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試験講評

令和元年度 第51回社会保険労務士試験の講評

2019/08/25

8月25日(日)に、令和元年度(第51回)社会保険労務士試験が実施されました。

フォーサイトでは試験当日に加藤講師による選択式試験についての講評速報をライブで配信いたしました。

※アーカイブでご覧いただけます。

選択式試験について

8月25日に、令和元年度社会保険労務士試験が実施されました。 受験された方、お疲れ様でした。

今年度の選択式試験については、難しい空欄もありましたが、確実に正解することができるものが多々ありました。
そのため、トータルとして見ると、それなりに得点をすることができる内容でした。

「労働基準法」は、最近の傾向どおり、判例の問題がありました。そのうちAの空欄は過去に論点にされた実績があるので、正しい選択肢を選ぶことは難しくはなかったでしょう。また、Cは条文ベースの出題で基本ですから正しい選択肢を選ぶことは容易だったと思われます。

「労働安全衛生法」は、いずれも基本的な内容でしたので、こちらも正しい選択肢を選ぶことは容易だったのではないでしょうか。
これらから、基準点の引下げの可能性は、かなり低いでしょう。

「労災保険法」は、AからCの空欄については、すべてが基本的な事項といえるので、確実に正解しなければいけません。問題文2は通達からの出題ですが、出題実績があるものですから、正しい選択肢を選ぶことは難しくはなかったといえます。
そのため、労災保険法も基準点の引下げの可能性はかなり低いでしょう。

「雇用保険法」は、過去の出題の傾向通り、法条文をベースにしたもので、3つの空欄は数字を含んだものでした。内容的には満点も難しくはないレベルですが、雇用保険法は数字に関連する空欄が多いと、受験生の得点が伸び悩み、基準点が引き下げられるということがあります。そのため、もしかしたら、基準点が2点に下がる可能性があります。

「労務管理その他の労働に関する一般常識」は、多くの受験生が見たことがないものばかりだというように思われた内容でした。その中でAは法令に根拠を置くものですから、正解したいところです。Cは選択肢から正しいものを選べなくはないもので、できれば正解したい空欄です。他の3つの空欄は、かなり厳しい出題といえ、正解することができなくても、致し方ないところですが、Dは選択肢から絞り込むことで何とか正解を導き出せなくはないといえます。
これらのことから、3点を確保することは難しいといえ、基準点が2点に下がる可能性が高いです。

「社会保険に関する一般常識」は、いずれも法令からの出題で、条文ベースなのですが、学習上、盲点になりやすい箇所を空欄にしています。
そのため、3点を確保することができない受験者が少なからず出ることが予想され、その状況によって、基準点の引下げが行われることがあり得ます。

「健康保険法」は、例年どおり数字関連が多かったです。問題文1と問題文3は基本的な条文からの出題で、問題文2は基本を事例にした問題で、いずれについても難しいとはいえないものです。
そのため、3点以上確保することは難しくないのですが、このレベルでも受験者全体で見ると得点が伸びないことがあり、状況によって基準点が2点に下がるかもしれません。

「厚生年金保険法」は、いずれも基本的な内容で、過去に択一式や選択式で出題された実績があるようなものですから、いずれも正解し、できるだけ得点を稼ぎたいといえます。ただ、数字関連が多いので取りこぼしてしまうものがあるかもしれません。
とはいえ、基準点が2点に下がる可能性は低いでしょう。

「国民年金法」も厚生年金保険法と同様、いずれも基本的な内容で、過去に出題実績があるものなので、3点以上取ることは難しくはないでしょう。
ただ、他の科目でも言えるのですが、選択肢を見ると、ほんの少し長いものがあり、それによって正確な判断ができなくなってしまうことがあります。それを考えると基準点の引下げの可能性はゼロではありません。

前年度の問題と比べた場合、問題のレベルに大きな変化はないので、受験者のレベルに大きな変化がないのであれば、トータルの基準点については、昨年度と同じかやや上がり、24点前後ではないでしょうか。
ただ、科目別の基準点の引下げの状況などにより、さらに高くなる可能性もあります。

