令和5年度 総合旅行業務取扱管理者試験の解答速報・試験講評

2023/10/23

10月22日(日)に実施されました、令和5年度 総合旅行業務取扱管理者の解答速報・試験講評を公開いたします。

解答速報

【旅行業法及びこれに基づく命令】
各4点×25問
(1) (2) (3) (4) (5)
c a c d a
(6) (7) (8) (9) (10)
d d b d d
(11) (12) (13) (14) (15)
a,b,d c,d a,b b,d a,c,d
(16) (17) (18) (19) (20)
a,c a,b b,c,d b,c a,b
(21) (22) (23) (24) (25)
a,c,d a,c a,d a,b,c,d a,b,c,d
【旅行業約款、運送約款及び宿泊約款】
問1〜問20:各4点×20問、問21〜問30:各2点×10問
(1) (2) (3) (4) (5)
b b b c c
(6) (7) (8) (9) (10)
c d b d c
(11) (12) (13) (14) (15)
b a d a,c,d b,c,d
(16) (17) (18) (19) (20)
a,c,d a,b,d c,d a,b a,b
(21) (22) (23) (24) (25)
b a a a a
(26) (27) (28) (29) (30)
b a b a b
【国内旅行実務】
問1〜問20:各2点×20問、問21〜問32:各5点×12問
(1) (2) (3) (4) (5)
a c a b c
(6) (7) (8) (9) (10)
d d b b d
(11) (12) (13) (14) (15)
c c b c d
(16) (17) (18) (19) (20)
d b b b,c a,c
(21) (22) (23) (24) (25)
a d c d d
(26) (27) (28) (29) (30)
b b c b d
(31) (32)
a d
【海外旅行実務】
問1〜問24,問45〜問52:各5点×32問、問25〜問44:各2点×20問
(1) (2) (3) (4) (5)
b a c a,b,c c
(6) (7) (8) (9) (10)
c,d c a c b
(11) (12) (13) (14) (15)
b,c a,c a,c a,b a,c
(16) (17) (18) (19) (20)
c a a,b,c d b,c
(21) (22) (23) (24) (25)
b c a a a
(26) (27) (28) (29) (30)
c d c c c
(31) (32) (33) (34) (35)
b d a b d
(36) (37) (38) (39) (40)
c a b a d
(41) (42) (43) (44) (45)
c a,c a,b,c a,b,c c
(46) (47) (48) (49) (50)
a d a b c
(51) (52)
a a,b

試験講評

 本年度試験の全般的な印象は、法令・約款では例年通りの傾向であったものの、個々の問題に難度の高いものがあります。多肢選択問題も増えました。
 しかし難易度は例年と余り変わりません。国内旅行実務は、国内観光地理では例年並みの難易度、運賃料金はJRで難度Bランク以上の問題が見られました。そのため科目全体では例年より難しい印象です。また、海外旅行実務では、前半の国際航空運賃で新趣向が見られましたが、レベルは難しくありません。出入国法令実務は例年より易しく、語学、海外観光地理は例年レベルでした。しかし旅行実務知識(第10問)では昨年同様に難問が多く、厳しい内容でした。科目全体では昨年と同レベルと思われます。

 以下、科目ごとに、問題を読んで気が付いたことを述べます。今後、更に吟味して解説集やブログ等に反映してまいります。

1.旅行業法及びこれに基づく命令

 テーマごとの出題バランスは例年と変わりません。しかし多肢選択問題は15問が出題され、近年最多となりました。消去法が使えないので、多肢選択問題の増減はそのまま難易度の上下につながることが多いものです。ただし、個々の選択肢は例年並の定番レベルなので、慎重に正誤を判断すれば難しいものではなかったでしょう。その中では、問14がa.の判断で悩まれたかも知れません。変更登録後の年間取引見込み額で算定するのが正しい記述です。また、問3のb.と問9のa.では、研修実施機関が異なるので、間違いやすい問題です。問8の標識に関する問題は、平成29年以来の出題でした。
 その他の問題は、おおむね平均レベルの難易度です。多肢選択問題が若干増えたことを加味しても、全体では例年並のレベルでした。

2.旅行業約款、運送約款及び宿泊約款

 多肢選択問題が例年の3〜4問から、一気に7問に増加しましたが、内容は難しいものではありません。また、全体の出題傾向は例年と変わりません。いつものように読み間違いやうっかりミスを誘うものが目立ちましたが、全体では例年並のレベルです。その中で難しいものは、特別補償規程の問8と問9でしょう。特に問9のc.は滅多に出題されない規定ですが、分かりにくい規定の代表です。なお、特別補償規程は、問18も含め、昨年同様3問が出題されました。
 各種約款では、問24、問26が久々の出題です。その他の運送・宿泊約款には難問はありません。
 総合的に、全体の難易度は例年並のレベルでした。

3.国内旅行実務

 出題バランスは、例年通り地理分野から20問(40点)、運賃料金分野から12問(60点)でした。本年は分野ごとに難易度の差が大きく、得意不得意が強く反映される内容でした。

①国内観光地理
 定番といえる問題が目立つ中で、かなりな難問もありました。問3は、地名の並びを把握していないと答えられず、一番の難問でしょう。次いで問16も余り知られていない観光地の組合せで、難問です。問5、問7、問10、問14、問18なども難しかったかと思います。
 また、問8は、超サービス問題?かも知れません。問4はニュースにもなりました。問11はNHKの朝ドラ、問13はNHK大河ドラマにもかかわる問題でした。ヤマ張りはいかがだったでしょう。
分野全体では例年並のレベルでした。

