意味を理解する勉強法は丸暗記よりも強い
試験勉強で記憶をするのであれば、意味もわからず闇雲に丸暗記をするよりも、きちんと意味を理解したほうが、結果的に効率が良くなります。
前回、「インプットとアウトプットの繰り返しが記憶を定着させる」で暗記した数列を、まだ覚えているでしょうか?
忘れてしまった人のために、もう一度書いておきます。
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このランダムに並んだ数字の列を丸暗記するのはなかなか難しいことのように思えますが、もし意味があるのであれば、覚えるのがぐっと楽になることでしょう。
実は、この数列には意味があるのです。
これは、数字の1から始まり、数字と数字との差が3になるような等差数列(1の位のみを採用したもの)です。
1、1+3=4、4+3=7、7+3=10(0)、0+3=3……と数字が続いています。桁数は12桁です。
このように、ひとたび意味を理解してしまうと、次からは簡単に暗唱できるようになります。丸暗記をしていなくても、その都度計算すればよいからです。
もう一つ例を挙げましょう。
不動産業界における業者の仲介手数料について、多くの人は「物件価格の3%+6万円+消費税」と丸暗記しています。この「6万円」という中途半端な数字の意味を知っていますか? あるいは、もしこの数字を度忘れしてしまったとしたら、どうしますか?
実は、この仲介手数料の価格にもきちんとした意味があります。その意味を知っていれば、記憶を呼び戻すのにもおおいに助けになります。
仲介手数料が「物件価格の3%+6万円」というのは、実は正確ではありません。正しくは「物件価格が400万円を超える場合、その価格の3%+6万円」です。
たとえば、物件価格が200万円以下の場合、仲介手数料は5%になります。価格が低くても仲介業者の手間はあまり変わらないので優遇されているのです。
そして、物件価格が高くなっても、200万円までの部分の仲介手数料は5%と決められています。つまり10万円です。この10万円は3%+4万円(2%)と表記することができます。
また、物件価格の200万円から400万円の間の仲介手数料は4%と定められています。この部分の仲介手数料も、3%+2万円(1%)と表記することができます。
つまり、物件価格が400万円を超える部分の仲介手数料は3%と決められていますが、400万円以下の部分で、合計6万円のプラス分が仲介手数料には発生しています。そのため、速算で「3%+6万円」と言われるようになったのです。
なお、この計算式は、あくまでも仲介手数料の上限を定めたものにすぎません。ですから、不動産業者によっては、仲介手数料の値引きという価格競争を行っているところもあります。
このように、意味を理解すると勉強がぐっと面白くなってきます。
丸暗記の場合は、忘れてしまったらそれで終わりですが、重層的に意味を理解していると、記憶を呼び戻す助けにもなります。
宅建の試験を受ける予定のない人でも、この記事を読んで「仲介手数料は3%+6万円」と覚えてしまったのではないでしょうか。
この豆知識を、家族や友人に話す(アウトプット)ことで、さらに記憶への定着度が高まります。
とはいえ、薀蓄の披露をやりすぎて、うっとうしく思われないようには、注意しましょう。