年金アドバイザーとは?どんな資格?2級・3級・4級の違いは?

更新日:2018年12月25日

年金アドバイザーとはどのような資格でしょうか。年金に関する知識を問う資格であることはなんとなく想像がつきますが、そもそも国家資格なのでしょうか、それとも民間資格なのでしょうか。取得することで、どんなメリットがあるのでしょうか。年金アドバイザー取得のために勉強した内容は、他の資格の取得にも役立つのでしょうか。

目次

年金アドバイザーとは?

年金アドバイザーとは、銀行業務検定協会が主催・実施する、民間資格です。年金に関する知識の習得度合いや実践力が問われます。主な受験者層は銀行等の金融機関にお勤めの方ですが、金融機関にお勤めではない一般の方も多数受験されています。2級から4級まで存在し、2級が最上位となっています。なお、1級は存在しません。

資格の種類 民間資格
実施主体 銀行業務検定協会
主な受験層
  • 金融機関にお勤めの方(75%程度)
  • 年金知識を付けたい一般の方(25%程度)
級数 2級(最上位)・3級・4級

銀行業務検定協会が主催している資格試験

年金アドバイザーは銀行業務検定協会が主催・実施する民間資格です。実施主体が「銀行業務検定協会」であることからも分かる通り、銀行・信用金庫等の金融機関にお勤めの方をメインの受験者層として想定している試験です。銀行にお勤めの方の中でも、特に、窓口業務や渉外業務を担当する方には取得が奨励されており、現役銀行員の受験者が多くなっています。
受験者の平均勤続年数はおおむね10年程度となっています。金融機関の中堅職員に取得が奨励されているようです。銀行業務検定協会が主催・実施する資格には、他にも、「法務」「財務」「税務」「相続」などがあります。高齢化が進展していることを受け、これら他の資格と比べても、年金アドバイザーを取得する価値は高まってきていると言えます。
金融機関にお勤めでない方も多数受験しており、全体の約25%を占めます。自己啓発の一環として年金知識を取得したい方、FPや社労士とのダブルライセンスを狙う方等、受験の動機は様々です。

どんな方が受験されるか
金融機関にお勤めの方 渉外業務・窓口業務に従事
(勤続年数10年程度の中堅職員)
金融機関にお勤めでない方 社労士・FP資格保持者や社労士試験の受験予定者

年金の相談や指導に従事できる

年金アドバイザー資格は、金融機関にお勤めの方をメインの受験者層として想定した試験です。銀行の窓口に老後の生活資金の相談に来られるお客様の大半は、将来、年金が支給されることを前提に相談に来られます。そういったお客様に対し、「年金にプラスしてどれだけの自主的な備えが必要か」を的確にアドバイスできる相談員の存在は、高齢化の進展する日本において、今後ますます求められます。金融機関等で年金相談業務に従事している場合には、大いに役立つ資格と言えます。
ただ、年金アドバイザー資格は、国家資格ではないため、金融機関にお勤めではない方が取得しても、それだけでは年金相談業務を受注できるわけではありません。
しかし、金融機関等にお勤めでない方でも、年金についての知識を求められる場面は多くあります。たとえば、一般企業の総務部にお勤めの方が、定年後に継続雇用で働く高齢の従業員から、「雇用を継続することで、年金が減らされることはあるのか?」と、尋ねられるケースは今後増えていきます。

自分の業務にどんな付加価値が付くか
金融機関にお勤めの方 「年金プラスα」の備えの必要性につき、説得力のある説明をお客様に対してできる
一般企業の総務部に
お勤めの方
定年後に継続雇用で働く高齢の従業員からの年金相談に応じることができる

年金アドバイザー2級・3級・4級の違いは?

年金アドバイザー資格には、2~4級までが存在します。1級は存在しません。
各級で求められる力は、以下のようになっています。

年金アドバイザー2級
難易度 難しい
求められる力 年金担当者等を対象に、年金・公的保険に関する顧客相談や内部研修・指導に応じるための実践的・専門的知識
年金アドバイザー3級
難易度 やや難しい
求められる力 渉外・窓口の担当者等を対象に顧客からの年金相談に応じるための基本的知識と実践的応用力
年金アドバイザー4級
難易度 簡単
求められる力 渉外・窓口の担当者等を対象に年金に関する最も基礎的な知識

年金アドバイザーの受験者の大半は、3級の受験者です。2級と4級は、年1回のみの試験となっており、受験者数もそれぞれ1,000名程度です。一方、3級は、試験回数が年2回で、1回あたりの受験者数は、おおむね3,000名程度となっています。

年金アドバイザー2級・3級・4級の受験資格や合格率の違いは?

年金アドバイザー資格には受験資格はなく、誰でも受験することが可能です。
直近の試験(2023年12月現在)の、受験者数・合格者数・合格率は以下のようになっています。

受験者数 合格者数 合格率
2級 864名 177名 20.49%
3級 2,495名 551名 22.08%
4級 768名 332名 43.23%

※2・4級は2023年3月、3級は2023年10月の試験結果

2級が最も難易度が高く、4級が最も難易度が低く設定されています。級ごとに難易度が異なるため、勉強法も異なってきます。

年金アドバイザーの合格率・難易度は?合格するための勉強法!

