管理業務主任者の資格を初学者が制覇するために選んだ学習内容

試験の種類管理業務主任者
性別男性
年代40代
試験年度2018年(平成30年度)
エリア東京都
勉強時間1000時間
勉強期間1年間(11月/12月〜)
職業正社員(サラリーマン)
勉強法選択肢,過去問
商品DVD,テキスト,問題集
受験回数初学者(1回目)
ダブルライセンス簿記
eラーニング使用回数
※eラーニングの使用回数となり、実際の学習時間とは異なります。
私の、管理業務主任者試験合格までの1年10か月の経緯を記します。これを読んでくださっている皆様のヒントになれば幸いです。

●2017年2月中旬
◇きっかけ
マンション管理組合から、修繕積立金値上げ予定の通知が届きました。その値上げ幅(約3.5倍!)に驚くとともに、実は値上げ前の額というのは、国土交通省の修繕積立金に関するガイドラインを大きく逸脱する設定であった(値上げ後でやっとそれに準じる額になった)ことが判明し、マンション業者がいかに売ることだけ考えているか(買主のその後の金銭的状況なんか考えていないか)がわかりました。マンション業界は魑魅魍魎だらけの世界だと認識しました。

そうであれば、マンション管理の知識を身につけ、マンション管理会社のいいように弄ばれるのを少しでも防ごうと思うようになりました。また、管理組合の役員が輪番制であること、そしてその当番が回ってくる2019年4月からの期には大規模修繕が控えていることから、マンション管理の知識が無いことに不安を感じていました。
こういった背景から、マンション管理の知識を身につける方法について調査を開始しました。

●2017年2月下旬
◇ターゲットは管理業務主任者
調査の結果、マンション管理士と管理業務主任者という資格の存在を知り、難易度の観点から、管理業務主任者資格取得を目指すことにしました。
(その後、学習を進めるうちに、管理業務主任者「試験合格」に方針変更しました。職業がマンション管理業者ではない者は、「資格」までは不要とわかったので。)

◇ゴールまでの距離を測る
次に合格までの計画の立案に入ります。戦略立案編にも載っている、「ゴールを確認する→現在の位置を確認する→ゴールまでの距離を測る」そのものです。当時はまだ教材を入手する前(そもそも受講申込み前)でしたけど、過去の資格取得の経験から、知らず知らずのうちに実践してました。


まず自分がいるスタート地点を認識するところから始めます。
手っ取り早いのは、過去問を何問か解いてみること。その際に、きちんとした解き方or根拠で正解を導出できたかを確認します。私の場合は、全く歯が立たなかったので、完全な初学者です。


そのスタート地点から合格までに必要な学習時間を見積もります。
フォーサイトやその他のWebサイトを参考に、約300時間とします。


試験当日までにどれくらいの学習時間を捻出できそうかを算出します。
私の場合で1日(というより1週間)の生活を振り返った結果、
・平日の帰り道の1時間
(幸い、乗車駅から降車駅まで座っていられる。これが大きい。)
(降車後もすぐに自宅に向かわず、ホームのベンチや待合室で勉強。後述のとおり、帰宅してしまうと勉強できなくなるので。ただし、帰宅が遅くなるのは許されず、そこそこで切り上げる。)
(駅から自宅までの徒歩時間にも、DVDの音声を聴いて勉強の足しにする。映像は観るのは交通事故のもとなので控える。なお、聴くだけ学習はあくまで補助と考え、この時間は学習時間に含めない。)
・平日の昼食後の15分
(何となく、食べながらの勉強は頭に入ってこないような気がしたので、食べている時間は計算外とする。)
・平日の出勤途中10〜15分
(さすがに座れない。でもノートを広げて勉強する余地はある。)
以上から、1日(平日)1.0~1.5時間、1週間で平均して6.0時間と想定します。

