2019(令和元年度)国内旅行業務取扱管理者試験の解説

2019/09/02

9月1日(日)に実施されました、2019(令和元年度)国内旅行業務取扱管理者試験の解説をこちらのページで公開いたします。

今年の国内旅行業務取扱管理者試験は、9月1日に行われました。 受験された皆様、お疲れさまでした。

今年の出題形式や内容などは、例年と同様で、また難易度も昨年と同じく取り組みやすい出題であったようです。以下、科目ごとに見ます。

1.旅行業法及びこれに基づく命令

 25問中19問が、該当する記述を1つ選ぶ形式、6問が「正しいものをすべて選んでいるものはどれか」という形式で、ほぼ法の条文の順に沿った出題でした。
 この科目は、出題のテーマ(条文)が限られるため、意外な出題が少ないことが特徴です。
ほとんどの選択肢は過去に出題されたことのある記述や、その類似の記述です。
 今年は、「地域限定旅行業者の相談業務」「年間取引見込額が2億円未満」など、あまり覚えていないと思われる記述もありましたが、他の選択肢と比較すれば何とか乗り切れるのではないかと思います。

やはり事前の準備としては、テキスト等で基本的な内容を把握して、直前に多くのテーマについて問題を解いておけば、合格基準は確保できる内容でした。

2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款

 素直な問題が多く、選択肢を一度読めば正誤の判断がつくものが多かったように感じます。
範囲は旅行業法よりも広く、また一つの問題に3つくらいのテーマがあるため、頭を切り替えなければならないので、集中して問題を読まなければなりません。

 それでも、出題項目は例年ほぼ同一で、確実な知識を基に選択肢を絞り込んでいれば、正答率が上がるでしょう。今年も、一定の学習期間があれば高得点も十分ありうる問題でした。

 2番以降のその他の約款は、準備にあまり多くの時間がありませんが、これまで出題された項目が中心ですので、直前に過去の出題について目を通しておけば2~3問の正解は可能でしょう。

3.国内旅行実務

 今年の配点は、運賃・料金が50点(13問)、観光地理が50点(25問)でした。

運賃・料金の内訳は、まず貸切バスが4問出題されました。今年も平成26年の「告示」に関するものと一般貸切旅客運送事業標準運送約款に基づく出題でした。
時間や距離の端数処理と違約料の発生時期と料率を覚えていれば対応は可能でしょう。

 次にフェリーと宿泊が各1問。貸切バスも含めて、この3つの分野は、出題される項目がある程度決まっていますので、「指定制の座席の場合の運転者や小児の運賃、客室の超過利用の場合の料金」など、過去問を通じてマスターしておけば得点源になります。
昨年は総合管理者試験でもこの3つの分野が出題されています。

 その次のJRに関する出題が最も多く、5問出題されました。
内容は基本的ですが、多岐にわたり、中には計算をしないと選択肢の正誤が判断できないものもありました。

習得には時間のかかる分野ですので、この点が合否の分かれ目になりそうです。
また、新幹線の回数券に関する出題は初めての出題でした。

最後は航空に関する分野が2問で、どちらも全日本空輸の運賃規則の問題でした。
一般的な知識を問うもので、解答しやすかったと思います。

観光地理は、有名な観光地に関する出題が多く、問題文を丁寧に読めば正解できる問題が多かったようです。地理を苦手とする方が多いですが、最近は基本的な問題が多いように感じます。ただ、後半の組合せ問題は、簡単とは言い切れません。「ムーミンバレーパーク」など意外な出題がありました。

やはりこの分野は50%を超える正解率を当面の目標として、それをクリアすることを心がけるべきでしょう。

今年も問題の前半が運賃・料金で、これにどの程度時間をかけてよいか迷ったかもしれません。

人によっては、最初に観光地理を短時間で済ませて、落ち着いて運賃・料金を解いた方がよいでしょう。(この後、総合管理者試験を受験する予定の方は、どのような解答の順序がご自分に向いているのか決めておくとよいと思います。)

4.国内旅行業務取扱管理者試験を受けて最後に

 合格基準は、例年合格発表時に公表されますが、各科目60%で一定しています。
今年もおそらくそうなると思います。これを意識して効率的に偏りのない学習を進めてきた方々は、よい結果が得られると思います。

この後総合管理者試験を受験する皆さまは、これに海外実務が加わります。
時間の多くはこの科目にかけると思いますが、国内実務は少し傾向が変わります。航空運賃の制度、JRの特急料金などは、最近の問題を見直して、必要な知識の再整理をお勧めします。