第47回(平成27年度)社会保険労務士試験の講評

2015/11/23

8月23日に、平成27年度社会保険労務士試験が実施されました。

受験された方、お疲れ様でした。
今年度の試験を一言でいえば、「難しかった」です。

択一式試験について

択一式試験については、まず、ボリュームがかなりありました。ページ数で64ページですから、読むだけでもかなりの時間を使います。また、事例問題がかなりありました。事例問題では、どうしても時間を使ってしまうことがあります。そのため、時間が足りなくなってしまった方が少なからずいたようです。

そこで、労働関係の問題については、過去問をベースにしたものや比較的易しい問題もありつつ、正答を選ぶのが難しい問題が多くありました。特に、雇用保険法では、疑義のある問題もあり、得点が伸びていない可能性があります。ですので、徴収法と合わせて、4点ないし5点を確保できていれば十分なところです。「労働基準法・労働安全衛生法」と「労災保険法・徴収法」については、高得点は難しいところですが、なんとか6点は確保しておきたいところです。

「一般常識」は、「労務管理その他の労働に関する一般常識」は例年並みのレベルであったのに対し、「社会保険に関する一般常識」がレベルの高い出題があり、基準点である4点を確保できるかどうかが微妙な受験生も多いようです。そのため、平成26年度と同様に科目別の基準点の引下げがあるかもしれません。

健康保険法は、細かい内容の出題や事例問題などがあり、全体的に難しいと思われる内容でしたが、手も足も出ないようなものばかりではないので、ある程度の得点は確保できるのではないでしょうか。

年金2科目についても、細かい内容がありつつ、基本的な知識で正答を導き出すことができる問題もあったことから、それぞれ、少なくとも6~7問は正解しておきたいところです。

トータルの基準点については、問題のレベルから考えた場合、40点台の前半になる可能性が高いでしょう。

選択式試験について

選択式試験については、全体的にやや難しいというところです。

「労働基準法」は、極めて長い文章でしたが、労働安全衛生法と合わせて3点は確保できるのではないでしょうか。

「労災保険法」は、判例からの出題もあり、すべて正解をするのは難しいところですが、特別加入に関する部分は正解をしておきたいとこです。

この2科目については、ある程度得点できるレベルですが、受験生の得点状況によっては、基準点の引下げがあるかもしれません。

「雇用保険法」は、数字関連の空欄それぞれについて、しっかりと押さえていたかどうかで、大きく違ってくるでしょう。雇用保険法は、それほどレベルが高くなくても、数字関連を正解できない受験生が多く出て、基準点が下がるということがあります。ただ、平成27年度については、下がる可能性は高いとは言えません。

「労務管理その他の労働に関する一般常識」は、労働経済からの出題で、多くの受験生が知らないだろうという内容が大半を占めていました。そのため、「勘」に頼るところがあったでしょう。この科目は、問題が難しくても科目別の基準点が下がらないことが多いのですが、問題のレベルからすれば、引き下げられてもおかしくないところです。

「社会保険に関する一般常識」は、目的条文などからの出題で、確実に正解しておかなければならないところです。

「健康保険法」、最も数字関連を空欄にしてくる科目で、今年度も、その傾向のとおりの出題です。ただ、細かい箇所からの出題のため、正解できなかった受験生が多いのではないでしょうか。科目別の基準点の引下げが考えられます。

「厚生年金保険法」は、特別支給の老齢厚生年金をしっかりと学習していれば、空欄4箇所以上は正解できる内容です。

「国民年金法」は、改正点や過去に択一式で論点にされた箇所などからの出題です。改正点をちゃんと押さえていれば、科目別の基準点は確保できるのではないでしょうか。

トータルの基準点については、問題のレベルから考えた場合、前年より下がるでしょう。

正式な基準点は、合格発表までわかりませんが、正確な知識、応用力、問題文を読み解く力などをしっかりと身に付けていたかどうか、これが、得点に大きく影響したと思われます。