これ以外の時間(下記)での勉強はできない前提とします。
・平日の帰宅後~寝るまで…資格の勉強という、家庭の方を向いていない行動をとると妻が怒る。
・土日祝日の終日…日中帯は子供を妻から引き取る、かつ外に連れ出すことを求められている。夜間帯は平日と同様。

ということで、試験当日までの学習時間は、1週間で6時間×1か月は4週間×10か月=240時間。少々足りません。
さらに、この年の秋に別の資格の更新試験を受ける必要があり、そちらに約3ヶ月かかる想定。それを差し引くと6時間×4週間×7か月=168時間。全く足りません。

●2017年3月上旬
◇「寄り道」決定
さらに調査を進めると、管理業務主任者試験対策として、日商簿記3級の勉強をするのが効果的であることを知りました。
必要学習時間の目安は初学者は50~100時間とのことで、6月10日の試験まで、6時間×4週間×3ヶ月=72時間。若干心許ないと思いつつも、方針変更。先に日商簿記3級を取得し、管理業務主任者は2018年12月の試験を目指すことにしました。

●2017年3月上旬~6月10日
日商簿記3級を学習。無事取得。
振り返ってみると、この「寄り道」が実はかなり有効だったと思います。管理業務主任者の仕訳問題を簡単に解けるだけの力が付きます。ただし、登場する勘定科目が異なることに注意が必要です(管理組合において、売上に相当するのが管理費収入。そしてそれは、何も売らなくても入ってくる。等)。それに慣れてしまえば、確実に2点ゲットです。
管理業務主任者再受験される方で、不合格時に仕訳で点を落とした方、もしくは2点取ったけど正解を導く根拠にいまいち自信が無かった方に、特におすすめします。

●2017年6月11日~12月6日
別の資格の学習、その他の事情により、一時休止。

●2017年12月7日~12日
◇管理業務主任者試験対策開始
受講ガイド、戦略立案編、直前対策編、入門講座のDVDを視聴。

●2017年12月12日~2018年1月20日
講義DVD(全9枚)を視聴。とりあえず1周、流し見します。
この段階では、どんな単元、内容があるのか、大枠を捉えるのが目的であり、細かく知識を覚えていこうという意識はしません。

●2018年1月23日~8月14日
テキストの学習開始。
◇学習方法
学習マップを自作して、ひたすら覚えていきます。(作成例は添付ファイル参照。)
詳細は、「学習マップなら! 資格試験に超速合格できる本」(明日香出版社、綾部貴淑著。https://www.asuka-g.co.jp/book/business/study-method/001647.html)をご参照ください。
この方法で、テキスト4冊の内容が、A4用紙34ページ(17枚)に収まります。
コンパクトにまとまって、かつビジュアルに訴える手法で効率よく覚えられます。

◇学習マップは絵や図、表を多用してよい
ビジュアルに訴えて覚えるのが学習マップの真骨頂。線を伸ばして分岐して、の書き方は少なくてもよいです。

◇とりあえずテキストの学習の進捗目標を決める
少し単元が進んだところで、それまでの進捗と所要時間から、各単元の学習がいつごろ終わりそうなのかの見込みを算出します。こういうものをとりあえずでも決めないと、学習がダラダラ進みそうだったので。
これを一応の目標として、学習の進捗の目安にします。ただし、そこまでこだわる必要はありません。私の場合、この時点で6月中旬完了と見込んだものの、実際には8月中旬までかかりました…。

◇進捗状況の一覧をつくる
テキスト全単元と、その学習完了日を記入できる進捗一覧を、A4用紙1ページで作成します。(添付ファイル参照。)ここに、先ほど算出した完了見込み日を記入しておきます。その後、各単元の実際の完了日を1つずつ書いていって、進んでいる感、達成感をビジュアルで感じられるようにして、モチベーションの維持に役立てます。
また、問題集の進捗一覧もA4用紙4ページで作成します。(添付ファイル参照。)進んでいる感、達成感の可視化とともに、演習する単元の偏り(適性化法ばかりやる、等)を防いで、演習の効率を維持します。

