程度 673名 148名 13名 11.4倍
一般職 大卒程度 12,784名 2,135名 970名 2.2倍
一般職 高卒程度 4,746名 3,749名 162名 23.1倍

注目すべきは一般職・大卒程度区分の申込者数と受験者数の差です。申込者数から見ると受験者数は約1/6と大幅に減少しています。これは卒業見込み者の影響が多いかと思います。

大学卒業見込みの方は、就職活動を活発に行っています。その一環として裁判所事務官の試験にも申し込んだものの、試験日までの一か月間の希望する企業からの内定が出た場合、裁判所事務官の試験を受けないという選択をする可能性があります。

反対に高卒程度区分の方は申込者数と受験者数に大きな差がありません。これは就職活動の一環として受験をする方より、卒業後に国家公務員を目指し、仕事をしながら受験をするという方が多いからかもしれません。

いずれにせよ、合格倍率から見ても、合格は簡単ではないといえるでしょう。もっとも倍率の低い一般職・大卒程度でも2倍以上の倍率となっており、ほかの試験ではそれ以上の倍率です。

対策の難しい試験ですが、自分が想定している以上に厳しい試験であると考えながら、十分な対策を練ってから挑戦するようにしましょう。

まとめ

裁判所事務官という仕事は、日本国内にある裁判所で仕事を行う国家公務員になります。裁判所においては、裁判で判決を下す裁判官、その裁判官の業務をフォローする裁判所書記官、そしてその書記官をサポートするのが裁判所事務官という関係性になります。

裁判所に置ける業務は、主に2種類。裁判の手助けをする部署と、裁判所の運営をサポートする部署です。どちらの部署でも縁の下の力持ちといった業務が多く、スポットライトが当たるような仕事ではありませんが、裁判所にはなくてはならない仕事を受け持ちます。

裁判所事務官になるには、国家公務員試験を受験する必要があります。国家公務員試験は総合職と一般職、そして引率者区分、大卒程度区分、高卒程度区分に分かれており、それぞれ該当する試験を受験します。

国家公務員試験は採用試験であり、相対評価で判断される試験となります。対策の難しい試験となりますので、できるだけ十分な準備をして挑むようにしましょう。