これからの「正義」の話をしよう
あなたにとって、「正義」とは?
大辞林では、「正しい道義。人が従うべき正しい道理」。新明解国語辞典によると、「道理にかなっていて、正しいこと」。『正義』の定義は、「人の道理にかなうこと」。ですが、そもそも『道理』って一体何なんでしょう?
その問いに真っ向から立ち向かっていったのがハーバード大学教授のマイケル・サンデル氏。ブランダイス大学を卒業後、オックスフォード大学にて博士号を取得し、大統領生命倫理評議会委員を務めた経験を持つ講義の名手です。ハーバード大学史上空前の履修者数を記録し続ける超人気講義
「Justice(正義)」をもとにした全米ベストセラーを取り上げます。
アリストテレス、ロック、カント、ベンサム、ロールズ、ノージック…、正しいのは誰?
「1人殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?」。「金持ちに高い税金を貸し、貧しい人々に再分配するのは公正なことだろうか?」。「『代理母』契約は正しいものなのか?」。
複雑化した現代を生きる私たち読者に対し、厳しい問いが投げかけられます。現実に起こり、論争を巻き起こした事件を題材にしているため、目を背けることは出来ません。著者は、アリストテレスをはじめとする古今の哲学者の思想を弁証法に取り入れ、当時の社会と今の社会を比較・考察していきます。
よりよく生きるためのヒントとは?
分厚いハードカバー、345ページの本の中には、私たちが見て見ぬフリをしてしまうような問題が溢れています。正解のない問いかけ、見慣れない哲学用語を目の前に、出口のないトンネルに入ってしまったような思いをするかもしれません。
著者は、『正義』に対しさまざまなアプローチを重ね、美徳、社会共通の『善』、道徳について考察し、自分なりの答えを導き出しています。詳しくは是非、本を読んでいただき、あなたなりの解釈を見つけてほしいと思います。
合格というゴールの先にも、あなたの人生は続いています。目の前のことに集中することも大事ですが、近い未来、遠い将来について思いをめぐらすことも大事です。たまにはコーヒーをすすりつつ、己の信条・『正義』について思いをめぐらしてみてはいかがでしょうか?