◇単元が終わったらすぐ問題演習
単元が終わったら翌日くらいにテキストのチェックテストを、そのまた翌日にスマートフォンサイトの確認テストをやります。それらが終わったら、問題集も少しずつ始めます。
テキストの学習と並行して問題演習、というのは結構きついですけど、これをやらないとせっかくテキストを学習しても忘れてしまうので。
理解が進んでいなくて1日1問しかできない日もありますけど、この段階では特に気にせず。
これは前出の著書の教えです。

◇演習ノートは自作
教材の演習ノートは厚くてA4でかさばるので、A5のルーズリーフで持ち運びに適したものを自作しました。(添付ファイル参照。)

◇学習内容は学習マップに集約
問題演習で要補強の知識が出てきたら、解答用紙などに書かずに、すべて学習マップに書き足していきます。あちこちに書いてしまっては、覚える労力が余計にかかってしまいます。
なので学習マップは、テキスト学習の段階では余白を残し気味くらいが実は丁度よいです。
これも前出の著書の教えです。

◇テキストや問題集の解説はたまに間違えているものと心得る
間違いを探しながら学習を進める、という心がけを持つとよいです。理解できていないと間違いだとわからないので、理解しよう、理解を深めようとする姿勢に自然とつながります。
そして、私の経験上、テキストや問題集の類にはほぼ必ず間違いはあります。この姿勢を持ち続けて学習を進めれば、必ず見つけられます。
ノーベル医学生理学賞受賞の本庶教授も仰っています。「教科書を疑え」と。

◇図を描くときのルールを決めておく
特に民法の問題で、複数の人物or組織が登場するケースがよくあります。その際にその関係を図に描く、というのは定番、常套手段と言えます。
ここで、一定のルールを自分で決めておいて、常にそれに従って描くようにすると、考える労力を余計に使わずに済むと思います。
私の場合は、「お金の流れは必ず右から左になるように描く」です。つまり、右には売買の買主や賃貸借の賃借人、左にはそれぞれ売主と賃貸人を持ってきます。
どの問題も大抵はお金のやり取りが発生するので、そこにルールを定めるのが、つぶしが効いてよいと思い、そうしました。

◇言葉を言い換えて理解しやすくする
日本語で表現すると覚えにくい内容でも、いわゆる「横文字」に言い換えるとすんなり頭に入ってくる、ということがあります。
例えば、管理業務における基幹事務のひとつである、「維持修繕の企画・実施の調整業務」。私にはどうにも頭に入ってきませんでした。これを、「維持修繕のプロデュース業務」と言い換えることで、覚えることができました。
法律の条文は日本語が難解なことが多いので、このような「言い換え」を試みると、案外理解できるかもしれません。

●2018年8月15日~12月1日
◇ひたすら問題演習
引き続き、単元はまんべんなく、に努めます。

◇と言いつつ…
直前期(具体的には試験2週間前)に、問題集を2周終えて3周目に取りかかる際に、解き直しの対象を2周目で間違えた問題だけにしてしまい、正解できた問題(根拠明確に正解を導出できたものも、最後の2択から絞りきれずにエイヤッで選んで結果正解だったものも)にほとんど手を付けませんでした。
結果、その箇所に関して記憶が薄れて、試験本番ですんなり正解を導くことができなくなりました。具体的には、適正化法が問題演習の2周目まででかなり好調で、3週目ではほとんど演習せずに試験に臨んだところ、何と正解が5問中1問(5問全問正解すべき単元なのに…)。
ということで、これをお読みの皆様には、解き直し不要な問題も、たまに触れることをおすすめします。解けるとわかっていても、触れていることで記憶の劣化を阻止する効果があると思います。

◇模擬試験は時間を測って実施
私の場合、通常は勉強時間として連続した2時間を確保できない環境下にあります。なので、家族に内緒で有給休暇を取得して対応しました。

◇模擬試験から本試験に出る
いざとなったら、単なる問題集の扱いでも構いません。やりましょう。平成30年度の場合、模擬試験の問18に出てきたエキスパンションジョイント、柱の繊維巻き補強、腰壁スリットが、本試験の問27に登場しました。
やっていなかったらこの問は落としていただろう、と考えるとゾッとします。