一番受験者数が多いのは3級です。受験者数の多さから、2級と4級の試験が3月の年1回のみ実施されるのに対し、3級の試験は3月と10月の年2回実施されます。

年金アドバイザーはこんな人におすすめ

銀行等の金融機関で、窓口業務や渉外業務に従事する方は、年金アドバイザー資格の取得が必須とされていたり、資格取得が昇進や昇給の要件となっていたりすることが多いです。資格取得のために年金についての知識を身に着けることで、業務の幅が広がります。

また、金融機関にお勤めでない方にも、年金についての知識が求められる場面が増えてくることが予想されます。たとえば、今後は、労働力不足から、65歳以上の方にご活躍いただく機会が増えてきます。65歳以上の方が給与収入を得ると、年金の支給額が減らされることがあります。高齢の労働者を活かす人事制度の構築にあたっては、年金の知識が必要不可欠です。

さらに、自己啓発の一環として年金に関する知識を深めたい人にとっても、年金アドバイア―資格はお勧めです。資格取得に伴って、年金に関する実用的な知識を、幅広く体系的に学ぶことができます。

特に、社会保険労務士の受験を検討している方にとっては、年金アドバイザー3級合格相当の知識をつけておくと、大きなアドバンテージとなります。社会保険労務士試験は、選択式と択一式を合わせて合計110点満点の試験ですが、そのうちの30点は年金科目の配点が占めます。年金アドバイザー3級合格相当の力をつけておくことで、そのうちの15点程度を取る力が身につきます。年金アドバイザー3級の勉強で年金関連の知識の下地を作っておくことで、社会保険労務士の年金科目の勉強が非常にスムーズになります。

社労士の「年金」を攻略するための年金アドバイザー勉強法!受験のメリットや難易度!

年金アドバイザー3級取得にどんなメリットがあるか?
金融機関にお勤めの方 業務の幅が広がる。
昇進や昇給の要件になっている。
一般企業の総務部に
お勤めの方
年金知識を高齢の労働者を活かすための人事制度の構築に役立てられる。
自己啓発で年金知識を
付けたい方
年金に関する実用的な知識を、幅広く体系的に学ぶことができる。
社労士試験受験予定者 社労士試験で必須である年金科目を学習するうえでの、知識の下地を作ることができる。

試験講座で年金アドバイザーの試験対策をしよう

年金アドバイザー資格は、3級から受験するのが一般的です。実際に業務に使えるレベルの知識が身に着くのは、3級からと言われています。確かに、基礎を固める目的で、4級から受験するのも一つの方法ではあります。しかし、3級で求められる知識のレベルを、4級で求められる知識のレベルと比べると、かなりの開きがあります。

そのため、「独学での4級取得→4級取得のために身に着けた知識を下地に3級を取得」というステップを踏むのは少し難しいと言えます。また、年金アドバイザー3級を取得するためには、国民年金と厚生年金の幅広い知識が必要不可欠です。この2つは、規定されている法律が異なるため、両方の制度について1冊でうまくまとめた市販の参考書は、そう多くないのが実情です。

したがって、独学で年金アドバイザー3級合格を目指すのは、少し難しいと言えます。合格率25%程度の試験ですので、独学での合格も可能ではあります。しかし、独学となると、参考書を選定したうえで、さらにその中から合格に必要な情報を選別し、重要度を自分で判断するという手間がかかります。そのため、独学での学習には、大きな時間のロスが伴います。だからこそ、年金アドバイザー3級に最短経路で合格するためには、試験講座の利用が必要不可欠と言えます。

何級から挑戦すべき? 3級
4級から3級は有効? 知識レベルの差が大きいので、4級の知識は3級合格の下地になりにくい
独学での苦労ポイント1 国民年金と厚生年金をうまく1冊で体系的にまとめた参考書が多くない
独学での苦労ポイント2 良い参考書を選別しても、
  • 試験に必要な情報の選別
  • 重要度の判断
等、様々な時間のロスがある。

まとめ

年金アドバイザーは、金融機関にお勤めの方が取得することで、業務の幅が広がる資格です。また、金融機関にお勤めでない方にとっても、年金に関する知識が求められる場面は増えていきます。特に、社会保険労務士の受験を検討している方にとって、年金アドバイザー3級合格相当の知識を身に着けておくと、大きなアドバンテージとなります。

年金の学習にあたっては、国民年金と厚生年金という別々の制度を、一体的に理解する必要があり、独学で勉強することで、大きな時間のロスが発生してしまいます。年金相談の実務に最低限必要とされる、年金アドバイザー3級合格のためには、試験講座を利用するのがお勧めです。

資格取得のメリット 金融機関にお勤めの方に限らず、様々なメリットがある。
独学での苦労ポイント 年金アドバイザー3級取得に特化した、市販の参考書がない等、大きな時間のロスが発生する。
資格取得への近道 試験講座を利用することで、最短経路で合格できる。
この記事の監修者は
二神大貴(ふたがみ だいき)

最短経路で合格へと導きます
【出身】大阪府出身
【経歴】東京大学法学部卒業。社会保険労務士資格(2017年合格)、社会保険労務士登録(2018年)、年金アドバイザー3級
【趣味】お笑い、子どもへの読み聞かせ
【座右の銘】冬は必ず春となる
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