レオニー
偉人の背後に、女あり。世界的彫刻家を育てた未婚の母の物語。
世界的に有名な日系アメリカ人の芸術家イサム・ノグチ。1970年に開催された大阪万博記念公園の彫刻噴水、和紙を使った照明「あかり(Akari)」シリーズ、グッドデザイン賞を受賞したモエレ沼公園、庭園美術館等がよく知られています。
彫刻家・画家・インテリアデザイナー、造園家・作庭家、舞台芸術家と幅広く活躍。コロンビア大学より名誉博士号を授与、ニューヨーク州知事賞受賞するだけでなく、アメリカから国民芸術勲章、日本では勲三等瑞宝章を受勲しています。
イサム・ノグチ(野口勇)の父親は、詩人であり、慶應義塾大学教授だった野口米次郎。野口米次郎が渡米中に出会ったアメリカ人女性、レオニー・ギルモアとの恋愛の結晶として生まれました。
「平凡な人生は退屈」。女性の自立を求め続けたレオニー。
現在、男女同権といわれていますが、
欧米においても女性参政権が広まったのは20世紀以降のこと。日本でも、正式な形で認められたのは太平洋戦争後、1945年からなのです。
男女同権を掲げた米国の女子大学に進み、仏・ソルボンヌ大学にも留学経験のあったレオニーは卒業後、結婚を選ばずに19世紀の女性が就く職種ではなかった出版業界を目指します。しかし、出版の世界に何のコネもなかったレオニーは門前払い。
新聞に掲載されていた求人広告をきっかけに、当時無名の日本人作家・野口米次郎の編集者となる道を選びます。そこから、彼女の人生が大きく動き出すのです。
アメリカと日本、ふたつの国の狭間で得た教訓「優れた芸術は国境を超える」
レオニーと米次郎が出会ったのは、19世紀のアメリカ。その頃、アメリカでは日本人に対する差別意識が蔓延していました。戦争による反日感情の高まる中、野口米次郎は日本に帰国。その後を追い、レオニーは幼いイサムと共に来日します。
明治時代の日本において、外国人は“異人”として奇異の目で見られていました。言葉もうまく通じない環境の中、レオニーはシングルマザーとしてイサム・ノグチを芸術家になるべく育てあげます。
「芸術家には限界はなく、国境もない」。
異なる国の狭間で悩み、傷ついたレオニーの口から出る言葉だからこそ、訴えかけるものがあります。映画を観れば、あなたもきっとインスパイア(鼓舞)されるでしょう。