◇試験の時のコツ(その1)
いきなり問題を解き始めずに、まずは全問、問われているものが何なのか、問題文の横に印をつけることから始めます。
ここで、私は○と×は使いません。問題を解くときに、問題文や選択肢に印として○で囲んだり、/(斜線)を引いたりというのはよくあることで、それらと見間違える可能性があります。
そこで私は、g(goodの略)とNGを使います。gと小文字にしているのは、下記2点の理由からです。
1.一画なので書きやすい
2.大文字でGと書くと、NGと取り違える可能性がある

全問付けたら、初めて問題に取り掛かります。選択肢の横にもgとNGを付けて、問題文と同じものを線で結びます。線が結ばれた選択肢(または個数)にマークします。
線で結ぶというのは、私が試験後に思いついた、取り違え防止策です。実は私、実際の試験でその取り違えを1問やってしまいました。正しい個数を聞かれているのに、誤りの個数を答えてしまいました。各選択肢の正誤判断は正しかったので、ただただ勿体ないの一言です。線で結んでいれば、この取り違えは阻止できたのでは、と考えます。

◇試験の時のコツ(その2)
得意分野→苦手分野の順に解いていくと、調子よく気分よく進めやすいと思います。
これを実現するためには、自分の得意が何問目あたりに出るのかを把握しておく必要があります。例えば、適正化法なら問46~50、会計なら問14~15、という感じで。

●2018年12月1日
試験の準備。
◇おすすめの持参品
ズバリ、携帯座布団です。
会場が大学の教室だと、イスの座面が硬い場合が多いので、2時間快適に座り続けるには持っておきたいです。行楽用品、もしくはスポーツ観戦用品として購入可能です。

●2018年12月2日
試験当日。
試験直後の印象として、現時点での自分の実力は出たかな、と思いました。

●試験後
◇反省点
実は、何が何でも合格する!というモチベーションが少し欠けていたかもしれません。現時点で全く考えていないものの、もしかしたらこの資格を使って仕事をするかもしれないと考えてしまい、そうなると、各居住者と向き合うケースがよく出てくるはずで、そういう困難な局面を想像して、若干意欲が萎えた気がします。それが直前期のスパートに影響して、かなりヒヤヒヤな得点(窪田講師の予想合格点35点に対して自己採点35点)に終わったのでは、と思っています。

●最後に
◇今後の自分への言い聞かせを主目的として
資格取得に向けて学習する上で、家族は障壁です。私の勉強時間を傍若無人に奪い去ります。妻が出掛けている間の子供の世話。子供の習い事の同行。妻が終日惰性で点けているテレビ(ただし、「特に観たい番組が無いなら一旦消しては」という提案は立場上できない)。等々。妻と子供を処分しようと考えたこと、1度や2度ではありません。
そんな折、職場の上長があるときつぶやきました。「勉強時間を確保できるというのはビジネススキルだからねー。」
私はハッとしました。会社や世間は、その人が1日何時間(もしくは1週間で何時間)勉強に費やすことができるか、それを使って今までどれだけのスキルを習得したか、それを使ってこれからどれだけスキルアップできる伸びしろがあるか、を求めていると思います。そして、それが表現されるひとつのかたちが、保有資格です。
そこに、各々の学習時間確保の難易度は、残念ながら関係ありません。よほどの困難でない限りは、知恵を絞って乗り切らなければなりませんし、乗り切れるはずです。
知恵を絞って結果を出すという側面があるので、先述の上長は、勉強時間確保をビジネススキルとみなしているのだと思います。


以上です。これを読んでくださった皆様のご健闘をお祈り申し上げます。
2おめでとう

※プライバシー保護の観点より、筆者のお名前は仮名となります。



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