②国内運賃料金
 前半の各種運賃料金は易しい一方、後半のJRは難問が目立ち、難易度の差が大きくなりました。問21の宿泊料金は、昨年に引き続き宿泊税が問われましたが、過去問を解いた方は難しくなかったでしょう。バス、フェリーは例年並です。国内航空では、昨秋からの日本航空の改正点が問われました。過去問は参考になりませんが、問題レベルは想定範囲内でした。
 肝心のJRでは、問ごとの難易度が大きく異なりました。問26、問27は易しいレベルでしたが、問28はかなりの難問です。本年は初めて、北海道新幹線区間の特定特急料金もしっかり算出させる問題であり、更に繁忙期の小児料金を問うものなので、長い計算式に迷った方が多いかと思います。
 また、珍しく払い戻し問題が問29、問30の2問出されました。いずれも特定特急料金などが含まれており、難しい内容です。問28のジパング倶楽部も、今回は細かな割引条件が問われており、難問です。一方、時刻表問題は並のレベルでした。なお、乗継割引は来春に廃止が決定しているので、その先取りか、出題は皆無となりました。
 総じて、運賃料金分野全体では、例年よりやや難しい印象です。地理分野と合わせた得点バランスが重要になります。

4.海外旅行実務

 分野ごとの出題バランスは例年と変わりません。冒頭にも述べたとおり、この科目でも分野により難易度の差が大きくなりました。均してみると、ほぼ例年並の難易度といえるでしょう。

① 国際航空運賃
 例年よりもやや易しいレベルでしたが、「落とし穴」もあります。問2は、資料編のP.5にあるSpecified Routingが適用されますが、SEA-LAX-TYOという行程を見ただけで、この特例に気付きたい問題。これを見落とすと誤ります。また、問1、問2が正解できないと問3も正解できないので、大きく明暗が分かれます。
 問5、問6は新趣向の設問ですが、難しくはありません。両問とも、途中降機が可能な回数と都市で、折り返し地点と適用可能運賃を判断します。しかし、ここでも問5、問6が正解できないと問7が厳しくなります(逆に、問5、問6の正誤チェックにもなりますが)。
問1、問4は易しいレベルでした。

② 旅券法、出入国手続等
 いずれも定番レベルの問題で、特筆すべきものはなく、得点源となる内容です。問11のa.は、「性別」の変更も対象となります。b.c.は新設された残存有効期間同一旅券に関する問題。問12のb.は、旅行業務取扱管理者証は1点のみでは不可です(宅建士証とは違います)。
 問13〜問16も、特に難しい選択肢はなく、易しいレベルでした。

③ 語学
 本年はハワイ・オアフ島のハナウマ湾観光案内と、ナイアガラの滝遊覧船の条件書が出題され、例年同様の傾向でした。設問内容も、本文合致、語句穴埋めなどであり、例年と変わりません。近年は1ページ超の英文が出されますが、実務的な英語は「文学的」表現はありませんので、難しい語句があっても大意をつかむのに大きな支障はありません。また、本文合致を問う各設問は段落ごとに内容が問われるので、まず選択肢を読んで、該当する段落を読み取るとよいでしょう。最初から全文和訳に挑むと思わぬ時間を消費します。
 問24の計算問題は英語の問題らしからぬものですが、支払い・払戻し問題も例年の定番の一つです。

④ 海外観光地理
 例年、マニアックな地名・名称の出題が目立ちますが、本年は「超」が付く難問レベルはありませんでした。その中で難しい問題を挙げると、問26、問33、問35、問36、問38、問39、問40、問43、問44などが挙げられます。残り半分強は定番レベルの問題でした。
 問33のa.は、お隣りの香港が旧イギリス領でしたので、引っかかりやすい問題です。問37は(ウ)が誤りに気付けば、消去法で正解はa.となります。問33は、都市の特徴を把握していることが大切。問40のd.はアルハンブラ宮殿の「アラヤネスの中庭」ですが、写真だけでは判断が難しいです。問44の絵画問題は毎年難問です。しかし本年は有名な絵画が出されましたので、いくらか難度が下がりました。
 地理は難易度を問わず、とにかく解答だけは素早くできるのが特徴です。難問にこだわらず早めに切り上げて、他の問題に解答時間を使いましょう。

⑤ 旅行実務
 第10問は、昨年と同様にマイナーな知識を問うものが多く、本年も難問の羅列となりました。問45、46は、都市の所在地が肝腎で、地理の知識も必要です。特に問46は、アブダビがアラブ首長国連邦(United Arab Emirates)の首都であることがわからないと、正確な計算ができません。問48は、昨年に続いてアライアンス(航空連合)が問われました。この準備ができていたかどうか。また、問51は3年連続で同一テーマが問われました。それほどの重要テーマであるか、疑問も残るところです。問52も難しいコードがあり、難問でしょう。

5.おわりに

 科目ごとの講評に書きました通り、今年は国内旅行実務のレベルがやや高くなりました。実務科目全般で新しい改正点、新しい出題スタイルが目立ち、単に過去問題を解くだけでは対応できません。来春もJRの改正がありますし、海外関係も改正が予想されます。来年の受験を目指す方は、改正情報にも十分注意を払ってください。
 とはいえ、定番といわれる問題も圧倒的に多く存在します。やはり過去問題を解くことは大切で、コアとなる知識を確実に把握する努力がより一層求められます。意図的な難問は必ず出題されますので、百科事典的な知識を得ようとするのは、合格のためには労多くして益少なしです。
 後日、日本旅行業協会から正解と合格基準が公表されます。合格基準は例年どおり、各科目について満点の60%以上(海外旅行実務のみ120点以上、その他の科目は60点以上)の正答率となるでしょう。法令・約款・海外旅行実務は例年レベル、国内旅行実務は昨年より少し難化しましたので、合格率は昨年を下回るかと予想されます。

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