実務家密着取材

直撃インタビュー
社会保険労務士 松島寛さん

社会保険労務士   松島寛 さん

1973年東京都生まれ。1996年に東京工芸大学工学部を卒業後、写真のプリントサービスを主とする会社(株式会社マツヤカラ―)に入社。生産管理などの業務を経験し、2000年に退社。2001年に社会保険労務士試験に合格し、2002年11月に松島労務管理事務所を設立し、現在に至る。

松島寛さんが所長を務める「松島労務管理事務所」のホームページは下記のとおりです。
URL : http://www.matsushima-office.com


数字に基づき論理的なビジネスサポート
フットワークの軽さが強みの“理系脳”社労士

試験に合格して資格を取得した後、実際にどのような仕事を行うのか。フォーサイトでは活躍中の実務家を直撃し、その実像に迫ります。今回は、社会保険労務士の松島寛さんからお話を伺いました。

どのようなお仕事をされているのでしょうか?


労働・社会保険手続き代行、就業規則の作成、変更、見直しサポート、給与計算代行から、労使間のトラブル相談、解決の為のアドバイスまで、一般的な社労士業ですね。今、特に力を入れているのが労働・社会保険手続の電子申請サポートです。これまで社労士等に依頼していた手続き業務を、自社の社員でまかなうことにより、大幅なコストカットになります。そこで、「自社で電子申請を行いたい」というお客様に対し、相談顧問契約という形でサポートしています。
 お客様は都内が中心で、業種はさまざまですが、情報サービス関連企業が比較的多いですね。8割は顧問契約という形で、手続き業務より、労務に関するご相談、コンサルティングをメインに考えています。


松島さんのオフィスは池尻大橋にある

松島さんのオフィスは池尻大橋にある


社労士になったいきさつについて教えて下さい


大学では理系を専攻し、卒業後、写真のプリントサービスを主に手掛ける会社(株式会社マツヤカラ―)に入社しました。その後、デジカメが台頭して、写真業界は変革期を迎え、私自身の進路や将来についても考え始めました。そして、「自分は会社勤めに向いていない」と感じていたので、自ら何か立ち上げるべく調べているうちに出会ったのが社労士の資格でした。生産管理業務に携わっていたこともあり、労働基準法は割と身近にあったため、人事労務の専門家を目指して退職しました。1年ほど脇目もふらずにみっちり勉強して、2001年度の試験で一発合格。その翌年に開業しました。


「背水の陣」で臨んだ社労士試験に一発合格

「背水の陣」で臨んだ社労士試験に一発合格


開業されてから、どのようにお仕事を進めてきましたか?


開業当時、ひたすら自分が考えつく限りの「営業」をやりましたね。広告を出すとなると大掛かりな初期投資が必要なので、自分でチラシを作成し、DMを送ったり、ポスティングしたり、飛び込み営業したり…。資格学校の講師を4年間やったりもしました。そのご縁で、千代田区を中心にネットワークを持つ社労士グループに入れていただき、顧問先獲得のノウハウを先輩社労士に教わりました。そこからは芋づる式に顧問先が増えていきましたね。
 実務経験ゼロからのスタートだったので、役所の人に聞きながら手続きしたりもしていました。当時は本当に大変でしたね。ふと気づくと、開業から10周年目を迎えていたという感じです。


松島さんの趣味はサイクリング

松島さんの趣味はサイクリング


お仕事の際に気をつけていることとは何でしょうか?


まず第一に正確性ですね。「プロとして、間違いや誤りはご法度」と肝に銘じています。お客様からの質問に対してあやふやな回答をしてしまうと、お客様は不信感を抱きます。複雑な事案やすぐに答えられない問題については、持ち帰らせていただき、きちんと調べた上で答えるようにしています。とはいえ、返答が遅くなり過ぎてしまったら意味がありません。仕事は早さも大事ですから「正確に、誠実に、なおかつ迅速に」を心がけています。


今後の予定、夢を教えてください


お客様の数を増やして、事務所の職員数も増やして、無理のない程度に拡大していけたらと考えています。何もしなければそのままですが、自分で新たなフィールドを開拓していくことで、どんどん拡がります。限界をつくらずに、今後もチャレンジしていきたいと思います。


今年10周年目を迎えた松島労務管理事務所

今年10周年目を迎えた松島労務管理事務所


社労士の仕事は、書類申請や手続き関連の代行業と思われがちですが、自分なりに工夫することで分野を拡げることが可能です。非常に奥深く、幅広い。極めたい分野を見つけて努力することで、他の社労士との差別化につながり、一目置かれる存在になれると思います。頑張って下さい。


社会保険労務士   松島寛 さんの、ある1日


ある日のスケジュール
7:00 起床 朝食
9:00 出社 メールチェック
11:00 外出 顧問先でミーティング(就業規則について)
13:00 休憩 昼食
14:00 外出 顧問先でミーティング(給与計算)、労務相談
15:30 社内 事務手続き、資料作成
18:00 退社 夕食
21:00 退社 メールチェック
24:00 就寝