最も効果的な復習の方法
私たちの脳は、一生懸命勉強して覚えたことを、次々と忘れていってしまいます。
しかし、「復習」を行って繰り返し覚えようとすると、記憶はどんどん強化されていきます。
では、どれくらい「復習」を行えば、試験に役立つ記憶になるのでしょうか?
ここに、アメリカで行われたとされる、興味深い実験結果があります。
15歳の学生を集めて5つのグループに分け、それぞれに単語カードを覚えさせました。このとき、グループAにはすべての時間を新しい単語の記憶にあてさせ、まったく「復習」をさせませんでした。グループBには全体の2割の時間を「復習」にあてさせ、グループCには4割の時間を「復習」に、グループDには6割の時間を、グループEには8割の時間を「復習」にあてさせました。
この中で、最も多くの単語を覚えることができたのは、どのグループだったでしょうか?
実は、8割の時間を「復習」にあてたグループEが、平均すると、最も多くを記憶していたのです。このグループは、新しい単語をインプットする時間は最も少なかったはずですが、「復習」を繰り返したために、覚えた単語をほとんど忘れることがなかったのです。
一方、まったく「復習」をせずに、次から次へと新しい単語を覚えることに時間を使っていたグループAは、グループEの約半分の単語しか覚えていませんでした。
「復習」によって記憶を定着させるというステップを踏まずに、闇雲に新しい情報を詰め込んだとしても、結局は忘れてしまうだけで効率が悪いのです。
実際の試験勉強において、どの程度の間隔で「復習」を行えばよいのでしょうか。
記憶の忘却は、覚えた瞬間から始まります。
日本で行われたとある研究によれば、新しい単語を10個覚えたとしても、4時間後にはすでに5個しか覚えていないそうです。しかし、その時点で「復習」することで、忘れてしまった単語も、以前より強く頭に焼き付けられることになります。
いろいろな研究の結果、私は次のような勉強法を推奨しています。
(1) 新しい学習を行ったら、その日の夜に、今日覚えたことを「復習」する。
(2) 眠ると記憶が薄れるので、翌日の朝に、前日の学習を再び「復習」する。
(3) その1週間後に、3回目の「復習」を行う。
(4) その2週間後に、4回目の「復習」を行う。
(5) その1か月後に、5回目の「復習」を行う。
つまり、(1)を1日目とするならば、1日目の夜と、2日目の朝と、9日目と、23日目と、53日目の5回にわたって「復習」を行うわけです。
逆に言えば、1日の学習は、その日に新しく覚えることのほかに、前日に学んだこと、1週間前に学んだこと、3週間前に学んだこと、7週間前に学んだことの「復習」とで構成されることになります。
「復習」と言えば、どうしても知っていることをもう一度行う「退屈」なイメージがあります。しかし、実際の「復習」は、忘れていたことを思い出して再確認する作業で、意外と楽しいものです。
想像してみてください。子どもの頃の写真によって、忘れていた思い出がよみがえる様子を。それは、学習における「復習」と同じものなのです。