択一式試験について

まず、問題冊子のページ数は62ページで、昨年度より1ページ増えています。過去に60ページ以上の年度は、何度かあっただけですから、昨年と同様かなりボリュームがあったといえます。そのため、時間配分で苦戦したという方もいたかと思います。

そこで、各科目について見ていきます。

「労働基準法」は、大きな改正がありましたが、その改正点はあまり出題されておらず、従来の傾向どおり判例や通達からの出題がありました。判例や通達からの出題といってもさほど難しくはなく、ある程度正解の肢を選ぶことができるものでしたから、4問から5問は正解したいところです。
これ対して、「労働安全衛生法」は問8と問9が難しく、特に、問9は捨て問と考えてもよい問題でした。 「労働安全衛生法」が難しくとも、労働基準法である程度得点することができるでしょうから、科目別の基準点が下がるということはないでしょう。

「労災保険法」は、多分、知らないと思われる規定がいくつもあったのではないでしょうか。そのため、数問は正解を選べなかった可能性があります。また、個数問題が2つ含まれていたので、得点を引き下げる効果があったと思われます。ただ、すべてが難しいというのではないので、半分くらいは正解を選べるレベルでした。「労働保険徴収法」は、基本的なものが中心でしたから、3問とも正解できるレベルでしたので、トータルで6点以上は取れるのではないでしょうか。

「雇用保険法」は、1~2問難しいものがありますが、極端に難しいものではなく、例えば、難しい肢がありつつも正解は簡単とか、消去法で正解を見つけ出せるものなどあり、半分以上は正解を選べるでしょう。「労働保険徴収法」は、3問とも難しくはなく正解することができるレベルなので、トータルで6点から7点は取れるでしょう。

「労務管理その他の労働に関する一般常識」は、法令の出題が3問でした。そのうち1問は社会保険労務士法で、ここのところ社会保険に関する一般常識ではなく、労務管理その他の労働に関する一般常識のほうから出題されていますが、この問題は確実に取りたいものです。他の2問はやや難しく、労働経済の2問も厳しい問題です。これら4問のうち何問正解できたかが科目別の基準点との関係で重要になります。なんとか1問は正解しておかないと、厳しい状況になる可能性があります。
「社会保険に関する一般常識」は、沿革の問題以外は何とか正解したいところですが、たとえ2問か3問の正解であったとしても、「労務管理その他の労働に関する一般常識」の状況によって、合計で、科目別の基準点である4点を確保できる可能性があります。 なお、受験生の得点状況によって、もしかしたら、基準点の引下げがあるかもしれません。

「健康保険法」は、通達がかなり出題されますが、その傾向どおり、通達からの出題がいくつもありました。見たこともないものがあったかもしれません。また、厄介な事例などがありましたが、1問まるまる難しいというのではないため、正解を選びことはそれほど難しくはなかったといえます。ですので、ある程度得点することができたのではないでしょうか。

「厚生年金保険法」は、全体として比較的易しい問題が多かったので、かなり得点することができる可能性がありました。ただ、年金に苦手意思があったりすると、ちょっとしたミス、例えば、長文の問題がいくつもあるので、そのような問題で問題文を読みながら勘違いをしてしまったりとか、時間に追われてミスをしてしまったりとかということがありそうです。もし、そのようなミスがあったとしても、6点から7点は取っておきたいレベルでした。

「国民年金法」は、事例など具体的な内容の問題が出ることがよくあり、令和元年度試験でも、そのような出題がありました。事例であっても基本を理解していれば容易に正誤の判断ができる問題もあったのですが、適切な判断ができなかったというものがありそうです。また、事例問題は時間を使うため、焦ってしまいミスをしたというのもありそうです。ただ、事例ばかりではなく基本的なものなど比較的易しいものや消去法によって正解を導き出すことが容易なものもあったので、ある程度が得点することができたでしょう。

トータルの基準点については、問題のレベルから考えた場合、昨年度よりは少し低くなる可能性がありますが、基準点の引き下げ効果を持つ「個数問題の出題」が減った(3問)ことから、それがプラスに作用し、受験者の得点を全体的に伸ばす可能性があります。とはいえ、それほど高くなることはなく、昨年度より少し低いか昨年度と同程度ではないでしょうか。